百貨店社員の頃 犬

「ね~大川君、犬の模様の羽裏が
何処かにないかしら?息子が来年成人式
なので、着物を作ろうと思って」
お得意様から、お尋ねが有りました。

自店はもとより、都内百貨店と専門店に
問合せました。どうにも見つかりません。
困り果て{そうだ!京都で聞こう}と
思い立ち、旧知の帯屋さんに探すのを
お願いしました。

一週間余で返事が有り、問屋が持っている
との事でした「直売はできません。四条の
高島屋さんに納品するので、そちらで購入
して欲しい」との伝言でした。

電話で品物を確認の上予約、定休日を利用
して京都へ。品物を買って、帯屋さんに
お礼に伺いました。
ご主人から「早めの夕食を」お誘いを受け、
本物の京料理を某有名店でご馳走に
なりました。

「まあ大川さん、そこ迄やるんですか?」
いささか呆れられました。{いえいえ京博の
催しも見たかったし・・・}言い訳がましく
返答しました。{お礼に伺って、かえって
お食事を頂戴して有難うございます}
「私は貴方と話すのが大好きだから、こちらこそ
楽しかったよ」嬉しいお言葉でした。

にこやかな帯屋ご主人に送られ、京都駅へ。
東京へ21時に着きました。疲れより満ち足りた
気持ちに包まれ、幸せな一日旅でした。

続く