余命更新中

訪問医から余命1週間宣告を受けてからちょうど1週間。母はまだ生きている。

昨日の朝は、尿に血が混じっていて、尿を溜めているバッグの中が、ワイン色になっているのを見て、すぐに看護師へ連絡した。

ちょうど訪問医が来る日だったため、少し時間を早めて来てもらったが、バイタルは安定していて、今のところは大丈夫とのことだった。

そして、余命が延びて、1カ月に。ちょうど、母の日の前か…。

退院後、自宅に連れて帰ってきた時の母の写真と、今を比べると、さらに痩せてしまったのがわかる。まさに骨と皮。そんな身体で、すさまじい痛みと毎日闘う姿を見るのは、本当に辛い。

毎朝のオムツ交換で身体を動かす時は、以前よりさらに痛みが増しているせいか、この数日は悪魔に取り憑かれたような声で「痛い!痛い!痛い!」と連発する。さらに、ベテラン看護師は、母が痛みを感じる時間を短くしようという配慮で、ささささっと処置をするのだが、母には逆に辛いようで、昨日は暴れ始めて、支える腕を噛もうとした。

あんな身体なのに、腕や手の力ははんぱなく強くて、どこにそんな力が残っているのだろうと思う。

母は、普段はとても穏やかな人で、子どものころ、母に怒られた記憶は二度しかないし、大人になってからケンカしたことは、おそらく一度ぐらいしかない。

暴れるのは、薬のせいもあるだろうけど、痛みが強いのがいちばんの理由だろう。なので、毎朝母の身体を動かす前は、緊張が走る。

ただ、意外にもすべて終わって、身体を動かすのをやめると、5-10分でまた穏やかになるので、しかめっ面がもとに戻ると、一日の仕事が終わったような気分でホッとする。

旦那が到着してから、日中は旦那と3人で母の部屋で過ごしている。私と2人きりの時はずっと目を閉じて、ほぼ寝ていた母が、旦那が来てからは、始終目を開けていて、時々言葉も発する。旦那が少し横になり、昼寝をすると、母も寝ていて、2人の小さなイビキが聞こえて、こんななんでもない平和な時間が、永遠に続けばいいのにと、ふと思ったりしてしまう。

この世で、もっとも大切な2人。

私は、いつもひとりじゃなかったし、今もひとりじゃない。ありがとう。



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