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シダクロスズメバチの巣から出てくるハチの頭盾の模様を観察

去年からの宿題
下の写真は、去年出会ったハチです。複眼の横の白いパターンからシダクロスズメバチであると考えます。しかし、頭盾とうじゅんの模様は、典型的なクロスズメバチのそれとそっくりです。

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このような模様を持つクロスズメバチについて、次の記事を書きました。去年のことです。

結局、複眼の内側の模様だけで判断することにしました。

しかし、自分の目で確かめたいわけです。実際のところを。
シダクロスズメバチの巣から出てくるハチの顔面の模様を観察したい、そんなことを、去年からずっと考えていました。

巣の
巣を見つけるには、ヘボ追いでもしないことには実現しないだろうと、あまり本気で考えていませんでした。が、なんと、足元にありました。最近は、虫を探して足元ばかり見て歩いているわけです。もちろん、低空を飛ぶクロスズメバチにもアンテナを張りながらです。
そんなとき、なんか黒くて小さなハエ?いやハチが飛んでいるのに気づきました。で、行動を観察していたら発見してしまいました。巣穴を。
穴から出てくるハチの顔を見ると、シダクロスズメバチでした。

観察
後日、動画撮影の機材を用意して現場へ。
巣の周囲に警戒するハチがいるでもなく、出入りするハチもこちらを気にする様子はありませんでした。
長い時間巣の前にいるとハチに怪しまれると思いましたので、カメラを据え置いて録画を開始した後は、巣から離れて、ちゃんと録画されているかを監視することにしました。

結果
次の写真のようなシダクロスズメバチが映っていました。

シダクロスズメバチ1-1-DeNoiseAI-low-light.jpg

次も、同じ個体。

シダクロスズメバチ1-2-DeNoiseAI-low-light.jpg

頭盾の口に近いところに着目します。
写りが悪いですね。
よく見ると、白い模様が繋がりそうで、完全には繋がっていないように見えます。黒い縦線が見えると言えば見えるかも、そんな感じ。

次は、多分、上とは別の個体と思うのですが、白い模様が大顎付近で接していないことが明らかです。

シダクロスズメバチ3-1-DeNoiseAI-low-light.jpg

他に映っていたのは、全て次の写真のようなタイプでした。個体の重複もあるかもしれませんので、数は気にしないことにします。
白い模様が完全に左右にわかれ黒色の地が見えているのは、典型的なシダクロスズメバチの顔面と言って良いのかなと思います。

シダクロスズメバチ2-1-DeNoiseAI-low-light.jpg

ほとんどの個体が、外見上、明らかにシダクロスズメバチと言えましたので、巣はシダクロスズメバチのものであると言って間違いないと思います。そして、そこにいたハチは、全てシダクロスズメバチと言ってよいのでしょう。
しかし迂闊なことは言えません。DNAを解析しないことには、真実を語ることはできないのです。

次の写真は、先日の記事に登場してもらった個体です。頭盾中央部で、左右から来た白い模様が、ギリギリつながっていません。

今回の観察では、頭盾の模様がクロスズメバチの特徴と完全に一致する個体を確認することはできませんでした。

撮影覚書き

カメラはフルマニュアルに設定。
シャッタースピードを 1/1000 秒か、場合によっては 1/500 秒に。
絞りは、F8 だったか。
ISO は記憶にありませんが、画質を見ると結構上げていたと思います。

外部レコーダーで記録。
1920 × 1080 px、59.94p。
最初、4K60p で始めたのですが、ドロップアウトが多発したため、コマ速は落とさず、サイズを Full HD にダウン。

飛び立つ前に歩いているハチを撮ることになりましたので、シャッタースピードを遅くしてISOを下げたらよかった気がします。
ドロップアウトの原因は、HDMI 変換ケーブルだと思います。どうやら 4K30p が限界のようなので、変換ケーブルを使うのはやめて、4K60p 対応のケーブルを買おうと思います。

動画の1コマ、トリミング無し、暗すぎました

この記事を書いていて、面白い記事をみつけました。貼り付けておきます。


模様の表現について
 自分には、クロスズメバチの模様は黒地に白に見えます。したがいまして、よく言われる、頭盾中央の「黒条」という語は使っていません。

各部名称について

アカデミックな事は、日本語サイトではなく英語サイトを見よ、ということで、次の記事。

用語の訳
Compound Eye:複眼ふくがん
Frons:前頭ぜんとうがく
Clypeus:頭盾とうじゅん
Gena:ほお
Mandibles:大腮だいさい(たいさい?)
Labrum:上唇じょうしん

読みはこれで合ってますかね?


ところでクロスズメバチの頭盾って、ここで良いでしょうか。

顔面の図

この記事の下に図が並んでいますが、ハチの顔の図の1番のところ。
クロスズメバチで言うと、顔の下半分の白い模様がある部分を頭盾としています。


こちらは、Parasitoid wasp 寄生蜂の用語集です。

詳しい説明に期待しました。同じハチなので、共通点は多いと思います。しかし、顔周りの構造が違うために、どこが頭盾かを判断する材料にはなりませんでした。

素人は、刺されないうちにやめておけ、ということでこんなところで終わりたいと思います。

t.koba

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