不在の存在

誰かの特別になりたいと思う事はそんなにいけない事なのか。

私が足りないと言えば足りないのだから、もっと愛されたかった。

これこそが傲慢というやつですか?


「ずっと好きでいてね」と言われたけれど「もちろん」と無邪気に答える私はもうどこかへ消えていなくなった。

私があなたをずっと好きでいたとして、あなたは私に何が出来ますか?

誰だって無条件に愛してくれる人は手放したくないんだろう。

満たされているあなたと違って私には誰もいませんでした。

私が祈るようにあなたを好きでいる事と、ただ自己承認欲求の為に好かれていたいあなたとでは、きっと最初から何も分かり合えなかった。

見慣れてしまったのだろうか、最近目が霞むというあなたと同じように、始めからきっと私の目は何も捉えてはいなかった。


そうそう、私は最初からひとりぼっちでいつも少し足りなくて少し悲しかったのだとひさしぶりに思い出した。

懐かしい昔の私、すっかり忘れていてごめんね。


何をやってもあなたが好きだと言ったけれど、もうそんな自信はありません。

家族がいて満たされているあなたが私に愛されないといけない理由はなんですか?

どうせ説明出来ないくせに。

裏切ったのはそっちじゃんと思う。


もう好きじゃないの、本当に。

嫌いになったわけじゃない。

けれど大切にされていなかったのだと気付いてしまったの。

だからもう要らない。


隣でべったりくっついて座るのはやめます。

エスカレーターで登る時にちょっといたずらするのもやめます。

何も変わらない日常の中の小さな愛情を示す仕草達。

その不在の存在に気付いて少し悲しくなってくれればいいなと思います。

ずっといつか後悔するからと言っていた私が正しかったですね。

もう好きじゃない。

結局ダサくてみんなと同じ、特別なんかじゃなかったね。

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