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マジックスパイス!!!

マジックスパイスというスープカレー屋さんに行った。

と言っても、これまでに2回行ったことがある。

マジックスパイスの近くに行く用事があったので、ついでに寄ることにした。


私は、パクチーみたいに癖のある葉っぱや、スパイスの効いた食べ物が少し、いや、とても苦手である。
以前流行っていた(今も流行ってる?)スパイスカレーは、香辛料が強くて食べきれなかった。

初めてマジックスパイスに行ったのは、成り行きだった。「何食べたい?」「んー、なんでもいい」「スープカレーどう?」「超あり」というやりとりを経て行ったので、後述する戸惑いが生じても、もう後には引けなかった。


まず、怪しげな店構えを見て、語彙力のない私は「まじか」と思った。店内を見て、「まじか、大丈夫か」と思った。そしてメニューを見て「何を食べたらいいんだ」と思った。出てきた本物のスープカレーを見て「食べられるかな」と思った。私の知っているスープカレーと違う、と思った。
今なら言える。「スープカレーの何を知っているのだ」と。

恐る恐る口にスープを含む。
食べられる。
しかし、何だこれは?


二回目に行ったのは、カレーを食べたい気分だったとき。辛さのレベルを上げて注文。
一口目、「んー」「そういえばこんな味だったな」「んー、カレー、私の食べたかったカレーと違うな」
二口目、「んー、こんな味だな」「カレー、んー、カレー?」
三口目、「それってカレー粉だっけ?」テーブルの上の小さな器に入ったカレー粉をたっぷり追加。「まあ、カレーと言えばカレーになったかな?」
今なら言える。「自分で選択しておいてそれはないだろう」と。

それからしばらくマジックスパイス(以下マジスパ)に行く機会がなかったが、先日なぜか久しぶりに食べたくなって、一回目と二回目で一緒にマジスパに行った人にリクエストしてみた。
「明日どこ行く?」「マジスパ!」

そして迎えたマジスパ当日、「タコパしたいんだっけ?今日する?」
「えっ、、マジスパに行くのでは?」
「あ、しまった。そうだった。マジスパ行こう!」
「いや、でも、ちょっと待って。」
一回目と二回目のマジスパ体験が頭の中を駆け巡る。味を思い出そうとする。
「うん、、うん。マジスパじゃなくてもいいか、ね、きっとさ、『あ、こんな味だったな』って思うよ、ね、いつもさ、『んー』ってなるじゃん、だから、ね、マジスパはまあ今日じゃなくてもいいかなーって、うん、今日はマジスパやめてタコパに」
「いやいいよ、マジスパ行こ!」

こうして、三回目のマジスパ体験をすることになってしまった。

お店に到着。例の店構えにまたも圧倒される。
「ああ、そうだ、これがマジスパだ、、」
着いてしまった、、という気持ちが大きくなる。
相手はウキウキでメニューを選んでいる。
「極楽にしちゃおうかな?」
「え?!」
マジスパでは、辛さのレベルが選べる。
以前どれを食べたか覚えていない私は、一番辛くない「覚醒」か、そのひとつ上の「瞑想」で迷っていた。でも相手は「極楽」を選ぼうとしている。極楽は、瞑想の上の「悶絶」の上の「涅槃」のさらに上。
「、、、本気?」
「えっ、うん。だって、前に食べたの涅槃じゃなかった?」
「えー?そうだったっけ?」
「違っててもいいや!俺は極楽にするー!」
「え、、じゃあ私は瞑想にしようかな」相変わらずのチキンなので、惑わされながらも下から2番目のレベルに留めた。ちなみに、スープのベースもチキンを選択。

そしてスープカレーが提供された。
「極楽」と「瞑想」を見比べる。
明らかに色が全然違う。
私は「瞑想」を口へ運ぶ。
「おいしい、、」「おいしい!!!」
彼は「極楽」を一口。
「むはっ!」むせる。
「辛い、けど、おいしいよ。多分ちょうどいいよ。」私は心の中で「むせたやん」とこっそりツッコむ。
そして極楽を少しもらったら「アー!」となった。激辛だった。

美味しく食べるには「瞑想」かな、という結論になった。あとちょっと辛さ上げてもいいかな〜。
それで私は次はひとつ上の「悶絶」を食べようと決める。
「いやー、まあでも俺は涅槃にしようかな」涅槃は極楽のひとつ下。スープカレーそんな頑張んなくていいのに、と思いつつ、口には出さない。


そして、とうとう四回目のマジスパ体験をすることになる。それはなんと、三回目の次の日。
あまりの美味しさに、「明日も行こう!」という流れになってしまったのだ。

その日はすぐにやってきた。何しろ、昨日の今日である。
たまたま、他の用事のときにモヤモヤする出来事があって、二人で「ムキー!」とやや荒ぶっていたので、「悶絶を食べる」と決めて臨んだ私も、ひとつ上の「涅槃にしてやるんだから!私も涅槃食べちゃうんだから!」と意気込んでいた。

2つの「涅槃」が到着。

「、、、?」
「昨日のと味が違う、、」
辛さが違うのだから味が違うのは当たり前なのだが、具も旨味も何もかもが違うように思えた。これは、、一回目と二回目のときと同じ気持ちだ。
「おかしいな、、」
彼が調べてくれたクチコミによると、「日によって味が違う」らしい。
しかも私たちは同じ辛さのものを注文したわけではないので単純な比較はできない。
涅槃は前日に瞑想を食べた私にとっては辛かった。ムキーってなっていなかったら、きっと辛すぎたと思う。

こうして、計四回のマジスパ体験を終えた。
今、思うこと。「マジスパ行きたい」。
この、謎のマジスパ熱は一体何なのか。
なぜかとても魅了されているみたい。
野菜たっぷり、肉たっぷり、スパイスもたっぷりで身体にいいらしい。身体がぽかぽかになるのも頷ける。
ああ、そうか。寒いから?寒いから温まりたくてマジスパなのか?

マジスパ熱の原因は不明だが、きっと五回目のマジスパ体験はそう遠くない日に訪れるだろう。
私は今度こそ「悶絶」にすると決めている。
次はどんな味がするのかな。
楽しみである。


そういえば、前の日記に登場した魔法使いさんと不思議なカレー屋さんに行ったことがある。でもあの体験は、マジスパ体験よりももっともっと言葉にならないから、魔法使いさんと私の秘密ということにしておこう。

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