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俳句

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2021年10月の記事一覧

俳句 園芸

「腐葉土の 出来は上々 秋深し」

大きな入れ物で作った、腐葉土。

切り返して見たら、良く出来ていました。

これをもらってきた畑の土と混ぜ、

しばらく寝かして、春に使います。

俳句 外出

「履き慣れし 草履取り出す 秋麗」

余りに素晴らしいお天気。近辺の社寺

参りを、思い立ちました。

着物の準備は完了、さあ履物を選びましょう!

俳句 遠島

「椿の実 上皇の御所 朽ち果てて」

茶道誌 淡交11月号に採って頂きました。

茶友から電話が入り「後鳥羽院でしょ、

隠岐でしょう。貴方らしい!」

まあ後鳥羽院に限らず、遠島となった

帝・上皇様方を思いました。

こんな風に歴史を詠むのが、大好きです。

俳句 柿

「柿紅葉 祖父母おわせし 日の遠く」

柿の葉が美しい色を見せています。

この頃となると祖母は着物・寝具の冬支度を

急ぎました。祖父は菊一色の生花に、取り組む

日々が続きました。それを見ていた少年時代の

私は、とても幸せでした。

俳句 お寺

「黄落の 道は山門 本堂へ」

ようやく辿り着いた階段の先に、

立派な山門が見えます。それを

やっと上り切ったら、本堂は未だ

だいぶ先でした。

銀杏の葉は、滑り易いので注意せねば

成りません。

俳句 林檎

「独り居て 林檎の色に 励まされ」

祖父母・両親が亡くなり、独居老人に

なってしまいました。同じ敷地に兄が

住んではいますが・・・

独りで寂しいと思う事は有りません。

それでも沢山の思い出に、負けそうな日も

有ります。そんな時大好物の、林檎の

赤に元気をもらいます。

俳句 実物

「木通の実 割れて話すは どんな事」

あけびの実が、ぱっくりと口を開けています。

さてさて隣同士で、何を話しているのでしょうか?

少し風に揺れ、話は長く続きそうです。

俳句 外つ国

「桐一葉 姪は異国へ 嫁ぐとか」

待っていた吉報です。やっと姪が結婚、

アメリカの人とのご縁で渡米するとか。

少しばかり手元で御茶を仕込みました。

外国ならイケバナを指導すれば良かった!

今更考えました。

広大なアメリカのどこに住むのでしょうか?

俳句 上を見れば

「銀杏黄葉{キバ}堀川通り 上り行く」

お馴染みの堀川通り。今出川との交差点を

過ぎると、景色が一変します。

辺りが銀杏の黄色に包まれるのです。

余りの美しさに、寺の内より一つ前の

バス停で下車。左右の景色を楽しみながら、

御家元への道筋を進みます。

俳句 遠い・・

「流星を 共に見し人 忘られず」

あの人は星が好きで、星座にも詳しい人でした。

灯りの少ない公園・海岸などで、時間を忘れ

星を眺めました。

その時見た流星には、たった一つの願い事を

しました。今でも夜空を仰いでいると、その人の

口調や横顔が浮かんで来ます。

俳句 遠景

「薄紅葉 松の間に 見え隠れ」

松林の先に、薄く紅葉した木が見えました。

松の緑が紅の色を、とても引き立てています。

この道をもう少し進み、何の紅葉か確かめたく

なりました。少し歩を早めます。

俳句 実物

「床の間に 落ち着き醸す 実紫」

すさ{藁}の入った侘びた壁色に、紫式部の

実が良く似合います。浜菊の白との組み合わせも

良く、落ち着いた雰囲気となりました。

俳句 思い出の味

「胡桃入り 母のケーキの 懐かしく」

料理は不得手だった母、お菓子作りだけは伯母

直伝で作ってくれました。今思えば粗末なケーキ

ですが、あの頃は余りケーキ屋なども無くて・・・

母のケーキは、貴重なおやつでした。

俳句 川沿いに

「柳散り 信念揺らぐ 日も有るや」

それは細い柳の葉が、簡単に風に揺れ

散り敷きます。枝がそよぐたびに、

パラパラと落ちる感じでした。

ふと自分のやり方は間違っていたのでは?

と胸に疑念を抱いたのでした。