尖った奴の角は、丸くなるためにあった訳か

尖った奴がいる。  

そいつは自分を貫いて、誰にも媚びずに生きてきた。  

他人の言うことなんて気にしない、  

権威なんて蹴飛ばしてやれってなもんだ。  

そんな奴が、いつしか成功を手に入れて、  

周りから「やり手だ」と持ち上げられる。  

「お前は凄いよ」「そのまま行けよ」  

と口先だけの賛辞を受け取って、  

調子に乗ったあげくに気づくんだ。  

「食っていけるようになったな、俺」って。  


ああ、良かったな。  

俺ら凡人と同じ土俵に上がってきた訳だ。  

あんだけ「自由だ」「他と違う」と言ってた奴が、  

今じゃ「リスクはちょっとね…」とか言って、  

角を引っ込めて、安全策を講じている。  

「これでいいんだ」とか「家庭を守らなきゃ」とか、  

そんな丸っこい言い訳を口にしながら。  

言ってることとやってることが、  

見事に丸まっていくのは笑えるな。  

尖り続けてたら、食えないって気付いたか?  

いや、元々その程度だったんだろ。  


現実は残酷だ。  

丸くなったら生き残れる、  

尖ってたら潰される。  

尖ってる奴も、いずれは保守的になる。  

「丸くなった」じゃなくて「尖れなかった」が正解だ。  

だって、真に尖ってる奴はさ、  

稼ぎなんて気にしない訳だよ。  

貫いて貫いて、最後は孤独でも構わない。  

でも、それができない奴が多い訳だ。  

まあ、仕方ないな。  

「尖ってる」奴らの大半が、  

実は丸くなるための準備運動をしてただけなんだ。  


もうね、見てらんないよ。  

尖った頃の栄光なんて捨てて、  

保守の椅子に座って安らぐ姿は、  

お笑い草だね。  

「俺も昔はな…」なんて語る老いぼれ共と同じじゃん。  

ああ、無様だよ、無様過ぎる。  

お前の尖った言葉が、今じゃ薄っぺらい訳だ。  

成功したって安心するなよ。  

本当の尖りってのはさ、  

金や名誉で丸くならないものだろ。  

結局、世の中は「保守」が大好きだ。  

尖りを称賛するのは一時の遊びだよ。  

「お前の尖りが見たい」なんて嘘だ。  

真に尖った奴が、周りにとってどれだけの脅威か。  

だから、いずれは丸く収まるしかない。  

まあ、お前も例外じゃなかった訳だ。  

尖りは尖りのまま死んでいけるかどうか、  

それが奴の本物かどうかの試金石だ。  

だからさ、丸くなるなら早めに教えてくれよな。  

その方が、こっちも期待しなくて済む訳だから。

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