エピソード

ふと思い出したじいちゃんとばあちゃんとのエピソードがありまして。

俺のじいちゃんは愛煙家でね。ずっとタバコを吸ってた。

病気になって医師に止められてからは、ばあちゃんにきつく止まれてしまって。

隠れて吸うようになってね。と言っても財布はばあちゃんだったから、俺にタバコをもらうようになって。

俺も当時は『ばあちゃん好きに吸わせてやれよ』って思ってたから普通にあげてしまってたんだけど。

俺が家にいない時は誰からももらえないから、近くの銭湯の灰皿からシケモクを持って帰るようになった。

近所の人から『あんたんとこのじいさん、銭湯から吸い殻持って帰ってるよ』なんて言われたから、俺はじいちゃんにタバコを箱で渡すようになったんだ。

じいちゃんは凄く喜んでくれたけど、今思えば悪いことだったのかな。その事がばあちゃんにバレて、大喧嘩になったな。

俺も若かったから『うるせえな、じいちゃんの好きにさせてやれよ』なんて偉そうに反論したんだよね。

そこから半年くらいでじいちゃんは死んじゃって。ばあちゃんともその喧嘩以来あまり話さなくなった。

ばあちゃんは一人になって凄く寂しそうだったし元気もなくなったけど、寄り添う事もできなくて。そのままの関係が続いてしまってた。

ある日、ばあちゃんが激怒しながら俺の部屋にきて。
『あんた私の財布盗んだだろ』って。

本当に盗んでなかったから俺もブチ切れたよね。『ふざけんなよばばあ、自分の孫を泥棒扱いすんのか?』って。

俺は疑われた事がショックだった。

昔、ばあちゃんの財布からお金を盗んだ事があって。それがバレてばあちゃんにも母ちゃんにも、こっぴどく怒られた事があって。

だからばあちゃんが疑うのも無理はないけど、本当にやってなかった。

その数時間後くらいに交番から連絡があって『落とし物の財布が届いてます、スーパーに忘れてありました』って。

俺はばあちゃんを問いつめ、追いつめた。

俺は『こんなばばあがいる家になんていれるかよ』って家を出てった。10日間ぐらい仲間のうちを転々としてた。

ただ単にばあちゃんを困らせたかっただけだった。

満足して家に帰ったら母ちゃんが『ばあちゃんあれから体調壊してね』なんて教えてくれた。

日が経ってもその関係は修復せずにいた時、ばあちゃんは舌癌になってしまって。

喋る事も出来なくなってね。

ある時にばあちゃんが手紙をくれたんだ。もう病気もだいぶ悪くなってたから、ヨレヨレの字で一生懸命に書いてくれた手紙だった。

そこには色々ばあちゃんの気持ちが書いてあった。じいちゃんにタバコをなんで吸わせなかったか。

ばあちゃんはじいちゃんを愛していたから、愛する人と少しでも一緒にいたかったと。

財布を盗んだ事を疑ってしまってごめんね。

性格が頑固だから素直に謝れなかったと。

音楽に対して応援する気持ちとか。色々と。

俺はだからばあちゃんに謝る事すら出来ずにばあちゃんは死んでいった。

死に目には立ち会えて、最後は俺の手を握りながら亡くなったよ。

何が言いたいかって、特に何が言いたいってわけじゃなくw


ふと思い出したから発信してみました。

今日もしも家族に優しくなれなかったら、明日優しくしてください🙏

家族ってのは世界中が敵になっても味方してくれるかけがえのない存在だからね。

未だに後悔してる俺の気持ちが少しでも誰かの優しさに繋がれば幸いです。

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