見出し画像

ウマ娘トレーナーのためのよく分かる日本競馬 春のGI戦線編

みなさん、ウマ娘やってます?
環境が激変して、課金しないと勝てない時代に突入しました。
待てよ…どうせ課金するなら競馬に課金したいな?と考えたそこのあなたにこの記事を送ります。


ウマ娘から競馬にハマった方は、ウマ娘に存在するレースが「なんとなくすごいレース」というのは分かっても、どういう立ち位置で、どう凄いのかは分かってないはず。
そもそも「ウマ娘に存在しないレースが多数存在する」ことを知らない方もきっと多いでしょう。

ウマ娘世界の理解を深めるためには、現実の競馬への理解を深めるのが一番手っ取り早いです。
その中でもGIレースが完璧に理解できれば今の競馬がだいたい分かります。全ての競走馬はGIで勝つためにローテーションを組んで走っているし、全てのレースはGIのために存在するといっても過言ではないですので。

ということで今回は春のGIについて学んでいきましょう。春というより上半期です。
日本のGIと日本馬が多く出るGIを見ていきましょう。


基礎知識

ウマ娘から入った方に知っておいてほしい知識です。
重要ですけどすぐに身に付くものなのでサラッといきます。

  1. ウマ娘のレース後の獲得ファン数はリアル競馬の1着賞金(2020年度版)×0.0001倍と同じ

  2. ウマ娘のOP、Pre-OPはリアル競馬のL(リステッド)、OPに準ずる

  3. 全ての馬が全てのレースに出られるわけではなく、今までの獲得(収得)賞金順で出走枠が埋まる

  4. 賞金が少ない馬でも大レースに出られるように、「優先出走権」というシステムがある

  5. 中央のGIはGI表記だが、地方は東京大賞典を除いてJpnI表記


上からいきます。

1はまんまですね。ただ20年版で止まってるのが罪深くて、ウマ娘内の東スポ杯はまだGIIIのままです。
賞金面でもここ2年で億単位で変動してますので、今あなたが1育成でファン数80万稼げてるなら、現実なら100億円ホースが生まれてると思ってください。

2も文章の通りなので飛ばして3。
ウマ娘育成してたら「デビュー戦勝てたしホープフル出すか」ってなりますが、普通なら賞金足りずに出られない可能性があります。
10数頭の枠に30何頭登録するんで、最低でも1勝クラスの条件戦は勝っておきたいですね。ウマ娘には条件戦がないのも誤解を深めてる要因の1つかも。

4はほぼ全ての国内GIがそうで、「GI出たいのに賞金足らん…」って馬のために、「ここで○着以内に入ったら無条件でシードだよ!」ってレースを設定してます。特にクラシックはそういうレースが手厚いです。

5は詳しく説明すると余計わからなくなるので、そういうもんなんだとだけ思っといてください。国内では同じ扱いだけど、海外では格付け無しとみなされ低く見られます。



それじゃ本題入ります。

レース名(太字)
開催週 開催競馬場 距離 回り フルゲート頭数

動画

解説

って感じでやっていきます。

川崎記念

1月4週 川崎競馬場 2100m 左回り 14頭

年初めのGI。ウマ娘未実装の川崎競馬の地方GIです。
JpnIのため、国際的にはただのリステッドとして評価されます。このレースからドバイワールドC(後述)に飛び立つ馬も多いんですけど、海外からは川崎記念のレースレベルがわからんため出走馬はオッズが低くなりがちです。(22年のチュウワは海外では穴馬寄りだった)

地方GIのため、川崎競馬から出走する馬もいます。
地方重賞の報知オールスターカップ(SIII)勝ち馬には優先出走権が与えられますが、基本的にチャンピオンズCや東京大賞典、名古屋グランプリ(JpnII)あたりのレースで上位だった馬たちが勝ちます。

川崎は内枠有利コースのため、上の動画みたいに2着に意味わからん内枠の穴馬がすっ飛んできて大荒れする時があります。(もちろん私は1着と3着の馬連を一点買いしており、○にました)


フェブラリーステークス

2月3週 東京競馬場 1600m 左回り 16頭

なんといっても、その特徴は「ダートGIのくせに芝スタート」。どうにかならんのこれ
日本のダートはきめ細かい砂のため、砂より芝走った方が圧倒的にスピードが出ます。そのため、芝を長く走れる外枠がそこそこ有利という、ダートレースらしからぬレースとなっています。

根岸ステークス(GIII)、東海ステークス(GII)の勝ち馬に優先出走権が与えられており、特に根岸組はよく走ります。同じ競馬場で距離が200m伸びるだけなので、東海Sの中京1800m→東京1600mよりも走りの感覚が掴みやすいのかもしれないですね。

今までは東京大賞典やチャンピオンズCで勝った馬が勢いでここも勝ち抜けることが多かったんですが、そういう馬は最近、後述する海外レースに出走するため、レベルの低下が顕著です。最もGII降格に近いGIとすら呼ばれており、現状ではJpnIの帝王賞よりレートが低いです。


🇸🇦サウジカップデー

2月3週 キングアブドゥルアジーズ競馬場 左回り 14頭

諸悪の根源です。サウジの石油王がアホみたいに賞金の高いレースを乱発するお祭りの日で、メインレースがサウジC。フェブラリーSとほぼ同日開催です。
1着賞金が11億、5着賞金がフェブラリーSとほぼ同じのため、そりゃみんなこっちに出ます。
ちなみにこのレースは10着まで賞金が支払われ(普通は5着まで)、10着でも遠征費差し引いて1000万くらいお釣りが来ます。
でも招待制のレースなので、優秀な成績を挙げてないと呼ばれません。

サウジCは創立から年が経ってないレースなので、どういう馬が強いのかも全く分かってません。だから色んな馬が集まるし、面白いレースです。


🇦🇪ドバイワールドカップデー

3月5週 メイダン競馬場 左回り 14〜16頭

諸悪の根源の根源です。
サウジカップデーが参考にしたのがドバイWCデー。
こちらは創設から四半世紀経ってて、芝のGIもあります。我らがステイゴールドやジャスタウェイ、アーモンドアイらが好成績を残してます。もちろん賞金も破格。
メインレースのドバイWC以外にも様々な設定の重賞が複数あり、その重賞の5/8レースを日本馬が制し、7/8で馬券内に入ったのが今んとこ2022年の世界の競馬史上最大のニュースです。


高松宮記念

3月5週 中京競馬場 1200m 左回り 18頭

春のスプリント頂上決戦ですが、先述した(以下略)ほんの少し層が薄くなりがちです。
とはいえドバイWCデーのスプリントGIは直線1200mなので、求められる能力が全然違います。高松宮で勝てそうな馬はほとんど国内専念ですね。


中京は直線が長いとはいえ、スプリントなので位置取り争いが激しく、枠順に左右されまくります。
なので上のレースみたいな大荒れも起こります。
とはいえ穴馬でも勝ち馬は実力を秘めてる事が多いです。展開さえ向けばどんな馬でも勝てるような簡単なレースじゃないです。日本のGIは高水準ですので。

阪急杯、オーシャンSのGIII2つで優先出走権が与えられるんですが、阪急杯とシルクロードS(これも同時期のGIII)勝ち馬が好走しがちです。有力馬は12月の香港スプリントや阪神Cからぶっつけ本番も多いですね。


大阪杯

4月1週 阪神競馬場 2000m 右回り 16頭

2017年からGIになった、日本国内では最新のGIレースです。1950年代くらいからレース自体は存在し、「関西のちょっとレベル高いレース」だったのがトウカイテイオーの時代あたりから「GIレベルのメンバーが集まるGII」になり、日本競馬のレベル向上に伴い満を持して昇格が決定しました。

たまに荒れます。春の王道距離GI初戦のため調整ミスとか色々あるし、すごい荒れ方をします。
金鯱賞、中山記念、京都記念の上位馬に優先出走権が与えられますが、アメリカJCC、日経新春杯を勝ち進んでくる馬もちらほらいます。
一番多いのはジャパンカップ、香港カップ、有馬記念から休養して復帰初戦。ここで負けるケース。
今年もまさかエフフォーリアがあんな負け方をするとは思いませんでした。


桜花賞

4月2週 阪神競馬場 1600m 右回り(外) 3歳牝限定 18頭

牝馬三冠の初戦、マイルの女王を決める一戦。
実は「関東所属馬に超不利なレース」なんです。
ウマ娘で美浦寮栗東寮っていう寮があったと思うんですが、あれは実馬が所属していた厩舎に対応しています
美浦は茨城県(関東)栗東は滋賀県(関西)所属で、基本的に1980年代までは関東、それ以降は関西の馬が圧倒的に強いです。理由は栗東トレセンのwikiに詳しく載ってます。

で、牝馬路線のデカいレースは皆さんご存知阪神ジュベナイルフィリーズ、チューリップ賞、桜花賞じゃないですか。これ、どれも阪神1600mで開催されるんです。なので、関西の有力馬は最低1回本番と同じコースでレースできます。これは馬自身はもちろん、対策を練る騎手とトレーナー(調教師)からしても大きいことです。

もちろん関東の馬もレースに出すことは可能ですが、そこには「輸送」という障壁が発生します。
茨城にいる馬を阪神競馬場に送る場合、だいたい7〜8時間くらいトラックに揺られることになります。
この間、馬は身動きをほぼ取れないまま過ごし、下車したら全く知らない土地にいるのです。
ヒト娘なら「身体中バッキバキだ〜」で済みますが、ウマの場合「なにこれ!?どこここ!?こわい!!」ってなる可能性大です。まして2〜3歳馬とか人間でいう中高生です。中高生のあなたが数時間軟禁され、見ず知らずの土地に降り立った時の事を想像してみてください。死ぬほど怖いでしょ?

特に牝馬は精神面が繊細なため、初輸送で体重が20kgゴリッと減っちゃうことだってあります。そうなるとパフォーマンスにも影響が出てくるため、どのGIでも地元馬が有利で、海外GIを勝てる馬は異次元ということなのです。ラヴズオンリーユー(東京、香港、アメリカでGI勝利&京都、阪神、札幌で善戦)はすごい。

てなわけで関西馬有利な桜花賞。
チューリップ賞、フィリーズレビュー、アネモネステークス(L)で3着以内の馬と、その他重賞で勝った牝馬に優先出走権が与えられます。
基本的に阪神JFとチューリップ賞の上位馬で桜花賞どころか牝馬三冠全てが決まることもありますが、クイーンカップ、シンザン記念勝ち馬も活躍します。特にシンザン記念勝ち馬は歴史に残りがちです。(ジェンティルドンナ、アーモンドアイ)


中山グランドジャンプ

4月3週(土曜日) 中山競馬場 4250m 16頭

知らない人もいると思うので解説します。
競馬には芝、ダート(平地)の他に、障害競走というものが存在します。欧州ではかなりメジャーです。
平地が陸上なら、障害はハードル走だと思えば分かりやすいかと思います。年2回GIが行われる内の1つが中山GJ。中山のコースを8の字に周回します。

障害は血統面も平地とかなり違っていて、平地芝がディープ、キングカメハメハ、ハーツクライ、ステイゴールド、エピファネイアとかの産駒(子供)が席巻してるのに対し、障害はステイゴールド、アドマイヤムーン、ルーラーシップ、ブラックタイド産駒が強い印象です。ステゴはどっちでも強い。
タイキシャトル産駒が今も重賞で走ってたり、昔はマーベラスサンデー産駒が強かったりで、ウマ娘との関連性も高いです。
市場が小さいので主力馬押さえれば一瞬で環境が理解できます。興味ある方はぜひ。

上のレース映像はステイゴールド産駒オジュウチョウサン同一GI5連覇とかいうとんでもねぇ大記録(世界記録タイ)を達成した時のやつです。最近競馬始めた方はマカヒキをご存知だと思うんですが、オジュウは有馬記念でマカヒキに先着してます。恐ろしい。


皐月賞

4月3週 中山競馬場 2000m 右回り(内) 3歳限定 18頭

皐月賞も中山2000mで走る機会が2回(ホープフルステークス、弥生賞)あるのですが、弥生賞上位入着馬は皐月賞で勝てないことが多いです。

これには諸説あるんですけど、なぜか弥生賞はペースが緩みやすく、皐月賞より2〜3秒遅いタイムで決着します。なので終盤の脚の瞬発力勝負になりがちなんです。そうなると本番と全く違うレースになるし、瞬発力使う分消耗も激しいです。
最近の皐月賞馬は共同通信杯(東京1800m)勝ち馬が多いんですが、こっちは全体的に緩みなく早いペースで流れるため、ここで勝てると強いみたいです。

逆に弥生賞で好走した馬は道中の緩いペースを我慢できる馬が多いため、ダービーとか菊花賞で強い傾向にあります。謎の相関関係。


🇭🇰香港チャンピオンズデー

4月4週 沙田競馬場 右回り 14頭

香港GIは日本馬のオアシスです。

以前ここで解説しましたが、香港馬は短距離で鬼のように強いです。でも日本馬も2000mでは鬼強です。
チャンピオンズデーはスプリント、マイル、2000mのGIが開催されるのですが、中でも2000mのクイーンエリザベス2世カップとにかく日本馬が勝ちやすいレースなのです。

沙田競馬場が右回り版東京競馬場みたいな直線の長さと、中山競馬場みたいな急なコーナーと、京都競馬場みたいな坂の配置(最後の直線が平坦)なため、中山や京都で強い馬はここだと水を得た魚…いや、ギャラドスくらい強いです。

実際日本馬は過去5年で3回、過去10年で6回馬券内に入っており、↑の21年に至っては日本馬4頭出しで4位までを独占しました。(4着はキセキ)
ちなみにウマ娘関連だと過去にデジタルが2着、フラッシュが3着になってます。

22年もヒシイグアスやジャックドールが遠征を視野に入れてたんですが、某感染症の影響により香港馬限定で開催されることになりました。香港競馬運営は水際対策が世界で一番しっかりしてるので、仕方ないっちゃ仕方ないですね。
ヒシイグアスにとっては最も勝利に近いビッグタイトルだっただけに悲しい面もありましたが、おかげで大阪杯が豪華メンバーになったりもしました。


天皇賞(春)

4月5週 京都競馬場 3200m 右回り 18頭

通称「春の盾」。世界的に見てもハイレベルな長距離GIで、スタミナとスピードの双方を要求されるレースです。
普通は京都競馬場開催なんですが、今京都は工事中で阪神開催になってます。そしてこの阪神3200mは日本競馬史上最も過酷なコースと言っていいコースです。
大きく外を回って一周、二周目は内を回って短い直線と急坂をトップギア入れて粘らないといけないので、並の馬だと秒でバテます。

実際↑の21年天皇賞春を走った馬は秋まで休養するか、宝塚で惨敗してます。それだけダメージのすごいレースだったってことですね。カレンブーケドールも最後ヨレヨレですもん。
ここ勝てる馬はスタミナ&根性&パワーお化けです。


かしわ記念

5月1週 船橋競馬場 1600m 左回り 14頭(中央6頭)

ダート版マイルCSです。船橋競馬場は地方競馬の中でもプレーンなコース設定で、実力のある馬が順当に勝てる競馬場です。そういう意味では芝の中京や京都に似てます。

芝は2400mで勝てる馬が強い!みたいな風潮がありますが、ダートも2000mで勝てる馬が強いみたいな風潮があります。
なのでマイルのかしわ記念の歴代勝ち馬は、競馬初心者の方からすると知名度の低いメンツというかなんというか…そんな風に映るかもしれません。
でも、ウマ娘から競馬を学び、マンハッタンカフェやナカヤマフェスタあたりのちょっと硬派な(?)馬の凄さが理解できてる方は、97年以降(特に06年〜)のかしわ記念勝ち馬を調べると「なんやこれ、バケモンしかおらんわ」って思うはずです。


レースは地方馬8頭VS中央馬6頭で争われます。
交流競走なんで当然っちゃ当然なのですが、そうなると中央馬は本当に強い選ばれた6頭が選出されます。なので以前はだいたいこの6頭で決着してました。

一応優先出走権が与えられる地方重賞が2つ、交流重賞が1つあるんですが、どのレースの勝ち馬も中央勢に軽く捻られていました。しかし、↑のカジノフォンテンが常識をぶち壊してくれました。

カジノはかしわ記念がJpnIに昇格して以降、唯一優先出走権を獲得した上で勝利した馬になりました。
基本的に「地方馬は中央より弱い」と馬鹿にされがちですが、船橋競馬場所属の馬だけはたまにとんでもない傑物が出てくるので嘗めたら危険です。あと最近は兵庫の馬も強い。


🇺🇸ケンタッキーダービー

5月1週 チャーチルダウンズ競馬場 2000m 左回り 20頭

アメリカの三冠レースの一冠目。日本ダービー以上の熱気に包まれる大レース中の大レースです。
これをJRA経由で楽しめるのは今年だけ。逃すとあと5年は無いでしょう。

Rord to Kentucky Derbyというシリーズがあります。
世界各国の数十のレースで上位になってポイントを稼ぎ、上位馬からケンタッキーダービーの出走枠埋めてくよ〜っていう楽しい企画です。

さっきのドバイワールドカップデーにUAEダービーっていうGII(賞金はGI級)レースがあります。
ここに勝つと破格の100ポイントがもらえるからほぼ確定でダービーに出られます。
日本馬のラニというやべー馬が以前ここを勝利し、アメリカ三冠を皆勤、ラスト一冠で3着とめちゃくちゃ頑張りました。

そのラニ以来にUAEダービーを勝利した日本馬が今年のクラウンプライドです。そしてケンタッキーダービーにも出走予定。
ケンタッキーダービーは日本の競馬法で「日本馬が出た時は馬券売れるで〜」と定められてるので、今年はJRAから馬券が買えます。応援馬券を買うもよし、真面目に予想するもよしです。

しかしここは日本馬にとっては高い壁です。
日本より多くの競走馬が産まれるダートの聖地、アメリカに単身に乗り込むわけですから、ハードなレースが予想されます。

上の動画も例年に漏れずハイレベルだった年。勝ち馬アメリカンファラオは三冠馬になりました。(厩舎のドーピング疑惑については触れないでおきます)
この馬の産駒が日本でもお馴染みのカフェファラオとダノンファラオです。なおワイドファラオはへニーヒューズ産駒。ややこしい。


NHKマイルカップ

5月1週 東京競馬場 1600m 左回り 3歳限定 18頭

もともとNHK杯っていう2000mGIIがあったんですが、90年代中期から(当時はクラシックに出られなかった)3歳外国産馬が重賞を荒らしまくってたので、「外国産馬のためのダービー作ろうや」という意向で、NHK杯を皐月賞ともダービーとも異なるマイル距離での3歳GIに変えたのがこのレースです。

当初はJRAの目論見通り外国産馬が毎年勝ってたんですが、2005年に内国産のキングカメハメハが爆速レコード勝ちしてからは日本馬のGIになりました。
上は20年くらいぶりに外国産馬のシュネルマイスターが勝った時のレース。それだけ国産の馬が強くなったってことの証明ですね。

3歳三冠に比べると軽く見られがちですが、皐月賞や桜花賞から変則二冠を目指す馬も多く、ここで好走した馬は古馬になっても頑張ってる印象です。
特に、GI勝利がNHKマイル1つだけで終わらなかった馬は基本的にかなり強いです。


ヴィクトリアマイル

5月2週 東京競馬場 1600m 左回り 牝馬限定 18頭

2000年前後から牝馬のための古馬重賞を整備してきたJRAは、その集大成として2006年にこのレースを創設しました。

安田記念と同じコースで牝馬限定戦。
最強牝馬が圧勝するか、最強牝馬に僅差で屈し続けてた二番手が強い勝ち方を見せるか、とんでもない荒れ方するかの3パターンしかないレースです。

今年は抜けて強い牝馬がいないため、予想の難しいレースになりそう。


オークス

5月3週 東京競馬場 2400m 左回り 3歳牝限定 18頭

長距離を平気で走る牝馬もいるにはいます。
でも、絶対数がかなり少ないです。
基本的に牝馬はパワーやスタミナよりスピードと瞬発力に長けています。人間でもパワー系女子って言われて思いつくのって吉田沙保里くらいです。そういうことです。たぶん。なので、牝馬的には2400mがギリギリの距離なんです。

その距離を桜花賞からわずか1ヶ月で経験することになるハードさ。しかも今度は関東での開催。超ハードローテです。馬だけでなくそれを管理する厩舎側の手腕も試されます。だから桜花賞とオークスの二冠はほぼ三冠みたいなもんです。(※個人の感想です)


桜花賞で5着以内になればここにも出られるため、桜花賞からの大逆転勝利のドラマが見られることもあります。
また、桜花賞当日に阪神2000mで「忘れな草賞」っていうリステッドレースが開催されます。「残念桜花賞」と呼ばれるレースですが、ここからオークスで花開く馬も結構います。
それの最たる例が↑のラヴズオンリーユーです。
2着のカレンブーケドールもスイートピーSっていうトライアルリステッドレースから来てるので、桜花賞組が苦戦しまくる大荒れ展開でした。


日本ダービー

5月4週 東京競馬場 2400m 左回り 3歳限定 18頭

直線がめっちゃ短い先行有利の中山競馬場で行われた皐月賞から一変、直線がめっちゃ長い差し有利の東京競馬場で行われるダービー。
皐月賞は早熟のスピードが抜けた馬ならチャンスが十分ありますが、ダービーはそれだけじゃ歯が立ちません。
騎手の判断能力、ここにピークを合わせる厩舎の努力、枠順、スタート、位置取り、スパートのタイミング、どれか一つでも欠けたら負けです。
↑のレースがそれを物語ってます。

どこの厩舎もここを目標に馬をつくってるので、パドックでの馬のギラギラ具合がハンパないらしいです。
でも馬ってガチガチに調教してしまうと前進気勢が凄くなって掛かりやすくなるので、そこの調整も難しいらしいです。
エピファネイアって馬はレース中ずっと掛かったまま2着に食い込みました。それの子がエフフォーリアって馬なんですけど…血は争えないですね。


先述のNHK杯(東京2000m)はもともとダービーのトライアルレースだったんですがNHKマイルカップになっちゃったので、代わりに青葉賞(東京2400m)がその役割になったんですけど、ここに出てダービーで勝てた馬はいません。青葉賞って検索しただけでそういうジンクスがサジェストに出てくるくらいには呪われてます。
同時期にやってる京都新聞杯からはダービー馬が出てるだけに本当に謎です。


安田記念

6月1週 東京競馬場 1600m 左回り 18頭

今の日本競馬の基盤をつくった安田伊左衛門という御方のお名前からその名が拝借されたレース。安田さんの偉業は調べれば調べるほど感謝しか湧かなくなるので暇な方はぜひ調べてみてください。安田さんと有馬さんがいなかった世界線の日本競馬が想像できない。


春秋とマイルGIがありますが、マイルチャンピオンシップは香港マイルと開催期間被ってメンバーが若干手薄になりがちなので、安田記念が実質国内マイル最強決定戦です。
この時期は他にいいレースがないから実力のある馬だけで枠が埋まります。

ちなみに季節的に香港はオフシーズンが近いので、数年に一度ペースで強い馬が来日します。
22年も最強マイル王ゴールデンシックスティが安田記念参戦を計画中とのこと。
2015年のエアロヴェロシティ(これも香港馬)以来、国外調教馬は日本で勝ててないですが、今年はあるかもしれないですね。


🇬🇧プリンスオブウェールズステークス

6月3週 アスコット競馬場 約2000m 右回り

まさかまさかのシャフリヤールがプリンスオブウェールズ参戦決定。

「ロイヤルアスコット」と呼ばれる、ブリーダーズカップ的な競馬の祭典の中の1レースで、なんと主催はイギリス王室。エリザベス女王が持ち馬を出走させて一喜一憂する日です。
(ちなみにシャフリヤールの4代母、ディープインパクトの曾祖母ハイクレアは女王陛下の持ち馬です)

ご覧の通りアスコット競馬場はコースの形が狂っており、高低差も超激しいため、日本馬は苦戦します。この競馬場で善戦できた日本馬はハーツクライくらいしかいません。

↑の動画もディアドラに武豊が乗ってるんですが、馬場に脚を取られ6着。雨が降ると中々厳しいです。

日本の大レースと違い、過去5年に渡って8頭立て以上になったことがなく、今年も少頭数だと思われます。
日本時間では水曜日の23時40分ごろ発走。
海外(特にヨーロッパ)は平日でも競馬やるし、水曜日の深夜に見ると結構大きいレースやってます。


重馬場神戸新聞杯で負けているので、凱旋門賞は不向きに違いないシャフリヤール。
ここに勝ってBCターフに進んでほしいんですが、陣営はどうも出走に前向きなようで…
凱旋門賞の後に馬が壊れないことを祈るばかりです。


宝塚記念

6月4週 阪神競馬場 2200m 右回り 18頭

日本独自のシステム、「グランプリレース」として開催される春の大一番。
ファン投票で「レースに出て欲しい馬」を選出し、その中でレースに出られる馬が、ランキング上位から順に10頭出走。残り8枠は獲得賞金上位の馬から埋まっていくシステムです。

とはいえ秋のグランプリ有馬記念と違って梅雨の時期で馬場も荒れやすく、暑いし、賞金面でも見劣るため(有馬の半分くらい)、毎年だいたい12〜16頭立てで行われます。メンバーは豪華ですけどね。

鳴尾記念、目黒記念からここを目指した馬が穴を開ける事も多いです。逆に大阪杯、天皇賞(春)勝ち馬はここで負けることも多いです。

GIになって以降の天皇賞(春)→宝塚を連勝した馬は歴代でもたった6頭。
オルフェーヴル、キタサンブラックですらどっちかで大敗してるくらいなので、魔物が潜んでます。


帝王賞

6月4週 大井競馬場 2000m 右回り 16頭(中央7頭)

グランプリじゃないですけど、そんな感じのメンバーが集まってしまうのが帝王賞です。
宝塚と違ってナイター開催のため割と涼しく、バテる馬も少ないです。

フェブラリーS、かしわ記念、帝王賞が春のダート3大レースなんですが、芝と同じで、ここを3連勝できた馬もいません。どっかで波乱が起きます。


かしわ記念と南関東SI大井記念で2着以内に入れた馬に優先出走権が与えられます。
優先出走権があるわけではないけどアンタレスステークスからここを目指す馬が多いです。
たぶん中央にいいダートのレースが無いからですね。
もうちょいGIIレース増えてほしいです。

現状はJpnIレースですが、国際GI化を待望されています。詳しくは省きますが、そのためには色々とクリアしないといけない課題があります。
今年に有力馬が勝って、勝ち馬が今年他にもうひとつGIを勝てたら恐らく来年にはGIになるはずです。


ジャパンダートダービー

7月2週 大井 2000m 右回り 3歳限定 16頭(中央7頭)

ダート版日本ダービーですが、7月の平日開催かつ世間的知名度もあんまりなくてそこまで盛り上がってません。

↑ここの地方シリーズの項で解説してる通り、各地方競馬で行われたダービーの勝ち馬がこのレースを目指せるように日程を設定してるんですが、結局南関東VS中央の馬でレースが決まります。

レース主催が地方競馬なので、地方馬にのみ優先出走権が与えられます。ウマ娘にも出てくるユニコーンステークス、出てこない兵庫チャンピオンシップ(JpnII)、関東オークス(JpnII)、南関東三冠の羽田盃と東京ダービー、その他地方競馬のダービーシリーズの1着馬が優先出走できるシステムです。

東京ダービー(SI)は地方競馬最高峰レースなのでレベルもそれなりに高く、ここで好走できた馬はJDDでも輝けます。

今の日本競馬のレベル向上を見るに、ここを勝てた馬が世界に羽ばたく日も近いと思われます。
未来のスター誕生の瞬間を見たいならぜひご覧あれ。


おまけ 〜競馬はスポーツかギャンブルか〜

以上が上半期のGI戦線まとめです。参考になったら幸いです。ここからは余談なのでどうでもいい方は❤だけ押してブラウザバック推奨です。



先日、Twitterにて競馬界隈が軽く荒れました。
議論の争点は「競馬はスポーツかギャンブルか」。

僕もそこに軽く首を突っ込んでみたりしたので、様々な方から貴重なご意見を頂きました。
全部反芻した上での僕の結論を語らせてください。

結論から言うと、競馬はポケカであるということです。ちょっとさすがに意味がわからんすぎると思うので説明します。



ポケカとはポケモンカードゲームのことで、現状のトレーディングカードゲーム業界の覇権を握っているカードゲームです。

ポケカが人気な理由は色々ありますが
①まずゲームソフトのポケモン自体が人気なこと
②ゲームシステムが奥深いこと
③イラストが良いこと
この3つが挙げられると思います。

特に特筆すべきは③。普通はTCGの基盤の上にイラストの美麗さが相まって人気が出るのですが、ポケカはポケモンゲームが好きな層がイラスト目当てに買うことが多く、強いカードだけじゃなくてかわいいカードにも付加価値が付きます

これって、競馬に似てませんか?

白毛一族やメイケイエール、キセキ、マカヒキ、ヨシオ、アイアムハヤスギル、プリンニシテヤルノetc…
「強そうだから」より「勝って欲しいから」「面白そうだから」で馬券を買ってるケースが多いと思うんです。


ポケカがTCGじゃなきゃここまで爆売れしなかったように、競馬もギャンブルじゃなければ成り立っていません

年間7000頭、中央だけでも2000頭くらいが入厩して走ってます。それらの維持費やら施設の管理費、レースに勝利した時の賞金はだいたいが馬券の売上によって成り立ってます。

馬券の売上が低いと馬産の質も下がります。
ここ最近兵庫の地方競馬が盛り上がってきてるのは、競馬ブームで売上が上がり、レース賞金が爆増し、レースに出る馬の質が上がった面も大きいと思ってます。


馬券の売上が極限まで下がると、競馬自体が終わります。今世紀に入ってから北関東競馬、中国地方の地方競馬場が全て閉場し、北陸は2つ、九州も2つ、北海道は3つ閉場してます。

今生き残った地方競馬場も地獄を見てます。特に東海地方の競馬場なんかは何回か法に触れ(かけ)てます。
レースの賞金が低すぎるため、稼ぐために馬主がレースに出させ続けて過労死させるなんて事件もありました。

そんな時代を乗り越えて今があるんで、「競馬がギャンブルである」という側面は切っても切り離せないものだと思います。

だからといってレース後に騎手に向かって暴言吐いてるおじいちゃんが正しいとは言えないのですが、彼らがいたから今の競馬があるのも事実です。
彼らの存在も肯定しつつ、自浄作用というか、若年層からそういう競馬の汚いイメージを払拭していけたらいいですね。


で、競馬はスポーツか否かについてなんですが…これもポケカに近いと思ってます。
TCGを1度でもやった事ある方ならお分かり頂けるかと思うんですけど、あれって「限りなく運ゲー」なんです。
山札から引いた限られた手札とフィールド上にいるモンスターの特殊効果でなんとか切り札を発動できる状況を誘発し、相手の反撃の芽も潰しつつ勝たなきゃいけません。どれか1つでも欠けたら負けるか泥仕合になります。競馬もそうじゃないですか?

枠順は完全ランダム、展開も複数パターン考えられる。馬場状態も当日まで分からない。落馬があるかもしれない。馬群が割れないかもしれない。その中で1着を目指す。
うん、限りなく運ゲーですね。


引用RTで「自分はスポーツやってたけど、レースには運要素が多すぎるから競馬は競馬として捉えてる」って意見を貰って、すごく腑に落ちたというか。
陸上はどこもトラック似てますし、右回り左回り、坂、馬場状態とか無いですもんね。

「ギャンブルを楽しむためのランダム要素を追加しまくったスポーツ」が競馬なのかも。つまり競馬はマリオカートですね。(主題変わっちゃったよ)


そして、ポケカでいうゲーム版ポケモンの役割をウマ娘が果たしてる気がしてます。
ウマ娘のかわいさやかっこよさと馬のそれはまた異なるんですが、ウマ娘という広い間口があることで競馬に興味を持った人、僕含め競馬を知ってはいたけど深掘りしてみようと思えた人、最近やってなかったけど復帰してみようと思えた人が大勢いると思うのです。

競馬のスポーツ的側面はウマ娘アニメ(特に2期)やアプリ育成シナリオ、ストーリーなどで存分に堪能できるんで、その感覚を持ちつつ、馬券の知識をちょこっとつければ競馬を完璧に堪能できます。
(交流重賞は川田将雅の騎乗馬買っとけば当たるぞ)


じゃあ、ここ最近競馬にハマった人が出来ることは何か、という話ですが、好きな馬でも騎手でもいいんでとりあえず賭けることです。
日本競馬はパリミチュエル方式といって、売上が増えれば増えるほど絶対に胴元が儲かるシステムになってるので、馬券が当たって財布が重くなっても、あなたの賭けたお金は競走馬のこれからに繋がります


仮にあなたの応援したお馬さん(牡馬)が重賞を勝てたとして、でもGIにはあと少し手が届かなくて、そのまま引退したとしたら。
競馬暗黒期なら処分されてもおかしくありませんでした。

しかし、今日本競馬は賞金がめっちゃ高いし、レベルもめっちゃ高いです。
血統が良かったら、国外から「うちにください!」と種牡馬オファーがあるかもしれません。
地方競馬も今は経済が潤ってるので、日高あたりの牧場さんが「地方競馬用の種牡馬にするわ」と買い取ってくれるかもしれません。
こうなると子供がGIを勝てる可能性も繋がります。

仮にそうはならなかったとしても、乗馬として悠々と余生を謳歌できる馬が大勢います。現状、重賞勝てたらだいたい乗馬にはなれる平和な世界です。
この平和を維持するためには、ギャンブラーのお金が必須なのです。

なので、仮にギャンブルとしてしか競馬を見てない人と反りが合わなくても、「こういう人も競馬の役に立ってるんだ」と感謝して競馬を楽しみましょう。
ポケカも競馬も楽しみ方は人それぞれで、それを貶す理由など存在しません。
言いたかったことは以上です。


まとめ

東スポ競馬さんのnoteみたくセンスあるサムネを作りたかったんですけど、センスよわよわ人間には厳しかった。秋にはもうちょいいい感じのやつ作れてますように(他力本願)


なんとなく見てる春GIだけど、そこに辿り着くまでにも色々あるんだぞっていうことが少しは分かっていただけたかと思います。

そして、競馬はいいぞ。競馬のいい所は色んな楽しみ方ができるところだぞ。だから自分の楽しみ方を押し付けすぎるのはNGだぞ。競馬はポケカでありマリカだぞ。ということでした。

最近マリカ8DXはDLCで48コース追加されたので、ウマ娘も地方のレース48個増やしてほしいですね。お願いします運営さん。

それでは。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?