人の感覚はあてになりません
こんにちは、上野です。
何となく昔のことを思い出していました。中学校くらいの話です。
僕の中学校にはサブカル好きな先生がいて、その人の布教活動のおかげで音楽や漫画は簡単に僕たちの血肉になりました。
Nirvana、SexPistols、JimiHendrix。僕が初めて読んだ小説は学級文庫で置かれていたノルウェーの森の単行本でした。
が、今になって思い返すと、僕にとってそれは流行に乗っていたという感覚だったように思います。
本当にカッコいいと思うものもありましたが、正直難解だと感じるものの方がたくさんありました。
特に80年代以前の音楽が苦手でした。
音は薄っぺらいし、聴きにくいし、とにかく僕の未知に対する拒絶反応は音楽をあまり聴かない人のそれと同等だったと思います。
そんな中学の時分、サイケデリックという言葉をギターの神様から教わりました。
何だかよくわからないその言葉に僕は意味もなく惹かれ、そういう音楽って他にはどんななのか興味が湧き、レンタルCDショップでTheDoorsの1stを借りたのです。
帰ってパソコンに入れて聴くと、マジで何が良いのかわかりませんでした。
金持ちの友達に聴いてみたとだけ伝えると彼はこう言いました。
"良いよね"
良いよね!?どこが!?と心の中では思っているもののなんか負けてる気がしたので、まあ、良いよね、と言った感じで誤魔化したことを覚えてます。
それから、二度目を聴くのはどこか足が重いというか、少し躊躇いがありました。
誰も良くない音楽なんて誰も聴きたくないですよね?同感です。
ですが、当時の小遣いなんて貰えてなかった貧乏な僕にとってレンタルにかかったお金はなかなか大した金額だったのです。
つまり、勿体無い精神でもう一度そのCDをパソコンに入れて聴いてみたのですが、これが不思議な事に
聴けなくはない
という感覚になっていました。
特にLight My Fireのイントロなんてやたらと煌びやかに聴こえ始めて、は!?これ良くね!?という具合に気付けば虜になっていたのです。
三度目の正直だと思ってもう一度聴いたら、もうその時には好きになっていました。
この例は所謂プラシーボ効果だと思いますが、僕はそれから大抵のものは3回聴いてみるようになり、そしてそれでも好きになれなかった場合にそれを基準にしようと考えました。(そのあとに好きになった事も数え切れないほどあります)
そして少しずついろんな音楽を好きになれました。
僕みたいに"聴けない"人は実は沢山いると思います。けど、人間の感覚なんてさっき聴いたものでさえ5分後には違う風に聴こえることだってあります。
聴きにくさ、という点なら最近では昔の音源もリマスターされておおよそ聴きやすくなってますし、サブスクの発展で入り口はとても広くなりました。
今まで、聴いたけどしっくり来なかったり、現代の音質が向上したゆえに聴けなかった人たちは是非、もう一度その音源を手にとってみてはいかがでしょうか?
意外な聴こえ方ができるかもしれませんよ。
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