「経済学なんて教科書だけでわかるか!ボケ!」から学ぶ投資の最適戦略
さくら剛さんの著作を読んだのでそれのレビューと考えたことについて書く。
内容は経済学の入門書である。冒頭で著者は以下のように述べている(要約)。
「世間に溢れる経済学入門書は「入門書」という割にはわかりにくい。そこで私が誰にでもわかりやすいように専門家の書いた本では絶対に出てこないような比喩表現を使った」
用いた比喩表現が妥当か否かは置いておいて、かなりわかりやすく書いてある。この一冊でマクロ経済学、ミクロ経済学、行動経済学と一通り経済学の分野を網羅しており、初心者によくある「まずは広く浅く学びたい」という需要を見事に満たしている。
この一冊で入門書は十分と言っていいレベルである。これを土台により難しい内容に進んでいくと勉強が捗ると思う。
さて、本題はここからである。
この本は他の経済書にない特徴を持つ。
それは、経済の入門書なのに投資を無暗に勧めていないということである。
むしろ世間に蔓延る投資を進める風潮に苦言を呈している。
それってカモが欲しいだけじゃないの…?
投資の世界にはこのような格言がある。
誰がカモなのかがわからなければ、誰がカモなのかは明確である。
そう、自分だ。投資の世界にネギを背負って入った自分だ。
投資の世界は世界最先端の頭脳を持ったエリートが戦う、アルゴリズムでコンマ1秒の世界を争う闘技場であり、世界最大の賭博場。
ヘッジファンドは金のためなら国を滅ぼす連中だ。
素人が投資の世界に入るのは竹槍でB29と戦うより無謀な戦いである。
他の経済書が投資を勧めている理由は、教授自身が金融出身で悪口が書けないだとか、銀行や株屋に都合の悪いことは書けないだとか、そういう理由である。
「投資は危険!骨の髄までしゃぶられます!」と書いたら業界で生きていけない。
「素人は投資なんかに手を出さずに大人しく貯金でもしておけと言うのか」という声が聞こえてきそうである。
それも一理ある。日本がバブルの時に最終的に勝ったのは、事前に運よく売り抜けられた人か、株なんかに手を出さなかった人のどちらかである。
日経平均株価の推移(Wikipediaから拾ってきた)
バブル期の最盛期(1989年)には3,8957円を指したが、その後一度もその株価には達していない。バブル期以降はダダ下がりなのだ。
個人向け国債に投資しておくのはどうか?
株式市場で闘うよりはまだ良さそうである。
個人向け日本国債の金利は現在約0.0398%(税引き後)である。
投資の世界では72という数字を金利の%で割ると、資産が2倍になるのに何年かかるかのおおよそがわかる。
72/0.0398≒1809年
1809年前(西暦210年)なにがあったかというと南米でマヤ文明ができた(諸説あり)。
資産を増やすのにはどうも国債はあまり向いていなさそうである。
ちなみに海外の国債に目を向けるともっと金利が高いものもある。
日本でも買える南アフリカランドなら約8%、日本で買えるかどうかは怪しいがアルゼンチン国債なら究極の約34%である。
じゃ、これを買っておけば将来安泰かと言われたら、んなこたぁない。
南アランドもアルゼンチンもジャンク債と呼ばれ、いわゆるクズ扱いだ。いつデフォルト(借金帳消しの自己破産)するかわからない。
返してもらえるかわからない債務者には闇金のような高金利じゃないとお金は貸せないのと同じである。
他になにか無いのか?
仮想通貨も不動産も典型的な歪んでいる市場で、参加しているプレイヤー間の情報格差が激しい。ビットコインは全体の約87%を0.69%のアカウントが所持している。仕手もインサイダーもなんでもありの市場で初心者が勝つのは不可能に近い。1億円ですら端金の市場である。
不動産も不動産屋が情報を牛耳っており、弱小プレイヤーにはクズしか回ってこない。
他の本を読んで考えた結果がこれである。
全世界株式のインデックスファンドにドルコスト平均法で毎月積み立てを行う。
これである。なお参考図書は以下の通り。
なぜ全世界株式インデックスなのか?
全世界株式インデックスというのは、世界の大企業の時価総額の平均を表すものと捉えてくれればいい(すごいざっくりとした説明)。世界時価総額ランキングの上位10社の内、8社はアメリカの企業で残り2社は中国企業だ。上位50社まで広げても半分以上は米国の企業なのでほぼ、ダウ平均株価と似たり寄ったりと考えてよい。
日本はデフレだが世界はインフレが絶賛進行中であり、世界の富は増え続ける一方である。一部の先進国を除いて大半の国ではインフレ気味の国の方が多い。
なぜ世界の富は増え続けるのかというと、お金を銀行から借りて信用創造を繰り返し続けるとお金の総量は増えるからだ(この辺はさくら剛さんの著書で確認してほしい)。
このお金が増え続ける活動は資本主義という仕組みが終焉を迎えるまでは永遠に続く。世界株式のインデックスとは違うが、GDP(ある国が経済活動を通じてどれだけお金を増やしたかの指標)の合計は増え続けている。
デフレの日本でインフレ中の世界株式に投資すればその分鞘取りができる。
ドルコスト平均法というのは、毎月一定額を積み立て続ける手法のことである。こうすることで一個当たりの取得単価が安くなる(詳しくはググってほしい)。
インデックスというのはコンピュータが勝手にポートフォリオ(どの株式をどれだけ組み込むかの戦略みたいなもの)を組み替えてくれる方法でアクティブと比較して人件費がかかっていない分、安い。
「アクティブファンドはプロが運用しているから成績も良いんじゃないの?」と思う方もいるかもしれない。
事実は「投資のプロはサルが投げたダーツに負ける」のだ。
これは投資のプロが一生懸命、数式や理論をいじくり回して選んだ銘柄より、サルがダーツを投げて刺さった銘柄を適当買う方が運用成績が良いというのを皮肉った言葉である。
ニュートンも言っていたが「市場の狂気は予測できない」のだ。
世界株式の中心でもあるダウ平均株価の推移は以下の通りである。
1928年の世界恐慌時にジャンピングキャッチ(高値掴み)をしても30年後の1958年には当時の水準を越えている。
今後、世界の中心が米国から中国に移ったとしても事情はそこまで変わらない。資本主義はネズミ講と同じでダブついた金の投資先がないと死ぬのだ。
毎月、全世界株式のインデックスをドルコスト平均法で買うという投資としてはなにも面白くない方法だが、初心者が相場で負けないためにはこの方法が良さそうである。年金は確実に元本割れを起こす金融商品であり、貯金するだけでは老後の資金は確保できないと確定しているのだから、好むと好まざる関係なく市場で勝負をしないといけない。
市場で勝負をする上で大切なのは勝つことより負けないことである。
結局、この記事でも投資を勧めているからこの記事は買い煽りの提灯記事だって?
それに気づいた人間は市場でも生きていけると思うよ。
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