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元気顔

19歳の時にできた大好きな友達。
卒業して離れても数年に一度は会えてた。
彼女が病気になるまでは。

長く長く出口があるのか分からない時間。悲しみというよりは捉えきれず、やりどころの分からない感情。

そして46歳、やっと会えた。
彼女の顔は全く変わっておらず、すぐに学生時代の感覚に戻り、ほんの数時間を過ごした後また会える事を確信して別れた。

少しして気付いた、やりどころの分からなかった感情の正体。「また彼女に会えると思って良い」を封印した感情だったらしい。
心は絶対にまた会えると思っていて、でも脳はそうならなかった時の衝撃が危険だと判断していた。

今回彼女に会えて、また新たな交流が始まって、この先また彼女に会えると思って良いと明確に脳が判断したらしく、それで私の心はやっとやっとやっと安心した。

安心したら急に涙が出てきて。
彼女と会えるかどうか曖昧な十数年分の感情が全部安堵の涙になって溢れてきた。

19歳、彼女と共に過ごした旅では、30日間毎日彼女と寝食を共にした。感情のバランスを崩しがちな私が、彼女といると穏やかで居られる。いつもは不快なことが多い自分なのに楽しい気分が勝る。

私「元気顔」なの。と昔と変わらない顔で彼女が言った。
そうか、彼女の好きなところは沢山あるけど元気顔が私にもたらした幸せはかなり大きかったんだと気付く。
本人は、元気じゃないのに元気に見られるから不便さも感じているようだったけど。見てる人に元気を与える、それって生まれ持った才能。その恩恵を受けられる私はラッキーだ。私はそのラッキーを何かに変えて、彼女に届けたい。お互いの素材が循環して、2人がますます元気になるような何か。

安心と元気顔に再会した自分。
新しいものが生まれる予感!

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