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斬髪と針金(2024/05/27)

桃鉄ワールド やめられない 徹夜 再 許せ
こんにちは、浦風です。

髪切った。切ったというより斬った。バツッと。
2ヶ月に1回は衝動的に美容室へ行っている気がする。昨日まで何とも思っていなかったのに、突然頭から生えているモサモサの繊維束が鬱陶しく感じて耐えられなくなる瞬間が訪れるのがちょうどそのくらいの頻度で起こるから。理想はドライヤーいらないくらいのベリーショートにして、毎日色も長さも違うウィッグを選ぶスタイルなのだが、どう考えても管理が大変なので理想は理想ということにしておく。

髪で思い出した話がある。
今は体質が変わってきたのかそうでもないのだが、私は生まれた時からずっと強めの天然パーマで、髪の短かった中学生の頃が1番くるくるふわふわしていたかなと思う。嘘、良いように言った。本当はうねうねぐりぐりでした。ごめん。記憶を改変しようとした。うねぐりです。うねぐり謙信。湿気に塩を送ろうか。

中学生といえば、私も例に漏れず思春期ど真ん中で。
毎朝、鏡前の抵抗虚しくうねりまくる自分の髪が恨めしかった。指で挟んで引っ張ってみては離し、引っ張ってみては離しを意味もなく繰り返す。本当は鼻のてっぺんまである前髪もびよんと戻って眉上に収まる。時間をかけて当社比サラサラにできたと喜んでみても、満員電車の湿気で息を吹き返したように広がっていく逞しい毛束にため息をつくしかなかった。

そんな試行錯誤の毎日を送っていた中学1年生の私に転機が訪れる。
母が通っている美容室で縮毛矯正を受けさせてくれたのだ。一度縮毛をかければ半年サラサラストレートが確約するのは私より強い天パである母の髪が実証してくれていた。
そして普段の何倍もの金銭と時間をかけて、ついに針金のように真っ直ぐ光るどどどストレートヘアが出来上がったのだ。美容師さんが一生懸命ヘアアイロンをかけてくれたので髪の長さも5cm以上伸びていた。今はもっと自然な真っ直ぐさを作れるだろうが、あの時代の縮毛はそういうものだった。だが、私はそれで嬉しかった。ウインドチャイムを鳴らすかのようにずっとシャラシャラ撫でたり、父や妹に触ってみてくれと何度も頭を差し出してはサラサラだねと言わせていた。本当に嬉しかったのだ。次の日、髪を下ろした状態で登校したら全く話したことのないクラスの男子に「なんか髪真っ直ぐじゃね?」と言われるまでは。

その子の言い方は別に馬鹿にした風でも変な物を見つけた風でもなかったし、ただいつもうねぐり髪の奴が急に真っ直ぐになってきたからそう言っただけ。真意はわからないけど、きっとそれだけだった。なのに、私は途端にしぬほど恥ずかしくなってしまったのだ。縮毛かけたんだよね〜アハハ!と笑ってその場を流して、跡に残りやすいからあんまりやるなと美容室で言われたのにすぐヘアゴムで髪を縛った。

何だったんだろうな、あの恥ずかしさは。
自分の見た目の変化を全然知らん奴に指摘された居心地の悪さだったのか、それとも本当は心の奥で見慣れなさから似合ってないと思っていたのか。結局、所属していた部活が運動部だったので基本的に毎日髪を結ぶようになり、忠告虚しくしっかり結び跡がついて絵文字のタコのような形になった。それ以降一度も縮毛矯正はしなかった。

ではまた。

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