誰と一緒にいたい?
突然だった。
プロデューサーに呼ばれて会議室に行ったら
そこには見慣れない先輩がいた。
わたしは今日から違う先輩につくことになったらしい。
正直、嫌だと思った。
とても口には出せないけれど、確かにそう思った。
その先輩とは、ずっと一緒に頑張ってきたから今回も最後まで、撮影も編集も、完パケまで一緒に走っていくんだって思ってた。
裏切られた気持ちすら芽生えた。
深夜に電話をかけてきた大好きな先輩は、私に何度も何度も「ごめん」って言ったけど、そんなんじゃ納得できなかった。
わたしは先輩と一緒にこの案件を乗り越えたかった。
わたしがもっとフォローできていたら、わたしがあの日休まなければ、とか色んなことを考えてしまった。
わたしがアシスタントだったから?
自分でも信じられないくらい色んなことを考えて、考えては悲しくなって一人で泣いた。
最近泣いてばかりじゃないか、と自分で自分にちょっと怒った。
けれども、とても耐えられなかった。
ちょっと元気のない先輩の声が電話越しに聞こえたのを思い出して、また苦しくなった。
ああ、もう声だけで元気ないなって分かるくらいには一緒に頑張ってきたんだなって。
この案件も先輩と越えたかった。
何度「ごめん」と言われたって、そんなの許すとか許さないとかじゃない。
わたしは先輩とこの作品を作りたかった。
そして、これはわたしのわがままだから、謝らないでほしい。
離れて初めて気付いた。
わたしはいつも、とっても先輩に甘えてしまっていたな。
たくさん喧嘩して、歯向かって反論して、でも経験値ではとうてい勝てるわけもなくて、そして喧嘩しても数分後には笑っていて、つらい思いもいっぱいして、無茶振りもされて、色んなところにご飯食べに行って、いつも可愛がってくれて、もうすっかり懐いてしまっていた。
わたし、少し離れて修行しないといけないのかもしれないなと思う。
しかし、本当に、ストレスの溜まる仕事だなあと思う。
突然チームのメンバーが変わることがあるんですね。
この人となら頑張ろう、とかいうモチベーションの持ち方をしている私はもうどうしたらいいやら。。
難しすぎる。
けれど、変わらないといけないのは私なんだろうな。
とまあ、悩んだって仕方ないのは分かってるけど、わたしにとっては大きな事件だった昨夜。
びっくりするくらい涙が出た。
独り立ちのタイミングなのかな。
頑張って成長するから、また一緒に仕事してくださいね先輩。
ごめんなんてもう言わなくて済むように、わたしが先輩のフォロー完璧に出来るようにならなきゃいけないな。
って今は言い聞かせています。
誰も悪くない。
先輩ももちろん悪くない。
わたしがこの案件に残ったのは、先輩の敵討ちだってちょっと思ってる。
ああ、あいつの教育があって牛島はこんな作品への向き合い方ができるんだなって思ってもらえるように今まで以上に頑張ります。
誰と働くかって、本当に本当に大切なことです。わたしにとっては。
わたしも一緒に仕事したいって思ってもらえる人にならなきゃな。
***
追記
やっぱりドタバタで慣れないことが続いて、はじめての進め方や規模感に戸惑いを隠せずにいた数週間。
正直、2週間前は荒みまくりました。
けれども、自分をハッピーな方向に持っていく唯一の術"心から好きだと思える人たちと一緒に過ごす"ことを偶然2週連続で叶えられたので、完全にリフレッシュして前を向いています。
メンタルが激しく弱く、偉そうなこと言っておきながら、そういえばまだ2年目で出来ないことだらけ、キャパも激狭なわたしですが、この案件でまたひとつ、経験を積んで、強くなりたいと思います。
大好きな先輩は、帰る場所みたいな存在になってくれています。
しんどいときは連絡するし、会社でも泣きたくなったら先輩のところに行って話を聞いてもらうし、相変わらずご飯に連れて行って私を肥やそうとしてくれているし、前よりもっと良い先輩とアシスタントの関係になれているのかもしれないとさえ思います。
甘えの通じない今のチームで、(プロデューサーにきっと牛島は1ヶ月後ボロボロだろうなと言われたけど)しっかり修行します。
去年からずっとこんな感じだけど、なんだかんだこいつは耐えられると思われてるんだろうな…
良いんだか悪いんだか分かりませんが、もうそういう運命みたいなので、やれるだけやってみます。
愛し抜けるポイントはきっとあるはず。
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