『囀る』との出会い、「Don't stay gold」感想(ネタバレあり)
(タイトル画像)https://pixabay.com/ja/users/kuniiskywalker-20892383/
ヨネダコウさんの漫画『囀る鳥は羽ばたかない』について、出会いと、「Don't stay gold」の感想を書きます。
出会いはネットの試し読み
以前少し書きましたが、私が『囀る鳥は羽ばたかない』(以下『囀る』)を初めて知ったのは、7巻発売当時のことです。
ネットの試し読みで、「Don't stay gold」を丸々1話読みました(7巻発売キャンペーンで多めに読めた)。
試し読みで面白かった作品はそれまでにもたくさんありましたが、財布の紐が堅く、購入に至ることは一度もありませんでした。
にもかかわらず、『囀る』は紙の本を全巻まとめ買いしてしまったのです。
それはなぜか?
エロの力(注:百目鬼ではなく)
話が面白かったのはもちろんです。
登場人物も魅力的でした。
でも一番の理由は、描かれている男性に、猛烈に色気を感じたことでした。
大きな手、ゴツい関節、長い胴、広い肩、筋ばった腕、喉仏、顎のエラ。
タバコ、丸まった背中、腰履きのズボンにベルト、シャツ、ランニング(←表現が古い)。
男性特有の体つき、服装、仕草が、太めの線で描かれ、終始男臭さを放っていました。
そのせいで、実際の絡みのシーンは少なく、短いのに、そこに至るまでのドキドキがものすごく、むしろそっちにエロを感じました。
そんな作品だったので、手元に置きたくなったのでしょうね。
「Don't stay gold」感想
本編をガッツリ読んだ今となっては影山に全く興味はありません(スマン)が、「Don't~」で初めて見た影山は、すこぶるカッコよかったです。
長身、短髪、細いけどガッチリ。
大人で、少し枯れてるところもいい。
そんな影山が、14歳年下の「イケイケな」久我と同居することになり、さてどうなるか……というお話。
葛藤があって、衝突があって、邪魔が入って、最終的に丸く収まる。
王道の展開は、登場人物の色気とは裏腹に、実に清々しいです。
印象的なシーンをあげていきます。
影山が初めて久我を見るシーン。
久我のアップ→影山のアップ。
この2コマで、影山が久我に興味を持ったことがわかる。
何でわかるんだろう?
目つきかなぁ?
いや、こちらの期待がそうさせているのかも。
「この人とこの人が恋に落ちそう」という期待。
久我の方は早々に「モロ好みなんだよな あんたの顔」と言っている。
漫画って意外と内面重視で、登場人物が相手の「内面の」どこに惹かれたのか、しっかり説明する傾向にある。
その点、ヨネダさんの作品はそういった説明がなく、「顔が好み」、「綺麗だと思った」で済ませちゃうところが結構好き。
外見から興味を持ったとしても、相手と関わる中で結局は内面に触れることになり、より好きになったり冷めたりするんだから、それでいい。
影山と久我が、ちゃぶ台を挟んでご飯を食べるシーン。
横からのアングルの、背中の曲がり具合が好き。
影山「お前だと シャレにならん」。
なに、この男前ショット。
その後の久我の2コマ。
久我の心の中で、“何か”が動いたことがわかる。
とりあえず、「何か」でいい。
はっきりわからなくていい。
そういうのがつもり積もっていくのが楽しい。
扇風機~~からのシーン。
初めての接触はドキドキするよねー。
「疲れマラ」という言葉を初めて知った。
影山「──続き… 帰ったらさせろ」。
っかーーーーー!!
ついさっきまでヘタレだったのに!
その後のやり取りが、全然ロマンチックじゃなくて新鮮だった。(笑)
でも、
久我「心臓ぶっこわれそ…っ」
が、すごくいいと思った。
今回読み返して気づいたのだが、一番最後のコマに出てくる縁側。
よく見ると下に花火が置いてある。
水の入ったバケツも見える。
いつからここに?、と戻ってみると、久我が出て行った後に、影山がひとりで線香花火をするシーンがあった。
仲直りしたから、これからは2人で花火が出来る、ということだよね。
大事なところを見落としていた。
エロには敏感なのに、情緒ゼロで恥ずかしい…。
ちなみに、この花火は影山が買ったと思うんだけど、どのタイミングで買ったのか。
影山が線香花火をやった時は、もう買ってあったと思うんだよね。
久我と生活する中で、あぁ夏だし花火とかやりてーな(久我と2人で)、とか思って買っておいたのかな。
そんな想像をしたら、影山のことが急にいとおしくなった。
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