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ふくしま

「ふくしま」

「フシギダネは笑ったよ。」

小さなふたごの川の一部を写した1人の青い幻想です。

一、2.20××


 二匹のヒトのこどもらがこうこうと茂る公園の隅で、
ポッケをたたきながら話していました。

『フシギダネはわらったよ。』

『フシギダネはサクサクわらったよ。』

『フシギダネはこらえてわらったよ。』

『フシギダネはくさくさわらったよ。』

右の方や左の方は、白くくろくはがねのたてものが見えます。

そのはでやかな情景に、つぎつぎに黄色い、人影達が流れをつくります。

『フシギダネはわらっていたよ。』

『フシギダネはクサクサわらったよ。』

『それならなぜフシギダネはわらったの。』

『分からない。』

つぎつぎ、人影が黄色い景色をつくります。

ヒトのこどもらも、ぴっぴっぴっとつづけて。
五六回、いろかたちをなぞります。

それはゆれながら憧憬のように光って、

ながれにまかせ水いろの大地にひろがっていくようでした。

すっと金銀のいろの背をひるがえし、一匹のとかげが、やぶの中にもぐっていきました。

『フシギダネはしんだよ。』
『フシギダネはころされたよ。』

『フシギダネはしんでしまったよ。』
『ころされたよ。』

『それならなぜころされた?』

兄さんビトは、その右側の四本のビルの中の二本を、
弟の四角いジユウチョウに書きながら言いました。

『わかんない。』

とかげがまたそっともどって緑の方へ向かいます。

『フシギダネはわらったよ。』

『わらった。』

にわかにパッと明るくなり、

日光の金銀は夢のようにビル谷の公園に降りて来ました。

波から来る光のあみが、
底の深いおいわの陰で、美しくゆらゆらのびたりちぢんだりしました。

小砂や小さな澱からは、まっすぐな影の姿が。
斜めにビルのまにまににならんで立ちました。

とかげがこんどはそこら中の金銀の光をひとりふたりじめし、あびてしまって、

おまけに自分は、ほむらいろに変にそこが見えて、またやぶの方へもぐりました。

『とかげはなぜああ行ったり来たりするの。』

 弟ヒトがふしぎそうに眼を動かしながらたずねました。

『何か悪いことをしてるんだよ。とってるんだよ。』

『とってるの。』

『うん。』

とかげがまたやぶから戻って来ました。

今度はゆっくり落ちついて、
ひげも尾しりも気にせずにただ時間にまかされがら、

口を環っかに円くして、はなしはじめました。
その言の葉は赤く、黄色く消えていくようでした。

『ひとかげは……。』

その時です。

にわかに天井に白い雲がかえりみて、
いなびかりのようにきらきらする水で っぽうだまのような雨が、いきなり飛び込こんで来ました。


兄さんヒトははっきりとその雨のはじめがクレバスのように淡くとがっているのも見ました。

と思ううちに、
とかげが、ものくろの姿にきらっと光って一ぺんひるがえり、
元の居場所へかえったようでしたが、
それっきりもう色の群れもとかげのかたちも見えず、
光の金銀のあみはゆらゆらゆれて、粒はつぎつぎ流れました。

二人はまるでふしぎがり、居すくまってしまいました。

お父さんビトがむかえにきました。

『どうした。ぶるぶるふるえているじゃないか。』

『お父さん、いまフシギなものが来たよ。』

『どんなもんだ。』

『赤黄色で、光るんだよ。はじで止まって下を向くの。それが来たらとかげがどこかへの行ったしまったよ。』

『そいつは怖かったかい?』

『わからない。』

『ふうん。しかし、そいつは忘れられないことだよ。うつせみとでも呼ぶべきか。

大丈夫だ、安心しろい。おれたちは仲間なのだから。』

『お父さん、ひとかげはどこへ行ったの。』

『ひとかげかい。ひとかげは姿を変えてしまったんだよ』

『ふしきだね、お父さん。』

『いいかい、大丈夫だ。心配するな。
そら、たまの花が流れて来た。ごらん、美しい花だよ。』

雨と一緒に、
紺碧のたまの花びらがをたくさんながれて来ました。

『ふしきだね、お父さん。』
弟ビトも言いました。

光の先はゆらゆら、のびたりちぢんだり。

花びらの夢はしずかに砂の粒になりました。

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ふくしま(せめて本名をくるめたタイトル)
やまなしのパロディーです。

宮沢賢治「やまなし」のただのパロディ。

宮沢賢治の世界観と生き様好きです。

朝ウォーキングしてたら妙なものを書きたくなるエネルギーが高まりました。

BGMの主張の強いマックにて。
集中力が変。

今夜こそはまともな日記書こう。

ありがとうございましたm(_ _)m
ふくしま

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