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忘病記 第九章 黒テカリする七三分けを三四一二分けにする

重症筋無力症を判定する血液検査の結果が判るのは1カ月後になるという。
1カ月間どうしろと言うのだ。
片眼がほぼ閉じた状態では、趣味のジョギングもできないし、ドライブもできないし、あんなこともこんなこともできないし。

そもそも、、
あっ!

俺は診察室で対峙する先生の黒テカリする七三分けの頭を見て思い出した。

「そう言えば、重症筋無力症って胸腺腫がある場合が多いんですよね?そういえば先週の検査で胸のCT撮りましたよね?」

「あ、、そうやね。」
先生は忘れていた事を隠そうともせず、パソコン画面から視線を移す事もなく、カチカチとマウスをクリックした。

「あ、、あるわ。。かなり、、大きいな。」
横からCTの写真を映し出した画面をチラ見すると、素人目にも何だか丸い物体がある事がわかる。

おい!俺が指摘してなかったら忘れてたんちゃうか?
もし目の前の先生が俺のツレだったら、そう言って、七三分けの頭をぐちゃぐちゃにして、三四一二分けぐらいに分割していただろう。

結局、、胸腺腫が見つかった事により、重症筋無力症がほぼ確定となった。
そして胸腺腫切除手術をしないといけないと言う事になったのだ。

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