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「基礎医学の授業はムダだ!」から見える医学部の問題点

こんにちは桜木です。

今医学生ツイッター界隈で「医学部の基礎医学の授業はムダである!」論争が燃えていますね〜。

「基礎医学の授業はムダだ」と感じることは、、、、悪くないですね。

なぜかっていうと、日本の医学部が採用している教育カリキュラムが多くの医学生にマッチしていないからです。。

分子、電位、代謝、エネルギー、、、これらの内容が医者としての将来に結びついているように全く見えない!!

臨床で使わない知識を学ばないことを理由に、留年させられた日にはたまったもんじゃない!

学生が基礎医学を「科学オタクの世界の話」、「臨床には必要ないコンテンツ」と感じてしまうことに関して、学生側に非はないと考えます

なんでこんなカリキュラムが蔓延っているんでしょうね、、、

今の世界中の医学教育は大きく分けて2流派に分けられます。

1) アメリカ式:

実際の患者さんの症状、疾患から「なぜこんなことが起こるのか?」「再び元気になってもらうにはどこをターゲットにして何を行えばいいのか?」を考え、

「全くわからない!」→「じゃあ基礎に立ち返って現象をバラバラにしてみよう!」

という教育スタイルを取る流派です。身近な疑問から基礎に入って行きます。

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2)イギリス式:

病気や臨床を勉強する前に、まず細胞レベル、分子レベルで医学を勉強しよう。

次に、蓄えた基礎医学知識を武器に疾患を理解していこう。

という流派です。

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日本はイギリス型を採用しています。

なので、日本の医学部では、臨床とは分離して、基礎医学だけを勉強するフェーズが存在します。

このフェーズでは、大学の教員に日常の臨床と基礎医学を繋げる能力がないと

「とにかく知識を詰めこめ! 覚えろ! 有用性や目的なんて知らん!」

という受験勉強の改悪版授業になってしまいます。

こんな大学の授業、正直全く楽しくないでしょう。


じゃあアメリカ式の医学教育は楽しいのか?

アメリカには物事の価値は「実生活に有用か否か?」で決まる考え方、風潮があります。 (プラグマティズムと言います。 センター試験倫理政経選択!)

「そもそも自分らの日常生活に関係あんの?」

が大事になります。

家族がとある疾患になったことがきっかけで、ある臓器の勉強が好きになったことはないでしょうか?

自分は、地元の友達に不整脈を相談されたことがきっかけで、嫌いだった伝導系を身近に感じ勉強して、好きになりました。

基礎医学の授業も「自分らの日常生活に関係があるのか?」が重要なんです。

自分がUSMLEを勉強して基礎医学が日常生活に関係があると感じた知識をここで1つ披露したいと思います。

帯状疱疹、、痛いですよね。徹夜とかストレス貯めるとあばらに痛い発疹ができます。

なんで何度も何度もあばらに痛いブツブツができるのか。どうすれば治療法ができるのか。

→じゃあ、発疹が何回もできる理由を研究しよう。              ↓研究結果

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どうやら細胞内のマイクロチューブという骨格を電車みたいに走っているダイニンとキネシンというタンパク質が関係しているらしいぞ!

帯状疱疹はヘルペス3と呼ばれるウイルスがダイニンにご乗車なさって、感覚神経をつたって後根神経節に一生涯潜伏する。

徹夜やストレスを溜めるとウイルスはキネシンにご乗車なさって、感覚神経末端に戻ってくる。そして痛みを発する。

こういうストーリーなら生化学で勉強したダイニン、キネシンの役割、臨床での有用性が実感できると思います。

身近な問題を解決するために基礎医学がある。

「基礎医学は現実の問題を解決するための道具だ!」と言わん場ばかり。アメリカらしい開拓精神を感じさせます。

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今の勉強が何の役に立つのか? かっこよくいうと「僕らはなぜ勉強するのか?」

これがわかりづらくモチベーションが湧かないのが、今の日本の基礎医学の授業何です。

基礎医学教室の教員って医師免許を持っている人がほとんどいないのが現実なんですよね(理学部、農学部、工学部が多いイメージ。)。だから授業で日常の臨床から基礎に深掘りすることはとても難しい。

国家試験予備校に授業を外注する大学とかが出てきたら面白いのになぁ~とか思ってます。誰かやってください。


今日はここまで。



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