長年の恋を昇華したらしい【後】
5年前の片思いの相手からのメールの内容は、「同窓会のお誘い」でした。
その人は高校卒業以来のクラスの集まりを企画しているようでした。
自分を振った元恋人(元クラスメイトでもある)も参加する可能性のある同窓会には絶対に絶対に絶対に参加したくないが、どうにかこのチャンスを生かせないか…
そのメールにはLINEの連絡先も載っていたので、さっそくLINEで連絡を取ってみました。
当たり障りのない会話をしつつ近況を聞いて、地元は出たけれど、就職先は同じ関西でいつでも会える距離にいることを知りました。
私が、同窓会には予定があって行けないということを伝えると、「じゃあ別の日にふたりで会う?」とお誘いが。
こいつ…私のことをなんとも思ってへんからこそ出るであろう、この軽い誘い…
でもこれ以上のチャンスはないわな。
これで会って、「ああ、やっぱりもう好きちゃうわ」ってはっきりわかったら儲けもんやわ。
そう思いつつも、ドキドキしながら会いました。
実際会ってみたらね、「あれ?こんな人やったっけ?」って普通にがっかりしたのが第一印象。
楽しいけど、別にそれだけで、あんなに熱烈に片思いしてたのが嘘のよう。
そもそも会わなくてもわかりそうなことだけど、18歳の私が18歳のその人に恋してた気持ちを23歳の私が覚えているというだけで、23歳のその人を好きなわけじゃないのです。
やっぱり思い出をめちゃくちゃ美化してただけやったんやな〜
まぁそれがわかっただけでもラッキーか。
とかそんなことを心の中で思いながらしゃべってました。
そしたら当時爆発的にヒットしてた『君の名は。』の話になって、さすがにあれだけヒットしてたら見たいな〜ってぽろっと言ったら、
「ほな一緒に行く?」って誘われた。
いやこいつ…まじでなんで5年ぶりに会ったそんな仲良くもないやつを気軽に映画に誘えんの?
ほんでしかも私も既に見たいって言っちゃってる手前「いや、あなたとは見たくない」とは言えへんし…
なんかそのまま相手のペースに乗せられて、後日また会うことになってしまった。
と、そういうことを繰り返してたら、23歳の私は23歳のその人のことをちゃんとしっかり好きになっちゃってた訳です。
えええ?性懲りも無くまたおんなじことになってるやん。
でも高校の時と違って、今回は向こうにも好きになってもらえて秋には付き合うことになりました。
不思議なことに、このときも「高校の頃の片思いを思い出して胸をじんわりさせる」ことができました。その時の恋とは別に、過去の恋心もまだ私の中に残ってたらしい。
ところがそれからまた数年経って、恋人から家族になろうか、と決めた時に、いつの間にか「胸をじんわりさせる」ことができなくなってることに気づきました。
高校生の時に片思いしてたという事実は覚えてるけど、今まで再現できていたその時の気持ちを自分の中で再現できない。
今目の前にいる人は自分にとってなによりも大切だし、幸せにしてもらってるし幸せにしたいと思うけど、恋をしてる状態から愛情に完全に変わっていることに気づきました。
どうやら私はあの時の恋心に、10年くらいの年月をかけてようやくケリをつけることができたらしい。
でももうこの先の人生で、他の誰かに恋することもないだろうし、過去の恋をしてた時の気持ちを思い出すこともできないと思うと、少しだけ寂しい気もする。
そんなわけで長くなりましたが、長年の恋を昇華したらしい、という話でした。
余談ですが、この相手というのが、ときどきTwitter(X)で登場する今の"同居人"です。
2023/11/17
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