[福田村事件:関東大震災・知られざる悲劇]辻野弥生(2023, 7,10) 五月書房270p.☆☆☆
まもなく関東大震災後、100年になる。これを機会に関東大震災について主に科学的な検証をしてみたいと思う。そんな時にとんでもない事を識った。
関東大震災直後、朝鮮人が井戸に毒をいれたとか、放火している等の流言飛語によって朝鮮人の虐殺が行われたことは、よく識られていることであった。その時に、実は日本人も朝鮮人だとされて、殺されていたという。これは寡聞にして識らなかった。辻野弥生『福田村事件』は、千葉で発生した事件をレポートしている。四国香川からの行商人15名が、朝鮮人と間違えられて地元自警団の者に襲われて子供も含めて10名が惨殺され、利根川に投げ込まれたという。
100年前の話ではあるが、同じような状況は今でも発生する可能性はある。SNSで流されるデマや煽りによって、同様な事件は起こりうると思う。今、フランスの暴動もSNSで煽られて過激化している。とりわけ恐ろしいのは、ごく当たり前の生活をしている普通の市民が、流言飛語等により煽られると悪魔に変身してしまうことだ。自分のこととして考えたい。
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