茶道余話 合宿

大学茶道部の合宿、先輩の実家伊勢の

禅寺を拝借しました。ここで我々は、世にも

恐ろしい体験をしたのです。

或る晩、夜の稽古を終えて本堂周りの廊下で

涼んでいました。眼下には墓地、その先には

漆黒の闇・・・ふいに誰かの叫び声が聞こえました。

皆でそこへ駆け付けると「あそこを見て、墓石の

間を何かが動いている!」よく見ると薄明りの元、

何か白い影が過ぎました。

全員思わず後座すりしました。一同の中で怖がらない

私が選ばれ、下の墓地へ降りて見ました。

生暖かい風が全身を包みます。思わず{大聖不動明王}

と御真言を唱えました。すると私の手に、何か湿った様な

手触り~何と白い大きな犬が、鼻先を付けて甘えて来ました。

こうして茶道部に語り継がれる事になった、怪談が生まれた

のです。

因みに大きな甘えん坊は、下の方の家の飼い犬でした。