なぜベイブレードXのディフェンスタイプは微妙なのか
※8/16追記あり
ベイブレードXの、強いアタックタイプと言えば、何を思い浮かべるだろうか。
シャークエッジ、フェニックスウイング、ドランバスターなんかはデフォルトでも結構強く、唯一の左回転であるコバルトドラグーンもかなり期待されている。
強いスタミナタイプと言えば、どうだろうか。
なんと言ってもウィザードロッドが最強クラスだろう。ヘルズサイズ+Bビットも定番カスタムとして長く活躍した。とにかくBビットが優秀なイメージだ。
強いバランスタイプと言えば、どうだろうか。
ヘルズサイズはスタミナカスタムの方が強かったが、TやP、GPといったビットは存分に活躍しているだろう。デフォルトではユニコーンスティングあたりが有用だろうか。
では、強いディフェンスタイプと言えば…?
少なくとも、筆者は思い浮かばなかった。パーツとしてはHN、GN、Dあたりは有用かと思われるが、デフォルトカスタムで「強い」と感じるディフェンスベイは思い当たらない。
ちなみに「ディフェンス系カスタム」というと、フェニックスウイングなどの単純に重いブレードにHビット(ただしバランスタイプ)やGNビット、というイメージだ。
いわゆるディフェンスタイプのブレードがディフェンス系カスタムとして活躍しているのは、たまにナイトシールドを見かけるくらいだろうか。その後に出たナイトランスやライノホーンなど、パッとしないパーツが多い印象を受ける。
なぜディフェンスタイプのパーツがディフェンス系改造にあまり使われないのか。なぜディフェンスタイプのパーツがパッとしないのか。思い当たることを書いてみる。
まずブレードについてだが、とにかく「軽い」ことが痛い。ある1種を除いて32~33gであり、さらにその「ある1種」であるシノビシャドウは28g程度しかない。
ディフェンスという言葉から想像されるような「重防御!」といったイメージからは遠いということがわかる。(アタックタイプのブレードは35g以上あることがほとんど。)
ダンパー構造で衝撃を吸収できるナイトシールドはいいのだが、これはこれで偏重心なので扱いが難しい。(ちなみにヘルズチェインも同じ特徴がある。)
そもそも実際にディフェンス運用されるブレードと言うと、重くて弾くフェニックスウイングやコバルトドレイク、重くて丸いウィザードロッド、それらの次点でヘルズチェインやユニコーンスティングあたりという感じであり、ディフェンスタイプのブレードはほとんど使われていない印象が強い。
ビットについては、ディフェンスタイプの第1号であるNからして微妙で、接地面積が小さく持久力は結構あるのだが、軸先が鋭角すぎるため倒れやすいのだ。同じ形状のMNも、より鋭いSも同様だ。
逆に言えば軸先の角度が緩いHN(ついでにHも)や、伸びたギヤ刃が支えになるGNは比較的倒れにくく優秀なディフェンス系ビットと言える。
Dは登場して間もないが、飛ばされにくくポテンシャルはあるという話は聞く。
しかしこれら背が高かったり接地する箇所が滑らかではなかったりと、スタミナロスする要素がある。
ちなみに、持久力があって倒れにくいBビットは、シュート直後中央に留まらずにゆっくり旋回するため、相手のエクストリームダッシュを回避することができるのでスタミナタイプとされている。
ディフェンスタイプビットは逆に中央に留まり、相手のエクストリームダッシュを敢えて受けて弾いたりいなしたりすることを想定している。しかしディフェンスタイプのブレードは揃いも揃って軽いので、エクストリームダッシュが直撃すると吹き飛んでしまうため、重い別タイプのブレードを使った方が良いのが現実だ。
そもそも動きを決めるビットはともかく、運用によって働きが変わるブレードにタイプ分類があるのは変な話ではあるのだが、公式が言っている以上仕方がない。なので「ディフェンスタイプのパーツは微妙なものが多い」となってしまう。
公式はベイブレードXをアタック⇒スタミナ⇒ディフェンス⇒アタック…の3すくみだとしているが、現状はディフェンスだけが1段も2段もパワーが劣るような状態であり、「アタックタイプをディフェンス改造する」「スタミナタイプに防御力を持たせる」といったカスタムが普通になっている。
なぜ公式は、アタックのドランバスターやスタミナのウィザードロッドのような、強力なディフェンスタイプのパーツを出さないのか。筆者はこれを、前身であるベイブレードバーストの末期環境が原因と見ている。
ベイブレードバーストの末期環境というのは「ドリフト系ドライバー(ベイXでいうビットに当たる軸先パーツ)」が最強であり、これはフリー回転する低摩擦素材の軸先を備え、かつ低重心になるガードパーツが付いている、恐ろしい持久力と姿勢保持能力を発揮するパーツだった。さらにこれにメタルパーツを仕込んだバリエーションやベアリングを仕込んだバリエーション等があり、それらも最強クラスの性能だった。
その高性能故に皆がこぞって使用した。環境はドリフト系ドライバーで溢れかえり、そしてその圧倒的な持久力と安定性はアタックタイプを寄せ付けず、環境からアタックタイプを絶滅させた。(他の要因もあったが。)
…というのが当時環境を遊んでいた人たちの認識だと思われる。右回転VS左回転による、見た目が地味すぎる送り合い持久合戦もかなりの頻度で発生した。
その後、公式はその反省を生かして、ベイブレードXではエクストリームダッシュ実装などアタックタイプ優位に作っていると感じられる。
そしてその反面、ディフェンスタイプを敢えて弱く作っているのも事実だと思われる。
…そう、ドリフトドライバーはディフェンスタイプのパーツなのだ。最強クラスの持久力を持っているが、これはディフェンスタイプに分類されるパーツだ。謳い文句は「遠心力を生む大型ガードパーツで囲われたフリー回転軸と、全高が低く安定した重心バランスで防御力を高めたディフェンス系ドライバー」となっている。
公式が偏重心or軽いディフェンスタイプブレードしか出さないのも、倒れにくくスタミナロスをしないディフェンスタイプビットを出さないのも、このドリフトドライバーが持っていた特徴である「高すぎる姿勢保持能力、防御力、持久力の両立」の再来を恐れてのことだと思われる。
公式から見たバースト末期環境は「超ディフェンス環境」だったということだ。そのためベイブレードXでは強力なディフェンスタイプを出すことに消極的な可能性が高いのだ、と見ている。
この後8月中頃には新たなディフェンスタイプである「レオンクレスト7-60GN」が登場する。ブレード形状は円形かつゴツゴツしており、重量さえあればディフェンスタイプとして良さそうに見える。ただしブレードのメタル部分がかなり上の方=重心が高すぎて安定しない可能性もある。
新しい7枚刃ラチェットとの組み合わせで側面が壁のようになる新型ブレードに、既存ではあるが性能は上々であるGNビットを持つレオンクレストは、どこまで環境に食らいつくことができるだろうか。
※追記
8月に新しく登場したレオンクレストだが、個体によっては35gを超えるブレード重量があり、しっかりディフェンスタイプとして強く、十分戦える性能はあるようだ。というか現状ディフェンスタイプ最高峰と言ってよいだろう。
スタミナタイプのウィザードロッド+ボールが最強なのでそれに不利なのは不幸だが、ロッドを吹っ飛ばそうとするアタックタイプ全般にはしっかりとした守りを見せてくれるので、3on3に入ってくる可能性は十分にありそうだ。
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