単写縛りで野鳥撮影
撮った写真がピンぼけばかりだとがっかりする。
コンパクトカメラで記念写真を撮る分にはそれほどピント精度を気にすることはなかった。しかし野鳥や昆虫ばかり撮影するようになり、解像感を重要視するようになった。等倍に拡大してもシャープに見えることを希望している。
AF の精度に不満
カメラのオートフォーカスって、思うところにちゃんとピントが合うものなのだろうか。
鳥は動くので、マニュアルでピントを合わせるのは難しい。そこでオートフォーカスで撮影するのだが、このオートフォーカスというやつには、色々と問題がある。気になる点を2つだけ挙げる。
1.微妙に前ピンだったり後ピンだったりする。
2.目的と違うところにピントが合う。
これらの根本原因は同じなのかもしれないが、原因があって解決できるならば知りたいところだ。しかし、答えはなかなか見つからなかった。
どうすれば最高にピントが合った写真が撮れるのかと、長いこと悩んできた。
光学ファインダーでマニュアルフォーカス
カメラのオートフォーカスは信用できない。だから、とりあえずオートフォーカスで撮っておいて、余裕があったらマニュアルフォーカスでピントを追い込もうと考えていた。
しかし、光学ファインダーでピントの山を掴むことは、自分には無理だった。
ファインダー像が、小さすぎる。そもそも2000万画素クラスのカメラのピントをあの小さいファインダーで確認するのは無理なんじゃないかと思う。
頑張ってみたが、満足できる結果を生むことができなかった。
フルサイズ一眼レフ
APS-C サイズよりファインダー像が大きいフルサイズのカメラなら、ピントの山を掴みやすいのではないか。そう思って試してみた。
たしかにフルサイズの方がファインダー像は見やすい。ピントあわせもしやすいように感じた。
が、しかし、ピントが合ったという確信は持てないままピントリングを回しているような状況だった。
ファインダーに拡大レンズ装着
よく見えないなら、ファインダー像を拡大すれば良い。そう考えて、接眼部に拡大レンズを装着した。
TENPA というブランドのマグニファイイングアイピースを使っていた。
フルサイズには 1.22x、APS-C には1.36x を装着。
装着前よりも見やすかったので、長期に渡って使用していた。
しかし、オートフォーカスで最高にピントがあったときには勝てなかった。
どうも自分には、マニュアルフォーカスしたときに、ピントのピークを外してしまう癖があるようだった。そのために、ピンぼけ写真になっていたと思われた。そもそもピントの山が見えていなかったということだ。
ミラーレスカメラに移行
一眼レフとはオートフォーカスの機構が異なるが、手にしたミラーレスカメラのオートフォーカスは、性能的に良くも悪くもない感じたった。
オートフォーカスの後に、マニュアルでピントを追い込むというスタイルを継続。
電子ファインダーでマニュアルフォーカス
ミラーレスカメラを使い始めたのは、2019年の夏だった。市場にミラーレスカメラが出回り始めた頃の製品に比べたら、その製品は実用的な性能に達していると思われた。
ピント精度の向上につながる良い点もいくつか備えていた。
1.強力な手ぶれ補正
2.ファインダー像の拡大機能
これらの機能のおかげで、超望遠レンズを手で支えながら、ファインダー像を5倍に拡大してマニュアルでピントを追い込む、なんてことができるようになった。
オートフォーカスでピントが合うのはまぐれ
オートフォーカスのピント精度に悩んで得た結論がある。それは、「オートフォーカスでピントが合うのは、まぐれに違いない。」ということだった。
そのため、マニュアルでピントを追い込む必要があった。必要があったというか、そうしないと気が済まなかった。
ここ4年余り、オートフォーカスで撮影したあと5倍拡大表示でマニュアルでピントを合わせる、というスタイルを続けてきた。
撮影コマ数の増加
ピントが甘い写真が多かったので、たくさん撮れば中には良いものもあると考えた。そして、連写しまくった。カメラが新しくなるたびに秒あたりのコマ数が増えたことも手伝って、どんどん撮影コマ数が増えた。
昔は、撮影当日に写真を整理し終わっていたものだったが、最近は2日かかっても終わらないなんてこともよくあった。
写真を整理する時間が足りない
このままでは写真を整理するだけで人生が終わってしまうと思った。
そこで、考えた。
連写したコマを整理していると、傾向的な現象が存在するように見えた。
最初の1コマ目か2コマ目のどちらかがピントが良くて、あとに続くコマは何コマあってもピントが甘いのである。
連写中に、フォーカスの精度を低下させる何かが起きているのだろうか。
そうだ、「単写縛り」で行こう!
連写をやめてみるか。
連写をしないメリット
1.撮影コマ数が減るので、保管場所を節約できる。
2.撮影コマ数が減るので、短い時間で整理できる。
3.撮影コマ数が減るので、短い時間でコンピューターにコピーできる。
4.ピントの精度が向上する、かもしれない。
単写縛りを始めたのは、去年の12月25日のことだ。
これを書いている今も、ほぼ全て単写で撮影している。
単写縛りでわかったこと
基本、フォーカスポイントを被写体に合わせ、親指でAFスタート、シャッターボタンを押して連写する、という流れで写真を撮っていた。
まったく普通の流れのようだが、実は、合焦したかどうかをしっかりと確認せずにシャッターを切っていたのである。コンティニュアスAFであれば、連写中にピントが合うだろうと考えていたのかもしれない。
やりかたは、被写体認検出(鳥)の機能を使うようになってからも同じで、鳥を検出したら即、シャッターボタンを全押しして連写、みたいになっていた。
単写縛りをしてからは、ファインダーに表示される情報をよく見るようになった。
被写体の位置に、測距点が緑色で表示されるのを確認してから、つまりピントが合ったことをカメラが表示してからシャッターボタンを押すようになったのである。
手順のイメージは、下の方の「シャッターボタンを押すまでの手順(単写)」を参照。
合焦するのを待つ。
そんな当たり前のことを忘れていた自分に気づかされたのである。
撮影コマ数の減少
単写で、撮影コマ数がだいたい10分の1くらいに減った。
数千コマだったのが数百コマに減った感覚である。
時間ができたので、残す写真を精査するようになった。そこだけ時短の目的に逆行する。写真の選別の仕方が、今後の課題である。
ピント精度は?
感覚的なものだが、ピントが合った写真が増えたようだ。
小さめに写った鳥も、ボケずに写っているコマが増えたと思う。
単写の場合は、合焦しているかどうかを確認しながらシャッターを切るので、その辺が違いとして現れているのかもしれない。
親指AF
親指AFというものがある。
シャッターボタンを押した瞬間、AFがスタートしてしまいピンぼけ、絶好のシャッターチャンスが台無しなんてことはありがちである。それを避けるため、シャッターボタンでAFするのをやめ、親指で押せるボタンにAFを割り当てるのである。
野鳥を撮影するなら親指AFをすべきなどという輩もいるようである。
親指AFの目的ってなんだろう?
1.構図を変えたときに目的の被写体からフォーカスが外れるのを防ぐため
2.被写体が動いた時に、フォーカスポイントが遠くに飛ばないようにするため
3.置きピン用のピント合わせをオートで行うため
1番と2番は似ている。
1番の目的ならば、フォーカスロックを使ったら良いだろう。
2番、被写体が動いたときだが、自分の場合はフォーカスポイントを移動してオートフォーカスでピントを合わせる。
3番はないな。置きピンで鳥にピントが合うとは思えない。
まあ、要するに、AF中に被写体がフォーカスポイントからずれてピントが大きくずれてしまう問題を回避したいのである。
AFを止める指は、親指でも人差し指でも構わない
親指AFの場合
AF-ONボタンを押して鳥にピントを合わせる。
フォーカスを固定したいと思ったときに、ボタンから親指を離す。シャッターチャンスと思ったら、シャッターボタンを全押しする。
シャッターボタン半押しでAFスタートしないようカメラを設定しておく。
シャッターボタン半押しAFの場合
シャッターボタンを半押しして、AFをスタートする。合焦を確認してシャッターボタンを全押しする。
フォーカスを固定したいときは、AF ロックボタンを押す。
鳥がいないところにフォーカスしようとするろくでもない設計
被写体認識などというものがある時代にも関わらず、いまだにオートフォーカスが系しない動きをする問題はなくならない。
なぜオートフォーカスは、鳥がいるわけもないところにピントを合わせに行くのだろう。もう少し賢くなってもらいたいものだ。
今まで10メートルくらいのところにいる鳥を撮っていたのに、突然無限遠に移動するなんてことがあるわけがないのに、フォーカスポイントを外れると、どこかしらない遠いところに行ってしまうのだ。
間抜けな挙動に、腹が立つ。
AF中にフォーカスが飛んでしまうのを防ぐには
コンティニュアスAF中に鳥が動いてフォーカスポイントから外れてしまうと、フォーカスが飛んでしまう。
某社のユーザーは、どこかに飛んで行ったきり、鳥に戻って来ないと嘆いていた。
今、自分が使っているカメラにもそれはあったと思う。
そんな時は、次のようにしている。
1.鳥がいるあたりの距離をレンズにメモリーしておいて、フォーカスが飛んでしまったら、レンズのボタンを押してメモリーした距離にピントを持ってくる。
2.カメラのフォーカスリミッターを設定して、カメラが、鳥がいない距離にピントを合わせようとするのを止める。
1番か2番、どちらかを使用することになるが、自分はたいてい1番を使う。
そもそも最初からAFしない場合は
鳥を検出するところまで、フォーカスリングを回してみる。
それで鳥を検出しなかったら、マニュアルで合わせるしかない。
単写の場合、親指AFはいらない
単写の場合、親指AFはかったるいと感じる。単写縛りでは、親指AFもやめてみた。
基本、AF動作を止める必要はないので、親指AFは必要ない。
そうは言っても、フォーカスをロックしないとピントが合わないケースがある。そんな時は、マニュアルフォーカスに切り替える。
そして、心の中で次のようにつぶやくのである。
「被写体検出で検出できない鳥なんか絵にならない。」
「枝や背景にピントが持っていかれるようなシーンも絵にならない。」
負け惜しみである。
メカシャッターで良い
単写の場合、秒あたりのコマ数は問題にならないので、メカシャッターが良い。
ローリングシャッター歪みが嫌いなのだ。シャッター音が問題にならない限り、歪みの少ないメカシャッターを使いたい。
メカシャッターを使ってみると、たまにシャッター音を気にする鳥がいるかなあという感じ。
シャッター音を聞きつけて寄ってきた野鳥カメラマンがいたかは、わからない。
単写でも連続撮影
人差し指でシャッターボタンを連打する。
秒3コマくらいは行けるんじゃないだろうか。
親指AFはスポーツや報道系のカメラマンに多い?
野鳥カメラマンには、スポーツや報道系のカメラマンに共通するところがあると思う。
それは、一瞬の出来事を切り取るということ。
シャッターボタンを押した瞬間、フォーカスが大きくずれてしまって決定的瞬間を撮れなかったら、一生後悔することだろう。
シャッターボタン半押し中の親指の所在
自分の場合、鳥を追いながら親指側のダイヤルで露出補正する。シャッタースピードと絞りは、鳥を追っているときは操作しないことが多い。
親指AFをしないメリットとして、親指で他のことができると言う。試しに、シャッターボタンを半押ししながら親指でダイヤルを操作できるかやってみたが、自分には無理だった。親指でカメラをグリップしていないと安定しないため、人差し指で半押しをキープしつつ親指で何かをするのは、難しい。
Gallery 〜単写縛り〜
Gallery の写真は全て、note に貼るときのやりかたでトリミングとリサイズを行った。
シャッターボタンを押すまでの手順(単写)
被写体を検出したらシャッターボタン半押しでAFスタート、鳥の目にピントが合うのを待ってシャッターボタン全押し。
ハクセキレイ1
コガモ
ハクセキレイ2
カワラヒワ
合焦マーク:上の画像の左下に見える緑色の丸。
AFターゲット:緑色の枠がピントが合ったところに表示される。
測距点:1053点が画面全体に分布している。
撮影時の情報が表示された画面は、モニターモードのHDMI出力である。撮影画の左右に黒味が追加され、16:9の比率になっている。
自分のカメラの場合、撮影情報が幅いっぱいに広がって表示されるものらしい。ファインダー表示は、撮影画像の内側に表示される。
まとめ
ピンぼけ写真が多くて悩んでいた。
連写が悪さをしているのではないかと仮説を立て、単写縛りをやってみた。結果、ピントが合った写真が増えたように感じる。
単写縛りで分かったのは、自分はこれまで、合焦しないうちにシャッターボタンを押し続けていたということ。多分、間違った使い方。
もしかしたら、連写の場合でも、合焦を確認してから連写を開始すれば問題なかったのかもしれない。
シングルAFとコンティニュアスAFの差はなさそうだったので、動いている鳥にはコンティニュアスAFを使いたいと思う。
基本的に、次の設定で良さそうな感じ。
・単写
・コンティニュアスAF
・被写体検出:鳥
・メカシャッター(10コマ/秒)
t.koba
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