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第一回神ひな川小説大賞 終盤戦~五億点ピックアップ八選~

 第一回神ひな川小説大賞に参加してくださったみなさん、感想を上げたりファンアートを書いてくださったみなさん、本当にありがとうございました。おかげさまで第一回神ひな川小説大賞は9/21に予定どおり、滞りなく終了いたしました。

 最終的には実質122作という、俗に言う「川系企画」の中でもトップタイに並ぶほどの作品数が集まりました。

 というか最終日だけで28作、そのうち14作はラスト30分で投稿されるとは想像できませんでしたね……。(マジで凄まじかったです。死ぬかと思いました 笑)

 初めての企画運営にも関わらず、こうして多数の作品が集まったこと、大勢の方に参加していただけたこと、盛況のうちに終了できたこと、改めてお礼申し上げます。本当にありがとうございました。講評の公表までもうしばらくお待ちください。

 私もようやくすべての作品の講評を書き上げることができましたので、最終ピックアップということで、特にレベルの高かった作品、個人的にツボに刺さった作品、その中でも思わず「これは五億点!!」と唸った作品を紹介させていただこうと思います。

 今回のピックアップ対象は、9/11~9/21の間に投稿され、かつ完結済みとなっていた作品です。

 なお、このピックアップは完全に主催の独断と偏見によって選ばれておりますので、必ずしも受賞や大賞の選考に影響するものではありません。なんたって謎の評議員は三人いますからね。

 それでは早速いってみましょう。ドン!!!!


1.それいけ! ヒューマンマン/鈴元

 ヒューマンマンや鍬マンというキャラクター造詣が非常によかったです。決して主役にはなれない彼らの心情がしっかり描かれており、だからこそ彼らの生き様が輝いているように感じました。地に足が付いているというか、現実的な彼らの戦いは、読んでいて非常に引きずり込まれるような心地で見守っていました。迫真、まさに真に迫るが如きリアリティのあるお話でありながら、しっかりヒーローがヒーローしている点においても読みごたえがありました。ヒューマンマンの真っ直ぐなキャラクターが、読んでいてとても頼もしく、また読後感の爽快感も素晴らしいものでした。


2.百地さんと僕とサバサンド/@dekai3

 百地さんが可愛いので五億点!!!!!!!!!!!!!!!

 私が個人的に百地さんが大好きというのもあるんですが、百地さんというキャラクターの魅力があるからこそ、物語としても強く輝いているように感じます。彼女を中心として描かれるコミカルな展開は、お話を非常に魅力的に映し出し、読んでいてとても癒されました。

 まさに、キャラクター造詣の巧みさにおいて一歩抜きんでていた作品と言えましょう。

3.恋の話/坂水

 ハッピーエンドというお題の描き方、また感じさせ方において、他の優秀な作品と比べても頭一つ抜けていると感じました。

「恋に浮かれる」という文字通りの発想を、決して突飛なもので終わらせず、リアリティのある描写や展開で魅せていくのが非常に上手かった。一読者として、いい意味で振り回されながらお話に没頭しました。

 個人的には、大賞の争いに食い込んでくるのは確実なんじゃないかなと感じるほど、レベルの高い作品と感じました。


4.ハッピーエンドのエピローグ新作/園長

 これもすごかったですね……感情を強く揺さぶられました。ボロボロ泣きながら講評を書きました。感情の洪水で前が見えない。

 登場人物の感情であったり、物語の展開を操舵する力が非常に卓越していると感じました。最後の一文を見届けた後の読後感といったら、筆舌に尽くしがたいほどです。

 文章力、構成、臨場感の出し方やオチの展開、全てにおいて非常にレベルの高い作品だと感じました。どんなお話なのかは、ぜひご自身の目で確かめてみてください……!


5.エルロンの夢/K

 私のツボに強く刺さった作品です。主人公の水野という男のやさぐれ具合が特によかったです。こういう諦観が根底にある人間に弱い……。

 また作中で繰り返し登場する「エルロンの往く空に」という言葉が、とてもよかった。リフレインとして作用するたびに、違う意味を伴って主人公に訪れる、というのが伝わってくる。その感触は「いつか失くしたなにか」をゆっくり解きほぐしていくかのようで、非常に上手い使い方だな、と感じました。また、ハッピーエンドというお題の回収の仕方も、爽やかさを感じるもので非常に読後感がよかったです。オススメです。


6.地球を握りつぶして/ささやか

 お話としての面白さもさることながら、「人間に認識できない領域の事象」を表現する手腕においては、本っ当に天才的だと感じました。この表現が非常によくて、登場するたびに何度も見蕩れそうになりました。

 高次元生命体というキャラクターがありありと想像できるというか、いや正確にはできてないんですけど、そういう「領域」を率直に表現したらこうなるのかな……というリアリティの感じさせ方、そのクオリティに感服しました。

 今までに読んだことのないお話で、非常に刺激的だと感じました。この表現のすごさ、ぜひ色んな人に読んで味わってほしい……。


7.『幸福が生まれた夜』/ボンゴレ☆ビガンゴ

 五億点を超えて、天元突破点です。めちゃくちゃよかった。猛者揃いの本企画の中でも、ハッピーエンドの使い方が一番上手だったと思います。ぼくはこのお話が一番好きです。

 タマさんというキャラクターの造詣もさることながら(とにかくあざと可愛いのが最高ですね)、「400年生きていたからこそ」という言葉で始まるリフレイン形式のセリフが特に印象的でした。最終章はもうボロボロ泣きながら読みました。すごくよかったです。マジでよかったです。

 非常に心を強く動かされたお話です。間違いなく大賞争いに食い込んでくる力がある、そう感じるほど、とにかく素晴らしいお話だと感じました。


8.インク瓶に金魚は泳ぐ/2121

 私が勝手に「川の最終便」と呼んでいるトラック枠の2121さん。今回もその名に相応しく、素敵なお話を届けていただきました。

 アイテム×モチーフ×追憶を掛け合わせてインク瓶の付喪神、というキャラクターを生み出した手腕がまず素晴らしい。こうしたキャラクターはただそのまま出すだけではお話の中で浮いてしまうものですが、しかしそれを一切感じさせない造詣、物語の展開のさせ方が本当に上手だと感じました。感服……。ハッピーエンドというお題についても、暖かさを感じる形で回収してくれたのが個人的にグッと来たところです。

 このお話は非常に絵になりそうなので、誰かにイラストを描いてもらいたいな……! と思いました。本当にキャラクターの造詣がとっても絵に映えると思うんですよ。そういう風に、脳内の映像補完、という点でも様々な想像力を巡られてくれる、とても印象に残るお話だと感じました。


 というわけで後半戦・五億点ピックアップ、いかがだったでしょうか。

 どんなお話を読んで、どんな風に感じるか、という点については個人差が大きいところではありますが、今回選ばせていただいた作品は、私が122作品読んだ中でも、特に印象に残った作品です。また、もっと多くの人に読んで欲しいな! と思った作品でもあります。

 単純に小説として上手いものもあれば、キャラクターの造詣が卓越していたり、表現力がずば抜けていたり、お題の昇華のさせ方が素晴らしかったり……と、作品ごとにそれぞれの魅力を感じさせるようなものばかりです。正直、今回ご紹介できなかった中にも、そう感じた作品は多々ありました。

 みなさんも気になった作品にはぜひ☆をつけたり、応援コメントやTwitterでの感想シェアをしてみてください! 広がれ創作の輪!

ついでに、主催者である私のお話もよろしくお願いします(小声)。

いつか野分の吹くところ


 それでは次回、講評の公表および大賞の発表でお会いしましょう。最後まで読んで下さりありがとうございました。




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