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デザイン論

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デザイナーとして生きていく矜持を培うために学んだこと、考えたこと。
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2022年7月の記事一覧

デザインのすべて ―デザイン論を整理する4つの視点― #215

ここ最近、デザインについて調べたことを記事にまとめています。一見するとバラバラに思える記事かもしれませんが、個人的には全てつながりがありました。 今回の記事はこれまでの記事のつながりを示すことで、「デザインとは何か?」という問いへの答えを整理してみます。ちなみに、ここでのデザインは装飾の美しさを追求する狭義のデザインだけでなく、デザイン思考などの問題解決法を提案する広義のデザインを含むものとしています。 「デザインとは何か?」への答え方まず、「デザインとは何か?」という問

デザインが文化人類学と出会う時 #210

パーソンズ美術大学・Transdisciplinary Designでデザインを学んでいると、デザインが文化人類学の方法論や考え方を参考にしていることに気づきます。 そこで、デザインをさらに知るためにも「文化人類学とは何か?」について調べてみることにしました。すると、文化人類学は現代社会の常識を形作った学問であることが分かりました。 文化人類学とは?まず、デザイナーだけでなく現代人が文化人類学を学ぶべきである理由を、ジリアン・テット氏の『Anthro Vision(アンソ

クリティカル・デザインは、次世代のデザイン思考なのか? #209

マイブームは、「デザインとは何か?」を調べることです。これまではデザインとデザイン思考の歴史や、現在のデザイン思考の多様性を見てきました。 今回は、そのデザイン思考を批判する立場として登場したクリティカル・デザインについて調べてみました。参考文献は『クリティカル・デザインとはなにか? 問いと物語を構築するためのデザイン理論入門』です。 クリティカル・デザインとは?本書ではクリティカル・デザインの対義語としてインダストリアル・デザインを置き、従来のデザイン思考との対比を意識

デザイン思考とは? ―三大流派を比較してみる― #208

これまでデザイン&デザイン思考の歴史を調べてきました。 今回は現在のデザイン思考を共時的に理解するために、IDEOの「デザイン思考」、ロベルト・ベルガンティの「意味のイノベーション」、ダン&レイビーの「スペキュラティブ・デザイン」を比べてみました。すると、デザイナーは現代の「預言者」であることが見えてきました。 デザイン思考の総本山、IDEO デザイン思考を一躍有名にしたのは、天下のIDEOです。そのIDEOのCEOであるティム・ブラウンがデザイン思考を紹介するために書い

海外で学ぶ理由を振り返る ―ゼロから始めたデザイン留学— #207

最近、デザインについて書いた記事がnoteさんのマガジンに取り上げていただくこともあり、私の記事を目にしてもらえる機会が少しずつ増えているみたいです。私の記事を見つけてくださった皆様、ありがとうございます。 デザインにまつわる記事を書いているのは、私がパーソンズ美術大学・Transdisciplinary Designや独学で得た知識を言語化して共有するためです。 ただ、留学を決めた理由についてはあまり書いていませんでした。そこで、自己紹介も兼ねて「なぜパーソンズ美術大学

アメリカでデザインを学ぶということ。 ―スタンスミスを履きながら― #206

私にとって「ニューヨークの日本人デザイナー」と言えば、岩渕正樹さんです。私がパーソンズ美術大学に出願したのも岩渕さんのnoteを読んだからでした。学部は違うといえど、まさか同じパーソンズ美術大学で学ぶことになっているとは光栄としか言いようがない。 さて、先日『自由のためのデザイン: アメリカの社会とUXに関する覚書』と題して、「アメリカの『自由』とは何か」について書かれた記事が掲載されていました。拝読してみると、私が留学をしているパーソンズ美術大学・Transdiscipl