イワツバメは、もうやってこない
昔は、この小さな川にイワツバメがやってきていた。
橋の下に巣を作って子育てもしていたように記憶している。
ある年、川に鯉のぼりが掛けられた。各地でよくやっているアレである。
いつもの年のようにイワツバメがやって来ていたのだが、川に鯉のぼりが掛けられてから次第に姿を見なくなり、ついには全く見なくなってしまった。
翌年、イワツバメが戻ってきた。鯉のぼりの登場までは、いつものように飛び交っていた。
が、鯉のぼりの登場とともに姿を消してしまった。
鳥見の先輩と、鯉のぼりが掛かってから見なくなったという話をしたように記憶している。
あれから何年経っただろうか。
イワツバメはもうやってこない。
鯉のぼりがあろうとなかろうと関係なく、姿を見せなくなってしまった。
人間なんて身勝手な動物だな、と思う。
t.koba
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