読書記録⑥「ジゴロ」

中山可穂著
ジゴロ

中山可穂の短編集。女たらしのレズビアン“カイ”を中心とした、二丁目の人間模様が描かれている。
個人的には、トランスジェンダーの“恋路すすむ”の話が印象的だった。
本の中で、彼の人生と恋人との関係が淡々と進み、終わっていく。激動であり、波瀾万丈の内容なのに、妙にテンポよく書かれていて、そのミスマッチさが良い。
どの話も、淋しさと哀しみと悦びが入り交じって、複雑な感情になる。
女なのに、女を愛してしまった、そんな苦悩が根本にあるからなのかもしれない。

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