マガジンのカバー画像

バフンウニの発生

15
バフンウニの発生を一覧にしてあります。
運営しているクリエイター

#ウニ

本日のウニ:バフンウニ⑮プルテウス幼生

受精後72時間後のプルテウス幼生を背中側から見た写真です。”腕”に相当する部分はフォーカスがずれて見えていませんが、初期4腕プルテウスになります。この頃になると、食道、胃、腸と、はっきりと3区画に分かれた消化管を持つようになり、餌である珪藻を口の周辺にある繊毛を用いて積極的に取り込むようになります。また、前方向に泳いでいき、壁にぶつかるとバックして方向を変えることができるようになります。 横から見た写真になりますが、消化管がはっきりと見えています。 赤く見えるのは色素細胞

本日のウニ:バフンウニ⑭プリズム幼生

受精後36時間のプリズム幼生を腹側から見た写真です。後期原腸胚で前端部にまで伸びていた原腸が、腹側に折れ曲がって将来の口にあたる部分と融合しつつある瞬間です。どうして原腸が腹側・口側へ曲がるのかという点に関して一つの説を唱えたものが当研究室所属学生の成果として論文になり、公表されています。 https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/dgd.12434%C2%A0 また、その内容をわかりやすく漫画で紹介していただいてお

本日のウニ:バフンウニ⑬後期原腸胚

受精後30時間の後期原腸胚です。バフンウニでは、初期・中期原腸胚の時にまっすぐ伸び始めた原腸が、後期原腸胚期にかけてそのまま体の前端部(図の上側)に到達します。一方、世界のウニ研究の中で最初にゲノムを読まれ、最も多くの研究者が用いているアメリカムラサキウニStrongylocentrotus purpuratusでは、原腸は体の前端部に達することなく、将来の口が開く場所に向かってそのまま伸びていきます。そのため、ここで示した”後期原腸胚”というステージを決めるのはなかなか簡単

本日のウニ:バフンウニ⑫原腸胚

受精後26時間の原腸胚です。体の後方(図の下側)から将来消化管になる組織が陥入します。陥入するところを原口(げんこう)と呼びます。胞胚期は一層の細胞層からできていましたが、間充織胞胚期に将来骨になる中胚葉組織が移入し、さらにこの原腸胚期で胃や腸になる内胚葉組織が陥入します。そうすることで、我々ヒトも含む左右相称動物は外、内、中間の3層構造をもった体を作り始めることができます。著名な発生生物学者であるLewis Wolpertが「人生において最も大切なことは原腸陥入である」と記

本日のウニ:バフンウニ⑪間充織胞胚

受精後22時間の間充織胞胚期です。本当は⑩の孵化前胞胚との間に孵化胞胚といって受精膜から出て、泳ぎ始めたばかりの胞胚期をはさみますが、すみません、単純に自分のパソコン内にその写真がないだけです。孵化後しばらくすると写真のように「間充織細胞」と呼ばれる細胞群が体の後方(卵の植物極側と一致)から胞胚腔の中に入ってきます。間充織細胞にはしばらく後に入ってくる別の一群もあるため、今回移入するこれらの細胞群は一次間充織細胞と呼ばれます。将来、幼生の骨を作る細胞で、⑧32細胞期の大小割球