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アンラックの嘆き

【タイトル】
「アンラックの嘆き」
殺し屋シリーズ・1部2話

【キャスト総数】
3(男:1 女:2)

【上演時間】
20〜30分

【あらすじ】
店主のルージュが営むカフェ「フラッパー」。
モダンな店内は殺し屋たちと情報を取引する「情報屋」の顔も持つ。

業界では「不運(アンラック)」の名で有名な殺し屋、ベレッタ。
彼女は今日も店に入り浸っている。

あぁ、ツいてない、ツいてない。
降りかかる火の粉を払う度にしみじみとそう思う。

彼女はため息交じりに手元のゲームにいそしんでいた。

【登場人物】
・ルージュ(女)
情報屋を兼ねるカフェ「フラッパー」店主。
元殺し屋。

・ベレッタ(女)
業界では「不運(アンラック)」の名で知られる殺し屋。
ゲーム好き。

・ウルフ(男)
業界では「最高峰」と呼ばれる殺し屋。
かつてのシャークの師。

【本編】
 モダンな雰囲気の漂うカフェ、「フラッパー」。
 カウンター席に座る女性の手元からは控えめながらも店内のBGMにはそぐわない電子音が響く。
 どうやらゲームに熱中しているようだ。

 やがて、店主と思われる女性がコーヒーの香るカップを置く。

ルージュ:はい、コーヒー。
ベレッタ:ありがとうございます。
ベレッタ:……すいません、これ終わってからで。
ルージュ:あのさぁ……。
ベレッタ:すいません、もうちょいで終わります。
ベレッタ:もうちょいッス。
ルージュ:……。
ベレッタ:……ッかぁー! 駄目かぁ!
ベレッタ:強すぎっしょ、何なのこれぇ!
ルージュ:楽しそうねぇ。
ベレッタ:いやぁ、ルージュねえさん、楽しいだけじゃないッスよ。
ベレッタ:ゲームは戦いなんス。
ベレッタ:一瞬の判断と駆け引きが全てを決めるんス。
ルージュ:あら、お仕事にも通じるところがあるわね。
ベレッタ:うっ……。で、ですかね。
ルージュ:で、ゲームは終わったわけ?
ルージュ:いつまでやってんのよ。
ベレッタ:いや、終わってはないッス。
ベレッタ:あ、コーヒーいただきますね。
ベレッタ:私の戦いに終わりはないんスよ。
ルージュ:ゲームの話よね?
ベレッタ:もちろんッス!
ベレッタ:今ハマってるやつがあるんスけど、トップランカーのこの「ムカデ」さんって人ね。
ベレッタ:この人をブチ抜くまで私は挑み続けますよ。
ベレッタ:ホント強いんだよなぁ、ムカデさん……。
ベレッタ:またスコア上げてるしさぁ。
ルージュ:ムカデ、ねぇ。

 悔しげにリザルト画面に食いつく女を横目で眺める店主のルージュ。

ルージュ:ホント、ゲームのこととなると熱いわね、あなた。
ベレッタ:ええ、唯一の生きがいなんで。
ルージュ:でもね、いつまでもコーヒーだけで居座られても困るわ。
ベレッタ:そう堅いこと言わないでくださいよ、姉さん。
ベレッタ:ここは私のオアシスなんスよ、マジで。
ベレッタ:美人で優しい店主さんがいて、コーヒーも美味しくて、もー最高ッス。
ルージュ:そんな手垢のついたお世辞になびくような女じゃないの、私。
ベレッタ:うう……。
ルージュ:それで、ゲームが一段落したのなら本題に入ってもいいかしら、ベレッタちゃん。
ベレッタ:ヤだなぁ……。働きたくない。
ルージュ:馬鹿言ってないでほら、マトのデータ一式。
ルージュ:これがプロフィール、行動パターン、近日中のスケジュールまで完璧に洗っといたから。

 慣れた手付きで資料をテーブルに重ねていくルージュ。
 ベレッタの目が遠くなっていく。

ベレッタ:わぁ……。さすがルージュ姉さん。
ベレッタ:ありがとうございます。
ルージュ:ペイはあなたのマネージャーからきっちり前払いで貰ってるわ。
ルージュ:あとはそっちで打ち合わせて、しっかり仕事してきなさいな。
ベレッタ:はぁ……。

 深いため息をつき、テーブルに沈んでいくベレッタ。

ルージュ:相変わらず仕事の話するとシケた顔になるわねぇ。
ルージュ:ゲームの時はあんなにイキイキしてるのに。
ベレッタ:ねえさぁん。やっぱ私、この仕事向いてないと思うんスよ。
ルージュ:聞き飽きたわ、その手の話は。
ベレッタ:だって、そうでしょ……。
ベレッタ:私みたいな同業の人います?
ルージュ:私が知る限りではいないわね。
ベレッタ:でしょぉ。私は引きこもってゲームでもしてんのがお似合いなんス。
ルージュ:だけどそれは到底ムリなお話。
ベレッタ:うう……。
ルージュ:殺し屋ほど儲かる仕事はない。でしょ?
ベレッタ:おっしゃる通り……。
ルージュ:それにさぁ、今さら後戻りもできないと思うわ。
ベレッタ:へ?
ルージュ:あなたもう随分と名が売れてるわよ、業界で。
ベレッタ:えええっ!? う、嘘でしょ!?
ルージュ:ホント。情報屋のネットワーク、舐めんじゃないわよ。
ベレッタ:あ、悪夢ッス。リアルで名を売るつもりなんて、これっぽっちもなかったのにィ!
ベレッタ:それなりに稼いでそれなりに謳歌できれば満足なんスよ、私は!
ルージュ:残念だったわね、「不運(アンラック)」のベレッタちゃん。
ベレッタ:ア、アンラック?
ルージュ:通り名ってやつかしらね。
ルージュ:だれが言い出したのかは知らないけど。
ベレッタ:アンラック……。不運、かぁ。

 うなだれたベレッタから力ない笑いがこぼれる。

ベレッタ:あははは……言い得て妙ッスねぇ。
ルージュ:そう?
ベレッタ:はい。昔っからツキには見放されてるんスよねぇ。
ベレッタ:小さい頃に親が死んだのを皮切りに、ひととおりの病気にはかかり、大抵の食べ物にはあたり、車には轢かれまくり、財布はことごとく盗まれて男には振られに振られ、捨てられ、婚約者にも逃げられて……。
ベレッタ:あげくの果てに殺し屋なんてやってる始末ッスよ?
ルージュ:ああ、なるほどねぇ。そういう意味。
ベレッタ:誰が付けてくれたか知らないッスけど皮肉がきいてますねぇ。
ルージュ:……あなた勘違いしてるわ。
ベレッタ:えっ?
ルージュ:「不運(アンラック)」はあなたじゃない。
ルージュ:あなたに狙われた相手のこと。
ベレッタ:な、何言ってるんスか……。
ルージュ:何人の同業者を返り討ちにしてきたんだっけ?
ベレッタ:あ、えぇっとぉ……。
ルージュ:覚えてないんでしょ?
ベレッタ:……はい。
ルージュ:恐れ入るわね。
ルージュ:自分の力量は正確に把握しといた方がいいわよ、ベレッタちゃん。
ベレッタ:いやだって、死にたいわけじゃないッスから、私も。
ルージュ:率直に言って最近の若手の中じゃ逸材よ、あなた。
ルージュ:真面目にやればもっと稼げると思うけど。
ベレッタ:買いかぶりッスよぉ、ねえさん。
ルージュ:数は見てきた上での素直な感想よ。

 腕を組み、笑みを浮かべるルージュ。

ルージュ:若手が盛り上がると年甲斐もなく昔を思い出しちゃうわね。
ルージュ:私もさぁ、あなたくらいの頃は負けてなかったと思うよ。
ベレッタ:あぁ、今でも語り草ッスよ。「ルージュとブルズアイ」の名前。
ベレッタ:ブルズアイさんはまだ現役ッスよね。
ベレッタ:お会いしたことはないッスけど……。

 静かだった店内に突如として鈍い音が響く。
 木彫のキッチンにルージュの拳が振り下ろされている。
 目を見張り、固まるベレッタ。

ルージュ:……あの女の名前は出さないでくれる……?
ベレッタ:え、あの、はい……すいません……。
ルージュ:絶対許さない、あのクソ売女(ばいた)……。
ルージュ:あの尻軽は死んだら治るか、私の手で試してみないとね……。
ベレッタ:ねえさん……。あの、ねえさん?

 控えめなベレッタの呼びかけに、ふと目を向けるルージュ。

ルージュ:……ああ、ごめんなさいね。
ルージュ:耳障りな名前が聞こえたから虫酸が走っちゃった。
ベレッタ:あ、あはは、いえいえ〜。
ルージュ:話が逸れたわね。
ルージュ:とにかく、これからの身の振り方はあなた次第。
ルージュ:通り名で呼ばれるくらいの立場になったってことは自覚しときなさい。
ベレッタ:そんなぁ……おかしいッスよぉ。
ベレッタ:一銭にもなってないのに……。
ベレッタ:何なのもー、「不運(アンラック)」って……。
ルージュ:「不運(アンラック)」……良いじゃない。
ルージュ:分が悪いゲームも最後に勝てば総取りよ。
ルージュ:ウィナー・テイク・オール。
ベレッタ:チップが命じゃなけりゃ楽しんでみたいとこなんスけどねぇ。

 物憂げにため息をつくベレッタ。

 ややあって入口のドアが開き、一人の男が入店する。
 男は真っ直ぐに店主の立つカウンターへ歩いていく。

ルージュ:あら、いらっしゃい。
ベレッタ:えっ……。

 男の顔を確認するなり、ベレッタの表情に驚きが浮かぶ。

ベレッタ:うわっ、すげぇ……大物だ。
ベレッタ:あ、すいません邪魔ッスよね。
ベレッタ:ど、どうぞごゆっくりぃ……。

 そそくさと端の方まで逃げるように移動するベレッタ。
 男はルージュの正面の席へ腰掛ける。

ルージュ:随分と珍しい顔だこと。
ウルフ:ルージュ、情報を買いたい。
ルージュ:それがカフェに来て一番に頼むものかしら?
ウルフ:……ホットコーヒーを。
ルージュ:ふふ、かしこまりました。

 端へ引っ込んだベレッタを一瞥するウルフ。
 目が合うなり手元のゲームへと目線を落とすベレッタ。

ウルフ:あの女……。
ルージュ:ああ、あの子はね……。
ウルフ:同業か。
ルージュ:あら、さすがね。わかるの?
ウルフ:妙な風体(ふうてい)だが、血の匂いがごまかしきれていない。
ルージュ:クリーニングに出すように言っとくわ。
ルージュ:それで、何をご所望?
ウルフ:ある男の素性を。
ルージュ:どちら様?
ウルフ:ブージャム、という名で通っている男だ。
ルージュ:カエシでもするの?
ウルフ:仕事だ。仕留め損ねた。
ルージュ:ええ、聞いてるわ。あなたほどの男がね。
ウルフ:……。
ルージュ:「デッドエンド」でやり合ったんですって?
ルージュ:あの店割と好きだったんだけどな。
ウルフ:俺もだ。さすがに耳が早いな。
ルージュ:情報屋のネットワーク、舐めんじゃないっての。
ルージュ:シャークちゃんもいたみたいじゃない。
ウルフ:ああ。
ルージュ:どうだった?

 視線を落とし、控えめに笑うウルフ。

ウルフ:まだまだガキだよ。
ルージュ:あはは、報われないわねぇ。
ウルフ:だが……強い目をするようになった。
ウルフ:もう立派な殺し屋の目だ。
ルージュ:ふぅん。嬉しい? 複雑?
ウルフ:……どうかな。

 コーヒーを口にするウルフ。

ウルフ:お喋りはもういいだろう。
ウルフ:ブージャムの件、頼まれてくれるか。
ルージュ:高くつくわよ?
ウルフ:承知している。連絡をくれ。

 ウルフが立ち上がると同時に店内に絶叫がこだまする。

ベレッタ:うおおおおおおッ! きっ、来たぁぁぁッ!
ベレッタ:ついに! ムカデさんのスコアをッ!
ベレッタ:ブチ抜いたぁぁぁッ!

 ガッツポーズで立ち上がるベレッタ。

ベレッタ:……と思ったら秒で抜き返されたぁぁぁッ!
ベレッタ:はやすぎんだろ! 余韻に浸る暇もないッ!

 今度はテーブルに突っ伏す。
 忙しない様子に声が投げかけられる。

ウルフ:おい。
ベレッタ:……えっ。あ、あぁっ、すいません!
ベレッタ:うるさかったッスよね。
ベレッタ:すいません、その、ちょっとテンション上がっちゃって……。
ウルフ:名前は?
ベレッタ:わ、私ッスか。名乗るほどのもんじゃ……。
ウルフ:名前は何だ。
ベレッタ:ベレッタと申します……。
ウルフ:知らんな。
ウルフ:余計な世話かもしれないが、目立つ行動は慎んでおけ。
ウルフ:殺しを生業としている身ならな。
ベレッタ:バレてるぅ……。さすが最高峰……。
ルージュ:知らない、その子?
ルージュ:こう見えてかなり腕は立つのよ。
ベレッタ:ね、ねえさん、いいですって余計なこと言わなくて……。
ウルフ:名の通っている同業は把握しているつもりだが。
ルージュ:「不運(アンラック)」のベレッタちゃん。
ルージュ:私的には期待の新人。
ウルフ:「不運(アンラック)」……。
ウルフ:……お前が?
ベレッタ:ううう……最高峰に認知されてるぅ……。
ウルフ:随分な数の同業者を狩ったと耳にしている。
ベレッタ:やや、やりたくてやったわけじゃないッス!
ウルフ:不可抗力だとでも?
ベレッタ:でもほら、お兄さんだってハエにまとわりつかれたら払うでしょ?
ベレッタ:それと同じッス!
ルージュ:言うわねぇ。
ベレッタ:あ、失言だったスかね。すいません、今のナシで。
ウルフ:……面白い、大したタマだな。
ベレッタ:きょ、恐縮ッス。

 ベレッタと向かい合う形で椅子に腰掛けるウルフ。

ウルフ:お前に狙われたらゲームオーバー。
ウルフ:噂ではそう聞いている。
ベレッタ:私は初めて聞いたッスよ。
ベレッタ:もーホント参ってるんス、そんな風に言われてるなんて……。
ウルフ:「不運(アンラック)」とは不憫な名が付けられたものだな。
ベレッタ:でしょ! まぁ、実際その通りなんスけどね。
ベレッタ:幸運とは無縁の身なもんで。

 含みのある目線がベレッタを捉える。

ウルフ:……試してみるか?
ベレッタ:え?

 ウルフの懐からリボルバー拳銃が取り出され、弾が一発装填される。
 きょとんと眺めるベレッタの目の前に拳銃が置かれる。

ウルフ:見ての通り一発だけ入れた。
ベレッタ:ですねぇ。
ベレッタ:うわぁ、結構年代モノじゃないッスか?
ベレッタ:このリボルバー……。
ウルフ:そいつで俺を撃ってみろ。
ベレッタ:なるほどねぇー。
ベレッタ:……いやいやいや、何言ってんスか。
ベレッタ:勘弁してください。
ルージュ:そうよ。掃除が大変だからよそでやってもらえる?
ベレッタ:ねえさん、そうじゃなくて……。
ウルフ:こういう古典的な方がわかりやすくていいだろう。
ウルフ:早くやれ。
ルージュ:あなた、そんな非合理なことする人だっけ?
ウルフ:ブージャムとやるんだからな、景気づけだ。
ルージュ:呆れた。

 深く息をつくベレッタ。両手をウルフに向ける。

ベレッタ:……やめときましょう。
ウルフ:ほう。
ベレッタ:絶対、弾が出ます。わかるんスよ。
ベレッタ:撃って、あんたが死んで、私はまた名を上げる。
ベレッタ:そしたら私はもっと腕利きに狙われることになる。
ウルフ:大した自信だな。
ベレッタ:自信とかじゃなくて、そうなってるんスよ。
ベレッタ:ツいてないんですから、私は。
ウルフ:撃たんのなら、俺がお前を撃つ。
ベレッタ:はぁ!?
ウルフ:御託はいいからさっさとやれ。

 何か言いたげにウルフを見るベレッタ。
 一切の迷いのない目の前の男にガシガシと頭を掻く。

ベレッタ:……だー! もう! 知らないッスからね!
ベレッタ:恨みっこなしッスよ!

 置かれた銃を手に取り構える。
 トリガーが引かれる。

 つかの間の沈黙。
 店内には虚しく空砲の音だけが響く。

 あっけにとられるベレッタの前でコーヒーの残りを口にするウルフ。

ウルフ:ルージュ、代金は置いておく。
ルージュ:はぁい。
ベレッタ:う……うそォ……。

 信じられない様子でリボルバー銃をまじまじと見るベレッタ。

ウルフ:餞別だ。その銃はくれてやる。
ベレッタ:あ、あの、私……。
ウルフ:不運を嘆く暇があるならその腕を有効に使え。

 立ち上がり、店を後にするウルフ。
 呆然としたままのベレッタが去っていく姿を追う。

ルージュ:よくわからない人。
ルージュ:面倒見がいいんだか悪いんだか……。
ベレッタ:あれが……ウルフ。
ルージュ:そ。ついに最高峰にまで知られちゃったわねぇ、ベレッタちゃん。
ベレッタ:……。

 放心状態のベレッタを覗き込むルージュ。

ルージュ:ベレッタちゃん?
ベレッタ:……かっけぇぇぇ! 何あれ!
ベレッタ:クソかっけぇんだけど!
ルージュ:……え?
ベレッタ:シビれたわぁ……。
ベレッタ:よりによって私にロシアンルーレット仕掛けてくるなんて、超イカれてますね!
ルージュ:そうね、確かに。あんな一面もあるなんて思わなかったわ。
ベレッタ:いやぁ、良い男ッスね。あー抱かれてぇー。
ルージュ:あなたも相当イカれてると思うわ。
ベレッタ:そッスかね?
ルージュ:ええ。意味もなく人一人死ぬところだったんだし。
ベレッタ:ふふ……ほんの少しだけやる気出てきました。
ルージュ:あら、それは何より。
ベレッタ:この仕事続けてればまた会える気がするッス!
ベレッタ:ふふっ……ふふふっ。
ルージュ:そうね。案外狭いから、この業界。
ルージュ:きっとすぐに会えるわ。
ベレッタ:ははッ、楽しみだなぁ!
ベレッタ:もー追っかけちゃうッスよぉ!
ベレッタ:じゃ、ねえさん、私も帰ります!
ベレッタ:帰って打ち合わせしなきゃ。
ルージュ:しっかりやんなさい。
ベレッタ:はい! それじゃ、またっ!
ルージュ:またね。

 鼻歌を歌いながら上機嫌に店を出ていくベレッタ。
 苦笑し、カップを下げるルージュ。

ルージュ:ふふ……厄介なのに惚れられちゃったわね、あの人。

 晴天の柔らかな日差しが店内に差し込む。

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