批判とイデオロギー

5月19日に、困窮学生(?)に対して、1ひとり10万円or20万円を支給することが閣議決定されたと報道されたました。前の記事でも書いたとおり、個人的に応援していた議論の中で、政府の答えのひとつとして受け止めています。

これに対して、当事者の学生側の団体代表の発言として「10万、20万もらったところで」という発言を某報道番組が取り上げたようで、かなり批判的なコメントが散見されます。この発言をした記者会見の全容を知らないので、コメントしかますが、国公立の半期授業料が28万ということ、支給対象がかなり限られていること、などを考えた上での本心だと推察します(ただし、言い方は良くなかったと思います)。

私は学生時代(今も学生ですが)、6年間某ファーストフード店でアルバイトしてましたし、3年半ほど社会人をしていましたので、10万円を稼ぐためにはどれほどの労力を必要とするのかを知っています。なので、彼女の発言に対して、「"10万円"がどれだけ大金か分かっているのか!」という批判は、ある意味正しいと思いますが、問題の本質とはかけ離れたコメントだと思います。せっかく盛り上がった学生待遇についての議論なので、こうした上げ足を取る(取られる)発言は、すごく勿体ないと思います。

さて、実はこの発言をした方とは、一度お会いしたことがあります。彼女が代表を務める学生団体「ChangeAcademia」が主催するシンポジウムに参加した際に、現在の大学院生が置かれた現状や問題点について、熱心にお話しているのを拝聴しました。個人的にも、学生が置かれる状況について改善の余地があると思い参加しましたが、参加にあたり少し不安もありました。そして、その不安が今回の報道後の議論の中で浮き彫りになりました。

今回の発言が彼女のものだと知ったのは、ツイッターで議論になっていることを知った時でした。そして、その批判の中で、「彼女は何者だ?」という意見が多くみられました。もともと世間的には認知されていない団体ですが、ネット上にHPもあるので、調べれば簡単にヒットします。すると、ツイッターではこんなコメントが・・・

「この団体、赤く染まってるから」

このコメントを見たとき、「あーやっぱり言われたか」と思いました。このブログを立ち上げたときに書いた「注意事項」の中に「レッテルは嫌いです」と書いてますが、ひとつの議論の中では、右も左も、白も黒も赤も、関係ないと思っています。が、いざ議論が起こると、人はどうしてもその人の背景(イデオロギー的な)を知りたがります。もちろん、この人はどういう背景を持っているのか、という情報は必要ですが、その情報だけで「この人はこういう思想の持主だからヤバイ」という意味にはならないはずなのです。しかし、残念ながら人は理屈では動きません。本当に情けない。

前出のシンポジウムに参加するにあたり、私はどうしても背後関係(共〇党系?)が気になっていましたがこの団体の理念や学生が抱える問題については共感したので、参加しました。すると後日、「しんぶん〇〇」に、このシンポジウムの記事が掲載されているのを知り、「んー大丈夫かな?」と思ってしまいました。そして、上記のようなコメントが書かれることに。

今回の学生給付金のように、学生の待遇を改善するためには、国会議員や政党の力は絶大です(何せ国民の代表で主権の代行者ですから)。なので、団体の趣旨に賛同する(思想が近い)政治団体の協力を得るのはひとつの方法だと思いますが、世の中の人が見ると、「この団体は○○党に繋がっている」というレッテルを張られるデメリットもあります。すると、議論の内容(政策)に関わらず、「この団体は右だから支持しない」「この団体の背後には○○がいるから関わらない方が良い」という流れになりかねません(実際、今回の発言を通じてそういう流れになってますし)。

ここで書いた私の意見が正しいとは限りませんし、答えはひとつではないと思います。ですが、私はどうしても特定の政治団体とは付き合いたくないので、理想論かもしれませんが、どこの団体にも頼らず(もしくはすべての団体から支援を受けて)、学生だけで活動することができれば、と考えてます。なんとかならないかなー。