見出し画像

『阿彦哲郎物語 戦争の囚われ人』 <オフィシャル イベントレポートリリース 2023年12月22日(金)>

シベリアからカザフスタンへ民間人抑留者の記録・2作品同時公開!
『阿彦哲郎物語 戦争の囚われ人』
この度、長編映画『阿彦哲郎物語 戦争の囚われ人』が12/22(金)よりUPLINK吉祥寺ほかにて全国順次公開となりました。公開を記念し、初回上映後に舞台挨拶トークイベントを行いましたので、オフィシャルレポートをリリースさせて頂きます。ぜひ、この機会に貴媒体にてご紹介のほど宜しくお願い致します。

■日時:2023年12月22日(金)
■場所:UPLINK吉祥寺
■登壇者(敬称略):阿彦イリーナ(阿彦哲郎さんの娘)、イリーナ・アヒコ(阿彦哲郎さんの孫の妻)、三浦亜里沙(三浦正雄さんの孫娘)、佐野伸寿(日本側監督)、アリヤ・ウバリジャノヴァ(プロデューサー兼カザフスタン側監督)
 
第二次大戦後、戦争捕虜としてシベリア(旧ソ連全土)・モンゴルに57万5千人が抑留され、5万5千人以上の人が亡くなった。だが、樺太等の地域に残った民間人で、戦争捕虜としてではなく謂れのない罪でソ連当局に逮捕され、強制労働を強いられる政治犯収容所や広大なソ連の僻地で行方不明になった人は2千人以上存在すると言われる。その中でカザフスタンには(日本政府が把握していただけで)約20名が送られ、ソ連崩壊の時まで生き残ったのはわずか4人だった。その4人のうちのひとりが阿彦哲郎(あひこてつろう)であり、彼の半生を映画化したのが『阿彦哲郎物語 戦争の囚われ人』である。『阿彦哲郎物語 戦争の囚われ人』は旧ソ連諸国であったカザフスタンがスターリン時代の黒歴史である抑留者の物語を「日本人の側に立って」製作した。残念ながら、阿彦哲郎は2020年6月にカザフで亡くなっている。

<以下、レポート>
映画上映終了後、登壇者が舞台に上がる前に、生前の阿彦哲郎さんが「ふるさと」を歌う映像が流された。
続いて、佐野伸寿監督より、カザフスタンから来日中のゲストが紹介されると、阿彦哲郎さんの長女・阿彦イリーナさん、阿彦さんの孫の妻であるイリーナ・アヒコさん、三浦正雄さんの孫娘である三浦亜里沙さん、プロデューサー兼カザフスタン側監督であるアリヤ・ウバリジャノヴァさんが登壇した。

(左から  三浦亜里沙、イリーナ・アヒコ、阿彦イリーナ、アリヤ・ウバリジャノヴァ、佐野伸寿)(敬称略)

舞台挨拶は佐野監督が司会をつとめる形で進行。佐野監督から記念すべき公開初日の感想を求められた阿彦哲郎さんの娘である阿彦イリーナさんは「映画は3回観たけど、観るたびに涙なくしてはみられない。私の知らない父の苦しかった半生を観ることは本当に辛い。でも、こうした作品を作ってくれて、父の知らないことも知ることができたし、日本の皆さんにもこうして観ていただける。それはとてもありがたい」としみじみと語った。また、「父は収容所の話は私たちにしなかった。娘たちには楽しい話しかしたくなかったのだと思う。だから、こうして佐野監督たちが、私の父について知らない部分に光をあてた映画を作ってくれたことを、非常に感謝している」とも語った。

アリヤ・ウバリジャノヴァ(プロデューサー兼カザフスタン側の監督)

プロデューサー兼カザフスタン側の監督をつとめたアリヤ・ウバリジャノヴァさんは、佐野監督から初日を迎えた感想を求められると、「自分が作った映画を見ていると、(皆さんの反応が)心配で…最後は少し席を外してしまいました」と緊張していたことを告白。映画の製作については、「今回、カザフスタンと日本から、それぞれ公的な資金が出て、こうした映画が作られたというのが本当に素晴らしい事業だったと思っています」とエポックメイキング な作品が完成したことについて率直な喜びを語った。また、「『阿彦哲郎物語』は(忍耐強いとされる)日本人のメンタリティを描いた映画でもあるから、日本人である佐野伸寿監督と協働できたことで助けられた部分も多い」と振り返った。さらに、邦題の副題としてつけられている<戦争の囚われ人>については、「実は、それはカザフスタン側のタイトル。そのタイトルにした理由は、戦争に囚われていたのは阿彦哲郎さんだけではなく、ある意味で一般市民全員が何かしらの犠牲を払っており、その意味では全員が<戦争の囚われ人>だと思う」と語った。

佐野伸寿監督

最後に、佐野伸寿監督が「阿彦哲郎さんは生きて帰って来られたからこそ、こうした映画を作ることができた。本当は生き残れなかった人たちのことも描きたい。ただ、生きて帰って来られなかった人たちに焦点を当てようとしても、(取材もできないし)現実的には製作することができない。だから、この映画を観てくださった方々には、ぜひ、この映画を通して、生還がかなわなかった沢山の人々がいたことにも想いを馳せていただけたら」と語ってトークを締めくくった。

史上最悪と言われたソ連政治犯強制収容所に、たった一人送り込まれながらも生還した阿彦哲郎の物語

『阿彦哲郎物語 戦争の囚われ人』

(主演 小笠原瑛作)

2022年/カザフスタン・日本/112分/1.85:1/カラー/DCP/G
出演:小笠原瑛作<KNOCKOUT―REDフェザー級王者(クロスポイント吉祥寺)> スルム・カシュカバエフ アサナリ・アシモフ 佐野史将 かざり
監督:佐野伸寿 エルダル・カバーロフ アリヤ・ウバリジャノバ 
脚本:佐野伸寿 撮影:サマト・シャリポフ 美術:ヌルブラト・ジャバコフ 写真:松元隼人
製作企画:カザフスタン共和国文化省 日本カザフスタン国交樹立30周年記念作品 製作:ボリス・チェルダバエフ アリヤ・ウバリジャノバ 吉村秀一 佐野伸寿 支援:文化庁文化芸術振興補助金(国際共同制作映画)
配給:Studio-D JAPAN 配給協力:UPLINK 
©︎МИНИСТЕРСТВО КУЛЬТУРЫ И СПОРТА РЕСПУБЛИКИ КАЗАХСТАН
 
戦後、樺太に取り残され、謂れのない罪によって逮捕され、“史上最悪”と悪名高いスターリンの政治犯強制収容所にたった1人の日本人として放り込まれた阿彦哲郎が、「日本に帰って家族に会いたい」という思いだけを胸に、生き抜いて収容所から釈放されるまでを描く。「阿彦哲郎は日本とカザフ友好の礎」と捉えるカザフスタン政府が、制作費300万ドル・製作期間3年・3,000人のスタッフをつぎ込んで完成させた歴史大作。主演にはキックボクサーでKNOCKOUT REDフェザー級王者の小笠原瑛作(クロスポイント吉祥寺)を抜擢。寡黙な役柄ながら、収容所の過酷な労働に打ち克った阿彦の心と体を、その鍛え抜いた肉体に語らせるかのように熱演。映画初主演とは思えない圧倒的な存在感を見せた。
 
<同時上映>
14歳でたったひとりカザフスタンに送られ、
バルハシ湖・イリ河流域で生き抜いた三浦正雄の子供時代
『ちっちゃいサムライ 三浦正雄の子供時代』
 
2023年/カザフスタン・日本・キルギス/110分/1.85:1/白黒・カラー/DCP/G
出演: アクタン・アリム・クバト サマル・イスリャモヴァ ダレジャン・ウミルバエフ 佐野史将 小笠原瑛作 三浦ニーナ
監督・脚本・製作総指揮:佐野 伸寿 カザフスタン側監督:エルラン・ヌルムハムベトフ
撮影監督:ムラト・ヌグマノフ 音声監督:アンドレイ・ウラズネフ 写真:松元隼人 製作総指揮:Studio-D 日本側製作:蒼龍舎 カザフスタン側製作:Film Film Film 支援:AFF2 文化庁 配給:Studio-D JAPAN 配給協力:UPLINK ©Studio-D
終戦直後、疎開していた北海道から家族を探しに行った先の樺太で逮捕され、わずか14歳で日本から8,000kmも離れたカザフスタンに流刑となり、53年もの間をカザフで過ごした三浦正雄。世界でも珍しい淡水と塩水の性質を持つバルハシ湖及びイリ河を舞台に、後年、現地の自然保護官としても活躍した三浦の子供時代を描く。中央アジア映画界の才能が結集し、カンヌ主演女優賞受賞のサマル・イスリャモヴァ、カザフを代表する映画監督であるダレジャン・ウミルバエフ、さらにキルギスを代表する映画監督のアクタン・アリム・クバト(『馬を放つ』『父は憶えている』<23年12月1日公開>)も出演する。また、過酷な運命の中で傷つきながらも、雄大な大自然と人々の優しさに心癒されていく三浦少年を、映画初主演となる佐野史将が好演した。
 
12月22日(金)よりUPLINK吉祥寺ほか全国順次ロードショー――――――――――――――――――――――――――――――――――
<お問合せ>
■パブリシティ:プレイタイム(斉藤)yosaito@playtime-movie.jp 080-3732-6809
■配給・宣伝:Studio-D JAPAN(佐野)film4.22@mac.com 090-3963-4010

<2作品共通公式サイト>https://ahiko-samurai.com/
 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?