長年の恋を昇華したらしい【前】

誰かに恋してるとき、
胸がきゅーってなった後にじんわりと胸が甘く暖かくなる、あれ。
あの感覚が好きで、その恋が終わった後でも
思い出し笑いをするときみたいに、その恋を思い出しては胸をじんわりさせて幸せな気持ちに浸るのが癖になってた時期があったんですが、それってみんな普通にしてることでしょうか。

そしてある時からそれをやろうと思ってもできなくなってしまったんだけど、そんな経験ってありますか。

個人的には、完全にその恋を昇華してしまってもう私の中に一欠片も残ってないから、あの時の気持ちを思い出すことすら出来なくなってしまったんじゃないかと思ってるんだけど。

気持ちを再現できなくても起こった事実は思い出せるので、文章に残しておこうと思います。

時はいにしえの高校時代まで戻ります。
私が通っていた高校は2年生から文理選択をする学校で、私は理系を志望しました。
でも毎年理系クラスを志望する生徒は1クラス分にも満たなくて、その結果クラス替えもなく2年3年と同じメンバーで過ごすことになります。

他の文系クラスの人々がクラス替えにそわそわしている中、変わり映えのないクラスメートと担任の先生(これもそのまま持ち上がり)で始まった高校ラストの1年。
担任はズボラな性格だったので「もうお前らみんな知った仲なんやから別に席替えせんでもええやろ」と言い出して、始業式の出席名簿順に並んだ座席から席替えしないまま1学期を過ごすことに…(席替えなんて学校生活で一番重要ちゃうかね)

そしたら何が起こったかというとですね。

単純な私はその一学期の間ずっと前の席だった子(毎日背中を見ていた出席番号が前の子)のことが好きになっちゃったんですね。

あの高校3年生の夏だけは、「好きな人と会えないから」という理由だけで夏休みが来てほしくなかった私…

2学期からは席替えがあったから、移動教室や全校集会など出席番号順で並べるタイミングをチェックして話しかけたりね…

私の高校時代はまだみんなガラケーだったので、着信ランプを好きな人だけピンク色に変えてみたりね…(だれか殴って…)

そんな他人からしたらしょうもない事でも、当時の私からしたらとんでもなく重要で、ずっと大切にしているような思い出がたくさんあるんだけど、

頑張って話しかければ話しかけるほど「ああ、この人は私にぜんぜん興味がないから、まったく意識せずに友達として接してくれてるんだな。」っていうのが嫌というほどわかったのと、告白する勇気なんて持ち合わせていなかったので、なにもできないまま1年間片思いを続けて高校を卒業してしまいました。

ところでこの卒業のタイミングで、まったく別のクラスメイトから告白されまして、当時の私としては「ほんまに好きな人にふりむていもらえへんのやったら他の誰でもええわ。大学生になって他に良い人が出てきたら別れたらいいし(最低)」くらいの気持ちで付き合ったのですが

性格の相性がよかったのと、大学は違うけどお互いに建築学生で話も趣味も合ったこともあり、結局そのまま5年付き合いました。

ちなみにこの5年付き合っている間も、冒頭で述べたとおり高3のときの片思いの気持ちを思い出しては幸せな気持ちになって浸るという遊びをたまにしてました。ときめきたいときに恋愛映画を観るみたいな感覚で。(今思うとけっこう気持ち悪いね)

ところが付き合って丸5年が経ち、お互いが大学院2年目に入る春、私は突然「友達にしか思えなくなった」と言われてふられたのでした。

まわりの友人が自分を磨き、数多の恋に勤しむ大学生活という貴重な期間に、恋人がいることに甘えてなんの努力もしてこなかった私はいきなり放り出されて絶望しました。

え?5年分の関係性がゼロになって、また1から始めなあかんの?
私、新しい恋なんかできる?

なにより「好きだ」と言われて付き合って、「好きじゃなくなった」と言われて振られたことに、大ダメージを受けました。なんやそれ。

次はちゃんと自分が主体で、自分がめちゃくちゃ好きになった人と付き合いたい。それで振られても納得できるようにしたい。けどそんなに自分から好きになれる人なんかこの先現れるんかな?

今までの交友関係を思い出してみたら、そういえば1人だけいた。あの高3の時の片思いの相手。
高校を卒業してからは1度も会ってない。
たぶん学部で大学を卒業してるから、すでに就職していてどこにいるかもわからない。
でも当時告白して振られたわけじゃないから、私の中で変に希望だけが残っている。なんなら記憶がとてつもなく美化されてる気もする。

あの人にちゃんと振られてあの時の恋を終わらせないと、いつまでもあの恋が自分の中で1番であり続けて、次の恋に行けない気がする。
(ちなみに私は思い込みがめちゃくちゃ激しいタイプです)

でも5年も連絡取ってなかったのに、今更どのツラ下げて連絡するというのか。
LINEが主流になってる世の中で、生きてるかもわからない携帯電話のメールアドレスにメールを送ってみる?

そんなことを悶々と考えていたらいつのまにか夏になっていました。そんなある日。

なんとメールが来たのです、その人から。


長くなっちゃったので後編に続きます。

2023/11/17

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