遠野妖物語12

乙爺は山道を彷徨っていた。「乙爺よ、ついに死んだか」「そりゃめでたい」「宴じゃ」「酒じゃ」乙爺を囲んだのは、かつて出会った山のもの達だった。満杯の盃に萎びた唇を当てると俄にその身体は若返った。昔を語り歌い踊った。三晩続いた宴の後、乙爺は彼らの一人となっていた。

原文:柳田国男『遠野物語』十二 http://www.aozora.gr.jp/cards/001566/files/52504_49667.html

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