ムース事件

最近、髪の毛をセンター分けにしている。センターパートという言い方もあるみたいだけど、ここではセンター分けと呼ぶことにする。


思い返してみると、センター分けをするのはたぶん小2か小3以来だ。当時、父親が気まぐれでぼくの髪にムースをつけてセンター分けにしたのだけど、それが気に入ってしまったぼくは、その日から毎日父のムースをつけて学校に行くようになった。


堂本光一に憧れていたあの頃のぼくは、センター分けが世界一かっこいい髪型だと思っていた。友達から「カッコつけ」と言われようが気にせず続けた。


そんなある日、サッカーの遠征で県外(大阪だったかな?)に1泊2日で行くことになり、ぼくは遠征先にもムースを持って行くことにした。(この頃には父のではなく、もう自分用になっていた)二人一組になって、遠征先の子どもの家に泊まるというものだった。


2日目の朝、洗面所でムースをつけてセンター分けにし、一緒に泊まっていたおくやま君の髪にもムースをつけていた。すると、その家のお母さんから「お兄ちゃんたちのやつ勝手に使っちゃダメでしょ」と怒られてしまった。これが、「ムース事件」である。


まさか小2小3の男子が整髪料を持ってくるなんて思わなかったのだろう。その家のお兄ちゃんたちのものを勝手に使っていると勘違いされたのだ。ぼくが持参したものだとわかると、とても驚いていた。


そしてその日、さらなる事件が起こった。その日は大雨だった為、試合中にムースが取れてセンター分けが崩れてしまったのだ。前髪が鬱陶しいと感じたぼくはプレー中にずっと髪をかき分けていた。すると、それを見ていたコーチが大激怒。「邪魔なら切れ」と、試合後にハサミでバッサリといかれてしまったのだ。これが、「ムース事件その2」である。


この、2つのムース事件を経て、ぼくはセンター分けをしなくなった。


約25年ぶりのセンター分け。今はムースではなく、ワックスやグリースというのを使っている。5回に1回ぐらいしかセットが上手く決まらない。


今のところ、グリース事件が起こる気配は、ない。

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