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響けユーフォニアム 3期 12話

原作未読勢なのだけど、久美子と真由のソリについて、物語のセオリー(王道とも言う)として3回目のオーディションで久美子がソリを勝ち取るのだろうなあと予想していた。なのでこの展開にはびっくりした。まさかこう来るとはと思った。あとでこれが原作とは真逆の展開だと知って二度びっくりした。なぜなら観ている間、全く違和感を感じなかったからだ。一つの破綻もなく正しくユーフォニアムの世界が描かれていた。そして感動した。そりを決めるオーディションで演奏が終わった後からラストの大吉山の場面まで本当にすごかった。オーディションの緊張感。生徒たちが手を挙げる時のそれぞれの逡巡。麗奈の決意の表情。真由が歩みだした時の驚き。その表情の変化。そして久美子のすべてを断ち切るような力強い宣言。その後の奏の涙。そして大吉山での久美子と麗奈のやり取り。部員の前ではずっと部長としてふるまっていた久美子が麗奈の前ではいち奏者として「悔しくって死にそう」と叫ぶ姿に心が震えた。ユーフォニアムの神髄を見た気がした。思えばユーフォニアムという物語は「悔しくって死にそう」から始まったのだ。

それだけに、これが原作と違うアニオリとはほんとに驚く。この展開を選んで破綻なく描き切った製作陣は本当に凄い。凄いものを見せてもらった。よくお芝居なんかで台本にないシチュエーションで役になりきって即興で演じる練習があるけれど、原作にない再オーディションで久美子が負けると言うシチュエーションの中で、各キャラクターがユーフォニアムの世界の中でひとつも破綻なく演じ切っていた。これはほんとに凄いことだと思う。ユーフォニアムという物語と各キャラへの深い理解なくしては描けない世界だ。そういう意味でこのシチュエーションを描ききった製作陣には驚嘆と尊敬を覚える。いや凄かった。

それとは別にもちろん最後の全国で久美子と麗奈のソリを聴きたかったという想いはもちろんある。3期はこれまで一度も合奏場面がなかったのだけどもちろん最終回は全国の舞台での演奏があるのだと思う。今から胸が詰まりそうだ。

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