おとなになったちびまる子ちゃんたちが、『焼きそばうえだ』をバリにオープン

さくらももこといえば漫画『ちびまる子ちゃん』が、彼女の代名詞です。
わたしも大すきで、アニメも漫画もチェックしています。

さくらももこワールドはマニアックな笑い

さくらももこの魅力は? と聞かれたら、かわいい線画の絵からは想像もつかない、わき役の非常なまでの雑なあつかい。
それを主人公が「不謹慎に?」「ふざけながら?」、愛情をもってバカにしていく、そこにおこる「クスっ」とした小さなマニアックな笑い。
あまりのバカバカしさにあきれながらも、彼女にシンパシーを持ち、ついさくらももこワールドにはまってしまうものです。

さくらももこはエッセイもすごい

そんなさくらももこは、作詞、脚本、エッセイなどでもその才能を思う存分発揮。
特にエッセイは、自分の小さい頃を”ちびまる子ちゃん”とダブらせて、ノスタルジックな作品が多いですが、たまにバカバカしすぎてもう5ページに1回はクスッと笑いがやってくる爆笑エッセイもあります。

まる子と同級生が大人になりバリに『焼きそばうえだ』をオープン?

前置きが長くなりましたが、わたしが読んださくらももこのエッセイ『焼きそばうえだ』も、まさに爆笑エッセイのひとつです。

ざっくりあらすじ

『ちびまる子ちゃん』のメインキャストが社会人になったら、こんな風になるんだろうなーという人たちが集まる「男子の会」。
そのなかに、サラリーマンとしてパッとしない永沢君のような植田えださんもいる。
野心も野望もない彼を勝手に不幸だと決めつけ、バリ島で焼きそば屋のオーナーになった方が幸せだ! と酒を飲みながら盛り上がる。
そして100万円もあれば、バリ島なら焼きそば屋を開店できるはずだとなり、資金も植田さん以外のみんなが出すことで盛り上がり、このプロジェクトがスタートする。

もちろん永沢君、ではなく植田えださんは「焼きそば屋をやりたい」なんて一言もいいません。どちらかというと、無関心。
なのに飲み友達の「男子の会」なる面々が、植田さんの意思など聞かずに、焼きそば屋をオープンさせてやるんだ! と上から目線で勝手にもりあがり、この話はどんどん進んでいく。

スポンサーのさくらももこのまる子っぷりがみどころ!

植田さんもいやなら断ればいいものですが、ここに大スポンサーさくらももこが立ちはだかります。
飲み友達の「男子の会」の中には、花輪君やはまじなんかもいて、みんなそれぞれお金は持っている。その中でもスポンサーとして太いさくらももこ。植田さんはお金も、労力も出さなくていいとなれば、全力否定する必要もなくなり、流されていく植田さん。

後半には無理やり引き込まれたたまちゃんらしき人も登場するものの、傍若無人なまる子は、勝手にバリで焼きそば屋をやろための準備を行う。
が、あきっぽくてめんどうくさがりのまる子は、計画がとん挫しかかると、当然のことながら植田さんをディスる。
ここにダークなまる子が顔を出す。

バリ島でもまる子はまる子!

くだならいことを全力投球でがんばるおとなの姿は滑稽だが、そこにさらくももこワールドが入ると、それはもう笑えないわけない。
そしてこのエッセイは、ドキュメンタリー。
まる子の友達がおとなになっても、本気でバカをやる姿を、バカバカしく描く『焼きそばうえだ』

わたしは最近、気分がへこんでいたが、これを読んですこし元気になった。もし、最近いけてない、笑いが足りないと少しでも思うなら、ぜひこのドキュメンタリエッセイ『焼きそばうえだ』に手を出してみてください。
文庫メします。



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