やっていきましょう。
アレクサに頼んで、部屋のライトを消してもらう。
だいぶ前に一目惚れして買ったものだ。けしてやすくはなかった。でも、その時強く欲しいと思い、幸いお金にも余裕があったので手に入れた。
それが1か月前。
箱を開けたのは今日だ。
アロマデュフューザー。
ロウソクの火の熱でプロペラが回り、器に入れたアロマオイルの香りが届く。
熱による自然な力を利用するところに惹かれた。
下の青い器はIKEAで購入したもので、水が張ってある。水面にロウソクが反射する。床にガラスの歪みを透過し、「みなも」のような模様が床にうつしだされる。
お気に入りのアロマオイルの香りに包まれながら、それらを眺める。と、時たま思い出したように、エアコンの風にあおられた風鈴がリンと鳴る。
自分は、犯罪の被害者なのだ。
今日はそれに気づいた日だった、
以前から「知ってはいた」けど、
自覚するのにも、できてなかった。
だから今日「わたしってもしかして被害者なのではないか？」と思った。
周りの人に言えばみな私のことを被害者だと言った。
私だけがなぜか取り残されていた。
誰に相談してもわたしはずっと私のことをせめて来た。責めてない自分が居ても、責めている自分もそこに必ず存在した。
それは今でもそうだけど、でも。
風鈴が鳴る。
風鈴は鳴る。
プロペラは回る。
ロウソクの火が揺れる。
僕は。
今日は、部屋の入口を祭壇にした。
大好きな日食なつこのグッズたちを飾った。
飾る余裕がなかったから、大事にしまってあっただけだったので。
好きだあ、と思う。日食なつこが大好きだと思う。それはそれとして私は犯罪の被害者で、「傷を負って」いて、それを癒さないと「生きずらい」のだと思う。のだと思う。
好きな物に囲まれて幸せだ、と思う。ロウソクの火は綺麗でアロマオイルはいい香りだと思う。ただ、どうしても泣き叫んでしまうことがあり、困っているとも思う。
助けがいるから精神科に通う必要があり、カウンセリングを受ける必要があり、わたしは双極性障害で、解離性同一性障害で、複雑性ptsdの持ち主だ。
それでも、私が生きる世界には素敵なものが沢山あって、素晴らしいなと思う。この手が、自分が素敵だと思うものを生み出せることも、なんてことなんだ、と思う。
風鈴の音は身体を洗ってくれるようだと思う。
リンと鳴る時に、身体に付着した汚れが落ちるように思う。
そう思う。
毎日が楽しいと思う。
朝起きると足元にはシンセサイザーとループステーションがあって、金色のマイクを使って声を入れて、ドラムを入力して、ちょっとした楽しい音ができる。
愉快だ、と思う。
仕事で関わる子ども達に幸せになって欲しいと願う、私を頼ってきてくれる子供のことを可愛いと思う。
じゃあ私は？
と思う。
と。おもう。
過去は、振り返っても仕方ないと言うじゃない。
でも、振り返って、向き合って、何とかしないと、こんなに素晴らしい「今」にまで侵食してくるような毒もあるよ。
それがもしぬぐえるなら、どうにか出来るよって、言う人がいるなら。
素晴らしい今を大事にしながら、私は過去とも向き合う、それは今のためであり、未来のためでもあるから。
と思っている。
逃げてばかりじゃだめだったから。
しかたない。
やってきましょう。
ずっと頑張ってきた自分、
マジで尊い。
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