言語の格について(参考)

格の種類

・多くの言語に見られる格
  「主格」「対格」「与格」「奪格」「処格」「属格」

格の分類

・論理的格
  :文中における論理的な関係を表すもの
・場所的な格
  例1:「静止、着点、起点」
         ×
     「上、周り、中、下、(中空のものの)中」
         ↓
       15種類
     ※ 静止:「(どこどこ)で〜」の「で」のこと

  例2:「静止、着点、起点」
         ×
     「内部、外部」
         ↓
       6種類
       ・静止×内部=「〜(の中)で」
       ・静止×外部=「〜(の外)で」
       ・着点×内部=「〜(の中)へ」
       ・着点×外部=「〜(の外)へ」
       ・起点×内部=「…の中から」
       ・起点×外部=「…の外から」

格の標示

  :その格がどういう格なのか、格の種類を示すもの(示すこと)
・格の標示方法1(名詞)
  1、(名詞の)語形変化
     ・語形変化の種類
     ・接頭辞
     ・接尾辞
     発音の変化=声調の変化(語幹の変化)
  2、接語接置詞を用いる
     ・接語接置詞の種類
     ・前置詞
     ・後置詞
     ・中置詞
  ※1、2合わせて、最も多くの言語が「接尾辞」、次に多く「後置詞」が用いられている

・格の標示方法2(動詞)
  1、動詞の人称標示
     :人称(第一人称、第二人称など)は話し手と聞き手、それ以外という役割を区別するためのもの
     ・人称によって動詞の形が変わること
     (または接辞、接語によって標示されること)

  < 日本語での例 >
     1、主観的動詞(形容詞) ー 感情表現
       ・第一人称   ー 嬉しい、痛い
       ・第一人称以外 ー 嬉しがる、痛がる
     2、授受動詞 ー 視点を置いた主観的な受益表現
       ・与える側(主)、与(視点)ー 「あげる」「差し上げる」
       ・与(主)、受ける側(視)ー 「くれる」「くださる」
       ・受(主)、受(視)   ー 「もらう」「いただく」
      (※客観的(視点のない)  ー 「与える」「受け取る」)

・格の標示
  格の標示は主に
     1、(名詞の)語形変化、接語接置詞
     2、(動詞の)人称標示
       +
     3、語順
  によって表される


改めて

1、語形変化について

・古いインド・ヨーロッパ語では、格変化によって格が明示されるため、語順がかなり自由だった
・現代の言語では語順が定まっている傾向があり、特に「英語」や「ロマンス語」では(代名詞を除いて)格の語形変化が消失したため、標示は「語順」と「前置詞」にほぼ完全に頼っている

つまり、
  語順の制定 ≒ 語形変形の消失
かもしれない


2、接置詞・接辞による格について

・接置詞(前置詞、後置詞など)と接辞(接頭辞、接尾辞など)は、分析的な格の標示とも考えられる。
(日本語もこれに該当)
  < 日本語での例 >
     太郎 が 花子 に 本 を あげた
        ↑     ↑   ↑


3、動詞による格について

・インド・ヨーロッパ語族(およそ大陸中央方面だと思う)、ウラル語族、ドラヴィダ語族、テュルク語族など、この方法を使う語も多いが、馴染みのある言語ではあまり使われていない方法のように思う


4、語順による格について

・主語と目的語については名詞に格標示を加えず、固定された語順によって表現する方法
  < 特殊例1 >
    中国語
     ・中国語では語順によって格が定まるが、介詞(前置詞)も用いられる


※格の一致

・インド・ヨーロッパ語族では、名詞を修飾する形容詞がある時、修飾される名詞と同じ格に一致するように、形容詞も変化する。

・日本語では、格助詞が名詞の後につくだけである

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