私ばっかりの罠
職場で。
「私ばっかり働いているんです」
そう上司に言った人がいた。
おそらく冗談だとは思ったのだが、その場に一緒にいた私と
後輩の子は
「えーーーー?!」と否定的な声を上げた。
そうすると、
「こうやって、2人でいじめてくるんです」
とその人がまた上司に訴えるという一連の笑いの流れがあった。
出来事としては、冗談の流れなのだけれど。
「私ばっかり働いている」とその人が思っていることは前から感じていたので。
私の中でとても引っかかり、もやもやしていた。
面倒な事には手をつけないし、私を含め後輩に丸投げしていいる。この人は、どの部分を切り取って自分ばかり仕事をしていると感じているのだろうと不思議に思ってもいた。
そう思っているということは。
その人がいつも自分ひとりが気がついて、やっている仕事があるのだろうと思う。
私から見る面倒くさい仕事と。
その人から見る面倒くさい仕事が同じとは限らない。
その人も、面倒な仕事は全部引き受けていると思っているのかもしれない。
今もまだ原因の究明には至っていないのだが。
私自身のもやもやの原因は、分かった。
それは、私の心の中にも「私ばっかり」と思っている気持ちがあるという事だった。
同じ「私ばっかり」のエネルギーに反応していたのだ。
「もう嫌だ、疲れた、帰りたい」
みんなのエネルギーを奪うような言葉をよく使うその人。
不平不満を撒き散らしている。
人に機嫌をとってもらうことが、普通になっていて。
本人にはその自覚はないと思う。
私には、昔から使われているという感覚がある。
その場の雰囲気を癒す、楽しい事に変化させるような出来事が私を通して(私を使って)行われる。
それは、私の力ではないのだが。
私ばかりが、人の為に使われているという思いがあった。
その人の心を整える手伝いをする事が、人間としては嫌だったのだ。
けれど。
その人は、私の鏡だった。
私の気づきの為に配役された人だったのだと腑に落ちた。
自分ばかりがやっている事など、この世にひとつもない。
目に見えること、見えないこと。
全てにおいてちゃんとそれぞれの役割をこなしている。
目に見えない事は、気づかれにくいし評価されにくいのかもしれないけれど。
私はただ、自分の事に集中して取り組めばいいだけなのだ。
目の前の事に、好奇心を働かせて。
熱中して、懸命に取り組めばいいのだと感じた。
私の思い上がりや、傲慢さも相当だなぁと気がついた時。
泣きながら笑った。
そんな私ですら愛してくれる全ての人に。
感謝。
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