210129日記

 昔の人間に比べれば、現代人は遥かに長い寿命を得たのだろうな〜とふと思う事があります。実際、江戸時代の平均寿命は30〜40歳らしいので、平均寿命が男女ともに80歳以上の現代は昔にくらべれば倍の年齢を生きているという事になるでしょう。
 近世以前の平均寿命は幼児の死亡率が高く、それによって引き下げられてるという話もありますが、それでも、人間は医療の発達や食料事情の改善によって遥かに長い人生を過ごせるようになった事は疑いようのない事実でしょう。
しかし、人間は長い寿命によって人生が豊かになったのか僕にはわかりません。僕の祖父は77歳で亡くなりましたが、大変気難しい人で、孫達が遊んでいると「うるさい」と怒鳴っていた記憶しかありません。あまり楽しそうにしていた記憶が無いので、祖父が生きていて愉しかったのかは僕にはわかりません。
 祖父がなぜ怒っていたかはわかりませんが、人間は長く生きていれば老いるし病むようです。長生きするという事は、それに相対する確率も上がっていくのでしょう。自分の身体が思うように動かなっていくのは強いストレスだろうと思います。
 昔の人間は現代人より、老いている時間も病んでいる時間も多分短かったんだろうと思っていますが、その短い分だけ苦しみも少なかったのかもしれません。昔、Wikipediaで『天人五衰』という項目を読んだ事があります。仏教で言う、人間より上位の世界、天部に住む天人達は長寿で、空を飛ぶなどの神通力が使え、快楽に満ち、苦しみもない生活をしている(Twitter2だ…)らしいですが、死ぬ時は苦しみに満ち、五衰と言われる様々な現象に襲われるそうです。
 昔の人間から見れば、現代は長寿で、便利な道具がたくさんあり、娯楽に満ち溢れていることでしょう。まさに、天部のような生活をしていることです。しかし、長寿になった分、老いている時間も長くなり、死ぬ前の苦しみも長くなったのでしょう。これはまさに天人五衰なのではないかと思いました。おわり