千早愛音が解けるとき

BanG Dream! It's MyGO!!!!!の千早愛音について書きたいと思います。

彼女のポリシーは「成功」をデザインして、省エネでやり遂げ、
目立ってアピールして褒めてもらう。
ある意味で、類型的な現代っ子と言えましょう。

んでもって、それをできてしまうぐらいのハイスペッカーです。
クラスで1人くらいの世界にいれば、彼女は狭い世界で「なんでもできる愛音ちゃん」として成功し続けたはずでした。

最初の挫折は留学の失敗。
英語に全くついていけず、持ち前のコミュニケーション能力も発揮できない。
背伸びして大海に出たら跳ね返される。
現代人の殆どがインターネッツで体験するアレです。わーお。

日本に戻ってきた愛音は、以前と同じやり方で再チャレンジしようとします。

打算感覚で燈に声をかけて、巻き込もうとしたバンド活動。
実は巻き込まれてるのは自分でした。

燈の歌と歌詞、立希・そよ・楽奈の演奏技術を目にして、自分が主役になれないことにどんどん気づき始めます。

ここで挫折ポイント2。

スタジオ練習は回りがもう全員英語喋ってる状態です。
一応練習もしてるんですけどね。

愛音にとっては同じ失敗の繰り返しです。
焦りも劣等感もどんどん襲ってきてしんどい。

逃げたくはないけど、前にも進めない。

ここからがMyGO!!!!!のすごいとこ。

燈と愛音の水族館シーン。

自分とあなたの悩みは違うけど、自分とあなたが悩んでいる今は同じ。だから一緒に進もう。

燈が言ったことは愛音にこう伝わったと思います。

ずるくない???
もうずるいですよね。
3話であれだけ重い重い燈の話を踏まえてのこれです。

ここで愛音は前に進むエネルギーをもらいました。
結果的に燈は過去の愛音も救ってるんです。
ね。

すごい脚本。

真剣にやるのはつらいです。
明らかに自分が実力がないのを、自覚しなきゃいけない。
恥もかくし、みじめな思いもする。
それでも、なお練習すると決める。

ところが、MyGO!!!!!には次の挫折が待っています。

自分が不要だと思われていたと知ったとき。
それはもう、、、ポッキリです。

すでに、愛音は自分のスタイルを曲げてここにきてるんですよね。
居場所自体が無いのであれば、必要とされていないのであれば、もうそこにいる必要はない。

そんな場所からは離れてしまえばいい。

そうと決めていたはずなのにです。
燈と愛音の屋上シーン。

燈からの強い呼びかけに、愛音は静かに腹をくくりました。
もしかしたら自分でも意外だったのかもしれません。

「あーあ、燈ちゃんのせいだよ」

自分のスタイルと一番遠いことをやろうって。
一番コスパの悪い人間vs人間をやるんだって。
描いたルートでもない、どこにたどり着くかもわからない迷路を進むんだって。

人が未知の自分に変わる瞬間。
その輝きがギラギラして、見る人の脳をぶっ刺してきます。

尊いですね。

そこからの展開は10話を見た皆さんは御存知のとおり。

そして進んだ先でやっぱり千早愛音は千早愛音のままでもあります。

ウザいネーミングセンスを発揮してはそよにため息を疲れ、目立とうとして立希に呆れられ、演奏技術にはいつも不安だけど、鏡の前で練習してきたであろうハートマークはきっちり披露していきやがります。

そんな千早愛音が大好きです。

#バンドリアニメMyGO感想文コンテスト

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