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僧侶と精神科医の二刀流。マインドフルネスを医学として応用する、伝える、広める

マインドフルネスを体現している、心豊かな人生を送っている方からまなぶシリーズ第四弾。

臨済宗林香寺の住職をつとめながら、RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニックの副院長(精神科医)もつとめる川野泰周さん(以後、川野先生)。

住職の息子でありながら、慶應医学部に進学。卒業後は精神科診療に従事した後、約3年間の修行を経て、住職としてお寺に戻る。

現在でも、横浜のクリニックで、週2,3日で精神科医として診療もつづけているが、住職となるための3年間の修行の中で、マインドフルネスの重要性を認識。現在はマインドフルネスを心の回復のための一助として患者さんに指導し、一般に向けても普及のための活動をおこなっている。

川野先生に、マインドフルネスと出会ったきっかけ、医学的観点も踏まえたマインドフルネスの良さとは何か、について伺ってきました。

プロフィール
川野 泰周(かわの たいしゅう)
1980年横浜市生まれ。2005年慶應義塾大学医学部医学科卒業。臨床研修修了後、慶應義塾大学病院精神神経科、国立病院機構久里浜医療センターなどで精神科医として診療に従事。その後、2011年より建長寺専門道場にて3年半にわたる禅修行。2014年末より横浜にある臨済宗建長寺派林香寺住職となる。また、RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニックの副院長もつとめる。禅やマインドフルネスの実践による心理療法を積極的に導入している。

Zoomにてお話を伺いました(正面:川野先生、右下:弊社代表箕浦)


- はじめまして、本日楽しみにしておりました、よろしくお願い致します!

なぜ住職の息子が精神科医になったのか

- まず、川野先生が現在どういった活動をされているのか、簡単に教えてもらっても良いですか?

川野先生 私は本業を二つ持っています。一つは禅僧として住職をしておりまして、お寺では法要の対応、お通夜やご葬儀でお経をあげるというようなことから、お寺にいらした方に坐禅の指導などもさせていただいています。

もう一つは精神科医として、週2,3回、心のバランスを崩されたメンタル疾患を抱えた患者さんの診療をおこなっております。

- それらに加えて、マインドフルネスを広げる活動もされていますよね?

川野先生 はい、そうですね。住職になるために鎌倉の大本山建長寺で3年半の修行をさせていただいた経験をもとに、現在では様々な手法の瞑想法(メディテーション)を普及する活動をおこなっております。

ひとことに瞑想と言っても、坐禅など禅の伝統的なスタイルから、欧米で開発された心身の治療のための医学的プログラムとしてのスタイルまでその形態は色々です。私自身は普段の生活に取り入れるということが大切だと考えているので、ベースとしてそれらの形式はありつつも、通勤時間などでも出来るような、実践しやすい形での瞑想の方法をお伝えするようにしています。

- 瞑想には色々な型や、実践する時間も毎日40分というプログラムもありますが、まずは実践しやすいということが大切ですよね。Upmindでもユーザーの方が、手軽に実践できるということを念頭に置いてサービスを開発しています。

住職としての川野先生

- 住職の息子として生まれて、なぜ一度医学の道に進んで、現在も精神科医として働かれているのか教えてもらってもいいですか?

川野先生 確かに私は、臨済宗の寺院である林香寺の一人息子として生まれて、将来は住職になるということを期待されていたと思います。

幼少期からお寺で暮らす中で、困り事を抱えた方が多くいらっしゃる様子を見て、苦しんでいる人の心をいかにして助けることができるかを意識するようになりました。

そして次第に、高校を卒業してそのまま僧侶になるということだけが選択肢ではないと考え、大学は医学部への進学を決めました。

- なるほど、困っている人を助ける方法を、より広い視点で考えてみるために、医学部に進学されたということですかね

川野先生 はい、進学した当初より、精神医学に興味があり、卒後はすぐに慶應義塾大学医学部の精神・神経科学教室に入局。精神科医としてのキャリアをスタートしました。

- その後、精神科医として働かれて、また住職になられたのはどういう理由からですか?

川野先生 実は、私が大学に進学する前に父が病気で他界し、医学部に進学したものの、周囲の方々からは早くお寺を継いでもらいたいとの声も聞かれていました。

しかし精神科医として診療を続けてゆくにあたってには、医学部を卒業してからも精神保健指定医という重要な国家資格を取得するために、最低でも5年間の臨床経験が求められます。

結果として6年間は医師として懸命に診療にあたり、30歳を迎えた年に住職になるための修行生活に入ることを決意しました。その間、お寺を支えて下さった近隣の和尚さま方や、待ち続けて下さった檀家の皆様には感謝しかありません。

住職になる前に精神科医として働かれていた頃の川野先生

修行でのマインドフルネスとの出会い

- 住職になる前の、精神科医のときは、マインドフルネスを患者さんに、治療法としておすすめしたり、教えられていたりしたのですか?

川野先生 いえ、実は当時は全くありませんでした。当時は、医学の分野としてあまり認知されておらず、瞑想を指導される高名な僧侶の方が海外からいらしたことなどを少し聞いた程度でした。

また、当時はメディテーションに対する世間のイメージもあまり良くなく、医学として応用しようという発想に至らなかったということもあります。

- そうなんですね。そのような中でどのようにマインドフルネスを医学として応用するようになられたのでしょうか?

川野先生 住職になるために臨済宗建長寺派では最低三年間の修行が必要なのですが、そこでの自身の経験が大きく影響しています。

- 三年間の修行、、、かなり長いですね。どのような修行をされていたか教えていただいても宜しいでしょうか?

川野先生 鎌倉の大本山建長寺の中にある専門道場(建長僧堂)で修行をさせていただきました。禅は、一挙手一投足まで全て修行と捉えますので、日々の生活自体を目の前の行為に集中せざるを得ないように追い込まれていきます。

それも今のマインドフルネス瞑想のように、ゆっくりと丁寧に感じながら行動したり、食べたり、歩いたりするのとは全く異なるものでした。いつも汗びっしょりになりながら全力で走り、少しでも速く行動することを求められる。とにかく時間に追われる修行生活でした。

汗だくで畑を耕したり、庭掃き掃除をしたり、廊下の雑巾がけをしたり、食事の際も「早食いの極み」と言っても過言ではありませんでした。

ただ、慌てるのとは違います。食事でも急ぎはするけれど、所作や姿勢は美しく、そして音一つ立てず静かにいただくことを求められました。「静かな早食い」といったところですね。そして、残された貴重な時間を使って禅堂で坐禅をおこなうのが、臨済宗スタイルの修行なのです。

修行の場所である建長寺専門道場(建長僧堂)の入り口

- なるほど、休む時間もなく目の前にあることに集中してこなしていかざるを得ないわけですね

川野先生 はい、”今この瞬間”に意識を向けざるを得ない状況のなかで、禅を体得するということでしょうか。

禅の開祖である達磨大師(だるまたいし)は、仏道への入り方は二つあって、理入(理論から入る)か行入(実践から入る)かで、その二つが両立してこと禅の修行が体現できるのだと説かれました。理論だけでなく、修行生活においては実践が非常に重んじられているのです。

とくに私が経験させていただいた建長僧堂の暮らしでは、とにかく実践して、後からその意味が少しずつ理解できるようになっていく、ということが多かったように思います。

- 少林サッカーや空手キッズの映画などにも、同様の要素が描かれていますよね

川野先生 ただ現代の人にとっては実践を勧めるだけですと、貴重な時間を割いて瞑想をすることに納得感を持っていただけないことも少なくありません。そこで私は患者さんや一般の方向けにマインドフルネスを指導させていただく際には、理論的解説を適宜加えることで、理入と行入のバランスを大切にしています。

- 他には、修行の中で印象に残っていることなどありますか?

川野先生 最低限必要なこと以外は周りと話してはいけないということでしょうか。

私たち人類は、言葉によってコミュニケーションをとることで高度な文明を築いてきました。しかしまたその言葉によって、様々な心の葛藤や苦しみの種が生まれることも事実です。禅の世界では、その言葉を離れて自らと向き合うことが修行において肝要とされるのです。

そんな暮らしの中でもとくに印象に残っているのは、毎年12月に行われる「臘八大摂心(ろうはつおおぜっしん)」という集中的な修行の期間です。仏教の開祖であるブッダ(お釈迦様)が菩提樹の木の下で7日間座って瞑想を続け、翌日の明け方に悟りを開いたという逸話にちなみ、日本各地の禅の道場では今でも毎年、12月1日からの7日間の間、横になって眠ることをせず、風呂にも入らず、ただ坐禅をし続けるのです。

修行時代の川野先生(同期入門の修行仲間と)

修行後のマインドフルネスへの意識の変化

- かなり大変な修行ですね。修行を経てなにか大きな変化はありましたか?

川野先生 おそらく修行というものは積み重ねによって心身を磨いてゆくことだと思います。ある日いきなりすごい力が身に着くとか、心が澄んだ状態になるとか、私にはそういう経験をすることはできませんでした。3年という短い期間では甚だ修行不足ということもあるでしょう。

ただ、そんな私でも小さな変化を体験することは出来ました。以前は一つのことに夢中になると周りが見えなくなるタイプだったのですが、修行から戻ってみますと、何かに取り組んでいる時に多少なりとも周りへの気配りができるようになったように感じています。

また、いらだちや悲しみなどのネガティブな感情が少なくなり、心の「ぶれ」が小さくなったように感じます。

よくない事が起きても、自分の呼吸の感覚などに意識を戻すことで心を穏やかな状態にしておくことが、少しだけできるようになったのかなと思います。

- マインドフルネスが自然と日常生活の中で実践できるようになったということですね

川野先生 そうかもしれません。私は住職になったあとも精神科医としての活動を続けていますが、診療に際しての心のあり方が穏やかに変化したように思います。

以前は、一人の患者さんの話を聞いているうちにその方の感情を取り込んで、次の患者さんに対応する際にも自らの言動に影響が出てしまうこともありました。しかし今では、患者さんに寄り添う思いやりを持ちつつも、どうすればその悩みを和らげられるかについて建設的に考えられるようになりました。

日々、診療を行なう川野先生

マインドフルネスを医学として応用する

- 今では診療の中でマインドフルネスを活用した治療もおこなわれていると思いますが、どのタイミングで始めたのでしょうか?

川野先生 修行から戻り、診療を再開したのが2014年の秋です。その翌年、2015年初め頃から、手探りですが外来診療の中で瞑想の実践を指導させていただくようになりました。

次第に多くの患者さんが瞑想を日常的に実践されるようになる中で、患者さんをどのように指導し、どのように継続をサポートするかについて、私なりのスタイルが体系化されてきました。そこで2017年の春、院内の正式な支援プログラムとして「マインドフルネス教室」をスタートさせたのです。

実は2014年の診療に戻る際、僧堂生活で情報から隔絶されていた3年分の医学研究の進捗を少しでも把握しようと、海外のものも含めて様々な医学論文を調べたのですが、ことマインドフルネスに関しては自分の理解が大きく遅れていることを痛感しました。

- 理解が遅れていたと痛感したとはどういうことでしょうか?

川野先生 20代の頃はマインドフルネスについて医学的な観点で興味を持つきっかけがありませんでしたが、修行をさせていただいた3年の間に、マインドフルネスの臨床応用について欧米を中心に実証研究がどんどんと進み、驚くべき成果が次々と論文として発表されていたのです。

例えば、英オクスフォード大学の先生方は、従来の抗うつ薬との比較で、うつの再発を予防に関してマインドフルネスは同等の効果を有するということを大規模研究で明らかにされました。

すっかり医学論文から離れていた私にとって、こういったマインドフルネスの効果を医学的に証明した研究が多数発表されるようになったことは、まさに目から鱗の体験でした。

- 修行を経て、マインドフルネスを体得したこともあって、より腹落ちして理解できたということもあるのかもしれないですね

川野先生 体得したとは言うにはまだまだですが、大切なのは「生涯をマインドフルに送ってゆく」という意志なのではないかと思います。そして修行生活をさせていただく中で、まず実践があって、そこに論理が追いついてゆくという経験ができたことは大きかったと思います。2017年からは月に一回、90分間のマインドフルネス教室を、ご希望の患者さんをつのって現在まで続けています。

教室以外にも、当時はCD-Rに自身の瞑想ガイドを収録して、患者さんに配ることで習慣化をサポートしていました。

その結果、「ずっと睡眠薬を使ってしか眠れなかったのに、ボディスキャンを習慣にしたら眠れるようになりました」「ストレスがかかるような場面でも自分と周囲とを客観的にみられるようになり、穏やかな心でいられるようになりました」といった様々な感謝の声を頂きました。そうしたお一人お一人の言葉が、私にとってかけがえのない励みになっています。

院内でのマインドフルネス教室

- 習慣化いただくというのが難しい部分でもあると思いますが、何か工夫などされていたりしますでしょうか?

川野先生 月一回のマインドフルネス教室では、「シェアリング」をとくに大切にしています。仏教の世界においても「サンガ(僧伽)」という概念がとても重んじられます。一人きりで修行をするのではなく、修行者が集まるコミュニティの中で実践を深めることが悟りへの近道であるという教えです。信頼できる仲間たちとその時々で体験をシェアし、安心感とともに瞑想に親しんでもらうことで、瞑想を生活習慣として継続して下さる可能性が高くなることを私も実感しています。

また私が書いた「ずぼら瞑想」という書籍も出版されていますが、日ごろの積み重ねこそが大切だと考えています。各宗派の教義や、瞑想プログラムの教科書に記載された厳密なメディテーションの形態だけでなく、その方の得意なこと、好きな時間に瞑想的要素を加えていただくことも大事ということです。

例えばジョギングが趣味の方であれば、少しの間でも音楽を消して、走る感覚やリズムに集中してみるなど、実践しやすい方法をおすすめしています。

- どういった形であれ、自身にあう形で続けるという事が大切ですよね。Upmindでも1,2分でもできる瞑想ガイドなど、そういった観点から提供もしていたりします。

これからのマインドフルネスの医学への展開

- 話を少し戻して、もっと日本でもマインドフルネスの医学への応用が進んでいけばと思います。今どの程度日本ではマインドフルネスが医療として応用されているのですか?

川野先生 実態の詳細は分からないのですが、患者さんにマインドフルネスを紹介する医師や看護師、臨床心理士などの医療関係者は着実に増えていると感じます。2013年にはマインドフルネスの普及や医学応用を目指して「日本マインドフルネス学会」も発足しました。現時点では、医療機関の中で患者さん向けのケアプログラムとして瞑想を導入している例は多くありませんが、今後さらなる普及が期待されます。

- なるほど、保険適用がされるのが理想の形だとは思いますが、現状はいかがでしょうか?

川野先生 保険適応化についてはまだまだ発展途上と言わざるを得ないでしょう。ただ国レベルの話題として、2019年には経産省が推進する健康経営度調査の中で、メンタル不調を防止するために企業がすべき施策の一つとして、「マインドフルネスなどの実践支援(実施場所や実施時間の確保など)」と明記されたことは注目に値するのではないでしょうか。

- 海外では、教育の場にもマインドフルネスが応用されていたり、少しずつ国単位で変わっていけるといいですよね

川野先生 はい、確かに欧米などでは学校単位で瞑想の実践を導入しているところもあるそうです。日本では公立の教育機関が瞑想プログラムを大体的に取り入れた事例はまだないと思いますが、教員の先生がご自身の意思で、マインドフルな時間を生徒さんたちに持ってもらおうと取り組むケースはあるとうかがっています。

たとえば、授業の開始時にまず1分間だけ、呼吸に集中する時間をもうけて生徒たちに実践してもらったところ、授業への集中が高まったり、活発に発言する生徒が増えたりしたという報告もありました。必ずしも「マインドフルネス」や「瞑想」という言葉を使わなくても、実践の機会を作ることはできるということですね。

同様に、文科省のような公な機関から推奨されておらずとも、実地レベルで色々取り組むことは出来るのではないかと思います。

マインドフルネスをどう広めていくか

- ここまで貴重なお話をありがとうございます。個人的に、川野先生がどうマインドフルネスを今後広げていきたいか伺ってもよろしいでしょうか

川野先生 「日本のマインドフルネス」を確立し、国内外に広げていきたいと考えています。

- 日本のマインドフルネスとはどういった意味合いでしょうか?

川野先生 マインドフルネスとは、仏教の教えの一つである正念(しょうねん)が英語に訳された言葉ですが、そのもとになっている「mindful」という単語は本来、”注意を払う”あるいは”気を払う”といったシンプルな意味しか有していませんから、この言葉だけで正念を厳密に表現するのは難しかったのではないかと考えています。

”今この瞬間”に注意を払うということはもちろんその通りなのですが、そのあとの”あるがままに受容していく”という要素のさらに奥にある、仏教的精神性が希薄になりやすいと思うのです。

- マインドフルネスは”今この瞬間”への「気づき」と「受容」だと理解していますが、後者の「受容」の深いレベルでの理解が得られにくいということですね

川野先生 マインドフルネスで育まれる心の要素として「受容性」がありますが、それは単に「受け入れる」といった字面だけの意味ではなく、自分自身や他者への深い慈悲や慈愛の心を指しているというのが仏教的理解です。これまで海外でマインドフルネスが普及してゆく過程を見る中で、私はこの部分のメッセージ性がやや弱い気がしていたのです。

- 最近では、セルフコンパッションというワードで海外でも着目されてきていますよね

川野先生 そうなんです。テキサス大学やハーバード大学の先生方がセルフコンパッション(自慈心)という概念に着目されて、マインドフルネスの中の「受容」の理解を深める研究を進められていることを、私はとても嬉しく拝見しています。マインドフルネスが、本来あるべきところに「回帰」してきたのではないか。そう感じることができます。

自分自身に対して、他者に対して、あるいは大自然や地球環境全体に対して、分け隔てなく思いやりを向ける。そんな精神を携えた「真のマインドフルネス」が世界中に広がっていくことを私は願っています。言葉にすると少し気恥ずかしいのですが、それはそのまま、戦争のない平和な世界の実現を意味するのではないかと信じています。

甚だ微力ではありますが私もまた、そんな思いやりの心に支えられたマインドフルネスを、世界に向けてこれからも発信していきたいと思っています。

講演会などで広められる活動をされている川野先生

これからマインドフルネスをはじめる人へ

- 最後に、今後マインドフルネスに興味をもってはじめられる方に、一言頂いてもよろしいでしょうか

川野先生 マインドフルネスを心身に落とし込んでいくために大切なのは、どのような形であっても、とにかく「続ける」ということに尽きます。

いくら知識として知っていても実践無くしては意味のないものになってしまうのです。近年はスマホ向けの瞑想アプリや、瞑想ガイドを聴くことができるYoutubeチャンネルなども色々と公開されていますから、ご自身の使いやすいツールを活用して定期的に続けていただきたいと思います。

短期的な効果を期待するのではなく、気長に続けていただくことが大切です。私はよく患者さんに、「少なくとも1年間は意識して瞑想を続けてみることをお勧めします」とお伝えしています。

海外の実証研究で効果が確認された臨床向けマインドフルネス・プログラムの多くは、1日あたり40分以上の瞑想を8週間続ける形で構成されていますが、実際に診療にあたっている私の感覚としては、それだけの時間を瞑想にあてることが難しい患者さんの方が多いものです。

そこで発想を変えて、1日に5〜10分の瞑想であったとしても、1年間続けていただければ、瞑想に費やす合計時間は同じ換算になると考えていただくことをお勧めしています。

もちろん単純計算で瞑想の効果を語ることはできませんが、とにかく私としては、多くの方にどんな形でも構わないので、実践を続けていただくようお願いしたいのです。皆さんの瞑想習慣を、心から応援する気持ちです。

- 結局は、実践を続けていくことで、自然と日常生活の中でも身につくようになり、大切ということですかね。

「川野先生、お話しさせていただけて楽しかったです。今後のご活動も応援しています!」

対談を終えて

お話を伺ったあと、2点感じた事がありました。1点目は、やはり続けていくことが大切なんだということ。これはマインドフルネスに関わらず、人生の本質なのかなとも思います。2点目は、マインドフルネスが世界の平穏につながること。私自身、毎朝、メディテーションを行うのですが、優しい世界になればなと感じます。そういった思いもあって、Upmindとして国際NGOセーブ・ザ・チルドレンへの寄付活動もはじめた経緯があります。

マインドフルネスを実践されている方とお話をする際には、このような話をよく聞きます。よりマインドフルネスが広まって優しい世界になるといいなと改めて感じました。

皆さんと一緒にマインドフルネスを広めていけたら大変嬉しいです😌

代表取締役(箕浦 慶)プロフィール
オーストラリア・パース生まれ。2015年に東京大学工学部を卒業、チームラボに入社。2016年までスマートフォンアプリのエンジニアとして開発業務に従事。2017年に米Bain&Company(戦略コンサルティングファーム、東京支社)に転職し、経営戦略の立案に従事。2021年にUpmind株式会社を設立。瞑想歴はゴア(インド)で体験してから10年以上。


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