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月に餅をつくうさぎがいるのはなぜ?意外と知らない月とうさぎの関係

月兎


「お月さまにはお餅をつくうさぎがいて……」という話、誰しも一度は聞いたことがありますよね。
でも、どうしてそう言われているか知っていますか?
今回は、「月といえばうさぎ」というイメージの由来や、月とうさぎに関する昔話などについて紹介します!

◆月にうさぎがいる理由って?

りゆう

それは、月の影の形が餅をついているうさぎの形に見えるから……というだけではありません!
「月とうさぎ」の由来については、実は世界中にさまざまな説があるんです。

特に有名な説は、インドの仏教説話の一つである「ジャカータ神話」がもとになっているという説。
ざっくりと要約するとこんな話です。

ある日のこと。サルとキツネとウサギが、飢えに苦しむ老人に出会いました。
この老人を助けてあげようと思った三匹は、おのおのの得意な方法で食料を集めることにします。
サルは木にのぼって木の実を採り、キツネは器用に魚を捕りました。
けれどもウサギは、どう頑張っても何もとって来れませんでした。

それでもどうしても老人を助けたかったウサギは、サルとキツネに火を作ってもらい、
自分自身を食べ物として捧げようと、その火の中に飛び込みました。
ウサギの自己犠牲の姿を見た老人は、この優しいウサギの姿を後の世まで伝えてやりたいと思い、不思議な力でウサギを月へのぼらせてあげました。
一見ただの行き倒れた旅人に見えたこの老人は、実は神様だったのです。

こうして月にはウサギの姿が見えるようになりました……という、
なんとも胸打たれるお話。
己の身をなげうってまで他者に施そうとしたウサギの優しさ、慈しみ深さが感じられるエピソードです。

インドとは遠く離れたメキシコにもよく似た形の伝承が伝わっており、
他にも中国やヨーロッパの一部でも、細かいバリエーションこそあるものの、
「月にはうさぎがいる」という伝説が存在しているようです。

うさぎといえば多産で活発なので、「生命」のイメージで見られることも多い動物。
その神秘性に憧れた昔の人々が、月とうさぎを結びつけた伝説を作ったのかもしれませんね。

また、うさぎが餅をついているのにも諸説あり、
日本国内でもっとも有名な説は、満月のことを指す言葉に「望月(もちづき)」というものがあるため、そこから「もちつき」=餅つきとなった、という説のようです。
お隣の国である中国では、うさぎがついているとされているのはお餅ではなく薬。
なんと杵で薬草を粉にして、不老不死の薬を作っている最中なのだとか!
月が沈み、太陽が出ているときには、天のお国に住む神々の御使いとして、いろんな雑務をこなしているそうです。

意外なつながりとして、かぐや姫で有名なあの竹取物語では、
かぐや姫が月へ帰ってしまうときに、育ててくれたおじいさんとおばあさんに、
この「不老不死の妙薬」を渡しています。
この薬はもしかすると、月に住むうさぎが作ったものだったのかもしれませんね。

◆月の影がうさぎに見えるというけれど……?

さて、冒頭で「月の影の形が餅つきをしているうさぎに見える」と書きましたが、
これって日本だけの見え方なのでしょうか?
ということで、各国の「月の影」についても調べてみました!

【日本、韓国】餅をついているうさぎ
【中国】薬をつくっているうさぎ、またはカエルなど
【インド】ワニ
【インドネシア】編み物をしている女性
【モンゴル】犬

「お餅をついているうさぎ」に見えているのは、意外にも韓国でも同じようです。
月に住むうさぎの話をするときは、韓国・中国などのアジア圏の人とだと話が弾みやすそうですね!

◆お月さまに住むうさぎを見つけてみよう!

お月様に住む

夜空を見上げて月をじっと見る……ということは、大人になると案外しないもの。
次の満月の日には、月に住むうさぎを探してみてはいかがでしょうか。
家族や友人と、各地のうさぎ伝説について話してみるのも楽しいかもしれませんね。

講師:岸本

幼少期に訪れた動物園で白い毛のロップイヤーラビットを見て「天使みたいな生き物がいる!」と電撃が走って以来うさぎに夢中。
今では自他共に認めるうさぎ好きで、「うさぎの魅力を語っていたら聞いていた相手もうさぎ好きに」「プレゼントをもらう機会があると何も言わずとも皆うさぎグッズを買ってくる」「友人がうさぎ柄のグッズを見て「あっ、岸本さんだ」と言い出す」などのエピソードを持つ。趣味はうさぎのぬいぐるみ集め。


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