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虫を呼ぶために山うどを植えた

虫を呼ぼうと考えて、山うどを植えた話。



俺のヤツデ

他人のヤツデ

ヤツデの花に虫が来ていると人に聞いて以来、それを撮影するのが毎年恒例のイベントになった。

ヤツデの花

場所は、自然環境保全センター。
去年、ヤツデは、花が咲く前にバッサリと切られてしまった。これでは虫は期待できないと落胆していた。

ヤツデの仲間、他人のやつ

そんなある日、ときどき通る道沿いの畑にいいものを見つけた。ほとんどが土だけになった畑の一角に雄々しく茂る植物があった。それには白っぽい花が咲き、虫たちがたくさんやってきていた。
あのみすぼらしい姿にされてしまったヤツデなんかどうでも良くなるくらい虫を楽しんだ。
花はヤツデに似ていたのでウコギ科の植物に違いなかった。しかし、品種まではわからなかった。

畑に生えていたウコギ科植物の花にアシブトコバチ

俺のヤツデ

自宅には、ヤツデが生えている。
自分で植えた記憶はない。勝手に生えてきた。鳥が種子を落としていったのだろう。ヤツデは大きな葉をつけるので邪魔に思っていた。そこで根本から切るのだが、切っても切っても復活してきた経歴の持ち主である。
今度こそ完全に取り除いてやるぞと“ヤツ”の根のあたりを掘っていたが、途中でやめた。ふと、虫を呼んだらいいのでは、という考えが浮かんだのだ。そこで、撤去するのをやめて、復活させることにした。
このヤツデなら、他人に勝手にどうこうされることはない。完全に、こちらの管理下にある。好きなようにできる。こんなに良いことはないな。

“俺のヤツデ”だ。

ヤツデは復活した。新しい葉を出すたびに、少しずつ大きくなっている。
最初、葉が大きくなったら、冬に葉の裏に隠れている虫を探そうとか、そんな考えだった。
葉の裏にクロスジホソサジヨコバイを見つけたときは嬉しかった。狙いどおりの結果だった。

“俺のヤツデ”の葉裏のクロスジホソサジヨコバイ

去年、“俺のヤツデ”に花が咲いた。
花が咲くのはまだ先のことと考えていたし、冬の葉裏の虫のことしか考えていなかったので、気づいたときには、今にも咲きそうなほど大きくなった蕾を付けていた。
(すでに咲いていたかもしれない。記憶があいまいなので、蕾だったということにしておく。)
結局、その年、“俺のヤツデ”の花に虫がやってきた。そしてたくさんの虫を撮影することができた。“他人のヤツデ”にやってくる虫たちに比べて、“俺のヤツデ“の虫たちは普通っぽいやつばかりだったが、楽しい時間を過ごすことができた。

“俺のヤツデ”の花にやってきたニホンミツバチ

俺の山うど

もっと“俺のヤツデ”があったら、楽しいだろうなと思った。
“俺のヤツデ”はこのまま大きく育てるとして、ほかの種類を植えようと考えた。あの畑に咲いていた花が頭の片隅にあった。そこでウコギ科の何かにしようと決めた。
「うど」や「たらの木」ならホームセンターの園芸コーナーで入手できるはず。春先に山菜の苗として並ぶはずだ。

山うどを植えた

ホームセンターに山菜の苗が並んだ。
選択肢は、やはり「うど」と「たらの木」だ。
どっちにしよう?

2月16日、うどの苗を買ってきた。

うどに付属していたラベル

ポリポットの中で、芽と思われる尖ったものが2つ顔をのぞかせていた。
植えるためにポットから出したら、三角形の小さな芽が2つ付いた数センチの棒だった。
こんなんで、芽が出てくるのだろうか。不安でいっぱいになった。

暖かくなっても芽は出てこなかった。不安はつのる。

土の中で腐ったのではないか、虫に食べられてしまったのではないか、もしも芽が出なかったら泣き寝入りするしかないのか、お店は補償してくれるのだろうか、などと不安になった。

まだ「やまいもの」ツルだって出てきていないのだから、「うど」もまだなんだよ、とか根拠のない理由を見つけて、不安を解消しようとした。

やっと芽が出た

4月も半ばを過ぎたころ、やっと芽が出てきた。

2024-04-18

葉っぱが開いてきた。

2024-04-21

伸びてきた。

2024-04-30

これが「うど」か、「うど」なのか?
ヒョロヒョロの草だった。
今年は、どこまで大きくなるだろうか。花が咲くのはいつだろうか。

苗のパッケージに「収穫の目安、植付後2年以降」とあった。食べる場合は、再来年まで待てということか。
食べるほど大きくなる前に、花だけでも早く咲いてほしい。

t.koba

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