許せない病 2
「許さない」
という姿勢を貫くことには
それなりに代償を払わなければならない。
憎しみ
恨み
復讐願望
それらの毒を心の中で醸成し続けなければならず
時間とエネルギーを費やす。
「悲哀は愛以外のいかなる手が触れても血を噴く痛手であり、
また愛の手が触れる時でさえ、
痛みこそしないものの
おなじように血を噴くもの」
オスカーワイルド『獄中記』田部重治訳
その時を
思い出すたびに
心の傷口から血が噴き出してくる
こうしたマイナス面が
「許さない」という姿勢に伴う。
自分が受けた心の傷がかさぶたになり、
やがて瘢痕を残さず治ってくれることを願うなら
「許さない」は妨げになる。
ところが、
こちらは傷つけられて苦しんでいるのに
傷つけた張本人は素知らぬ顔で
平然としているので
はらわたが煮えくりかえる
.
許しを乞わない相手を許さないという姿勢を
とがめるつもりは毛頭ないし
許さなければならないとか、
許すのが善だというお説教をするつもりもない
むしろ
許せないことで悩んでいる方に
そういう悩みから少しでも解放され
許せないと思っている相手と
どんなふうに向き合うべきかを伝えるために書いている。
どうしても許せないという場合もあって当然だと思っている。
私自身にも、
どうしても許せない相手はいるのだから。
ただひとつ確かなことは
許すことは
心の傷がある程度癒えてから
はじめて可能になるということです。
心の傷から
血がしたたり落ちている間はどうしても許せない。
やがて痛みが和らぎ
かさぶたができてから
やっと許そうかという気になるのだ。
(「許せないという病_片田珠美」より)
↑
「日にち薬」が効けばよいが
それに全く効果が無い場合がある。
日にちが経つにつれ
傷つけた張本人は記憶が曖昧になっていく
そしてある日
そのはらわたに
思いもよらずに引火した火によって
思いが溢れ出る
その時
何で今頃?
と唖然とされるのがオチとなる。
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