知らなかった ~五輪と刺青(いれずみ)~

連日TV中継されているオリンピック東京大会。webmasterの興味がある競技(カヌー&射撃)がTV画面で見られないのはさみしいが、それでも世界トップクラスの選手が活躍する姿は見ていて楽しい。まさに「ありがとう、オリンピック。ありがとうJOC。ありがとうIOC」である。

そんななか気になったのが「TATOO」(刺青)の存在である。多くのトップ・アスリートが刺青を入れているが、なぜか日本の選手で刺青をしている選手がいない。日本では刺青は特殊な意味を持ち、「刺青=反社会勢力」という過去があったことは理解しているが、最近では「TATOO=ファッション」ととらえる若者も多いはず。

「いやいや、刺青とTATOOは別物。日本と海外では価値観が違う」と反論する人もいるかもしれないが、JOCの規定には「刺青(TATOO)は禁止。刺青のある者は、代表選手になれない」といった一文は見当たらない。当然と言えば当然である。上部組織(親分)であるIOCが禁止していない物を、下部組織(子分)であるJOCが禁止できるはずがない。

日本水泳連盟が過去に発表した「日本代表選手行動規範(PDF)」には「意図的な身体装飾(茶髪、ピアス、刺青・・)は禁止する」とあるが、現在は日水連のサイトのどこを見ても「刺青」に関する記述はない。

日本代表選手に刺青がないのは日本人アスリートの中で刺青を入れている人の絶対数が少ないからだろうが、TOPアスリートであっても刺青を入れている人は存在する。そんな「刺青」トップアスリートが五輪選考会で優勝した場合、JOCや選考委員の人はどういった対応をするのだろう。

「A選手は大会優勝しましたが、年間を通しての記録、その他いろいろな事情・経験を考慮し、日本代表はB選手とします」とするのだろうか。それとも大会エントリーの段階で刺青のある選手は「拒否」、もしくは関係者に「刺青があると優勝しても日本代表になれませんよ。それでもエントリーしますか?」とこっそり伝え、自主的に棄権させる?そもそも刺青のある選手は企業やチームに所属できない?


刺青問題は確かにむずかしい。銭湯やプールで「刺青お断り」の看板を見て、どう感じるかは人それぞれ。刺青にしたっていろいろある。日本人の平均的な感覚として

「遠山の金さんはダメ」「ワンポイントならギリギリセーフ」

といったところだろうか。ならばデビット・ベッカムやロック様ことドウェイン・ジョンソンの刺青は?

画像1

参考画像・・・映画.comより


画像2

参考画像・・・screen onlineより


「刺青おことわり」と看板を掲げたプールに「金さん」と「ベッカム」と「ロック様」の3人がやってきた場合、

「申し訳ありませんが、どなた様であっても刺青のある方の入場はお断りしております」

ならば納得できる。「刺青おことわり」の看板がなくても、「大変申し訳ありませんが・・・」と事情を説明し、3人に納得してお帰りいただくのもあり。しかし、日本語で「申し訳ありません。上からのお達しで、刺青の方のご利用は・・・」といって金さんだけを追い返し、ベッカムとロック様には

「 We welcom you two guys.Enjoy your stay」
(ようこそいらっしゃいました。ごゆっくりどうぞ)

といったJOC的な対応は許されない。企業であれば「客を選ぶ権利」はあるけど、人種差別は許されない。人種差別は外国人だけでなく、日本人にも適用される。「金さんを追い返したわけではない。納得して自主的にお帰りいただいた」なんて言い訳が通用するのは「国会」と「追い返した事実の立証を必要とする裁判所」だけである。


JOC及び各種スポーツ連盟に言いたい。もし過去に「刺青」を理由に代表選手を外したケースがあるのなら今すぐ公表し、当該選手に謝罪すべきである。「いじめ問題」や「ホロコースト問題」の時のように海外メディアから

「日本は閉鎖的・過去の偏見にとらわれている」

と指摘されてからでは遅い。確かに銭湯やプールで「遠山の金さん」には近寄りたくないが、その「金さん」が悪い人とは限らない。「人は見た目で決まる」のは確かだが、「人は見た目が全てではない」のも事実である。

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