安全のはなし

 この記事は学生フォーミュラの現役学生、OB、審査委員などの関係者によって12/1から25日まで一日一記づつリレーしていくアドベントカレンダーです。

前回の記事はYSN氏さんの「転職ネタ」です。

著者紹介
うし(23):この世に生を受けてまもなくnismo英才教育を施され、レース観戦歴は20年を突破した。コナン県砂漠大学にて学生フォーミュラを経験。サスペンション藩・ドライバー・広報等を勤めた。この春より生誕の地おにぎり県カープ市に帰還。地元有力の食品加工業🍙に勤務しながら、非正規モータースポーツジャーナリストとしても活動している。ピクサー映画のカーズに激昂したエピソードは余りにも有名。

はじめに

ハースF1チームのロマン・グロージャン選手がバーレーンGP1周目に他車と接触しガードレールに激突炎上、ガードレールに潜り込んだコックピットから奇跡的に生還したショッキングなクラッシュ映像はF1ファンにとって記憶に新しいところ。

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これほどのクラッシュに於いてもグロージャン選手が軽い手の火傷で済んだのは、これまでのモータースポーツの安全の向上に対する様々な取り組みの賜物である。

ドライバーの頭部を保護するチタニウム製の「HALO」や長年の進化を重ねてきた耐火装備、メディカルカーの迅速な運用。これらの要素のどれか一つが欠けていてもグロージャン選手は助からなかった。過去の悲劇から学び、モーターレーシングはスポーツとして"健全"な「安全」を進化させるのである。

安全を守る理由

モータースポーツに於いて安全を達成しなければならない理由。
シンプルに見えて多角的な理由がある。

まず第一に最もイメージしやすいのは「身体の健康」
モータースポーツでは自動車やオートバイに跨り、地球上のどの動物よりも速い速度で人間を移動させる。カートでさえ100km/h、F1・MotoGPは300km/h超と人知を超えるスピードだ。勿論学生フォーミュラも例に漏れない。
この猿でも危ないと分かる環境で、壁や他車と衝突しようものなら人間は壊れる。
自身や仲間の身体ないしは命を守る。これが第一である。

「これ以外になんかあるの?」
次章、本題来たる!デュエルスタンバイ!

安全が壊れるとなにがマズいか

競技者や観客の身体の安全がアカンことになる以外にも安全が壊れた後の弊害がある。筆者が常日頃から懸念しており、今回筆を取るに至った理由だ。

考えたくもない話だが、想像してみましょう。
学生フォーミュラチームが大会に向けた個別の試走会で元気よく走る中、不運にも事故を起こしてしまいドライバーorチーム員が大怪我を、、、

この場合、「一つの学生フォーミュラチーム」というローカルなアクシデントで済まない可能性が非常に高い。

・大学側はこれまでチームを尊重して容認していただろうが、個別の試走会をその後も認められるのか。
・大会実行委員会も然り。
・余りにも重大なアクシデントの場合、大学はそのことを世間に公表しなければならない。その時ネットが燃えたりしないだろうか。

次のアクションとして考えられるだけでも、かなり面倒くさい。ルールの厳罰化(活動の禁止含め)は避けて通れなさそうだし、残念ながら自動車競技への世間の理解は薄い。まだまだ我々は世間の大多数から見れば暴走族のお兄さんと同類なのだ。

次に想像できる最悪のパターンとして、あまりにもアクシデントのインパクトが強い場合、大会自体の中止/廃止もあり得ると筆者は考えている。
安全意識を激しく伝承できているような強豪チームがどれだけいようと、世代の谷間などで安全がお留守になったチームが出てしまえば、全チームで「はい、中止」となってしまう大変面白くない状況もあり得るのだ。

最後に

大学ごとの差はあれど学生フォーミュラは課外活動にしては比較的デンジャラスなことが容認されている。未来の後輩が同様にのびのび活動に勤しめるよう、安全の灯火を絶やさないことが重要である。
小学生の頃、みんなで野球をしていた公園に「球技禁止」の貼り紙をされるようなことがあるとつまらない、、、

本ブログの話は活動にブレーキを踏むような退屈な話ですが、皆さんが場面場面で「これはアカンことになりそうだから辞めておこう」という選択肢が取れたら良いな。と思っています。

以上、「安全のはなし」でした。

次回は あちゃぴぃさんの 某戦う/空飛ぶ公務員試験受験記② です。

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