みてわかる電子回路「DC-DC変換回路」

ここでは、あまり好ましくない直流を所望の安定した直流に変換するためのDC-DC変換回路について解説します。
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DC-DC変換回路とは

DC-DC変換回路とは、直流の電力源をもとに所望の直流電圧を安定的に供給する回路であり、次のような役割があります:

1.直流らしさを向上させる
ここでの「直流らしさ」とは「いかに一定で不変の電圧を供給するか」を意味します。整流回路と平滑回路を経た出力電圧のように、得られた電圧に多少の変動が含まれるときは、DC-DC変換回路を通すことで変動の小さな一定不変の電圧へと変換します。

2.負荷の状態によらず安定的に供給する
理想的な電源では、その負荷が変動することで供給電圧が変化してはなりません。このため、広範囲の負荷変動に対して供給を不変に保つ機能が求められます。

3.出力電圧(電流)の値を変換する
与えられた直流電圧とは異なる電源電圧が必要なときにその電圧値を変換します。DC-DC変換回路の種類によって、昇圧するものや降圧するものがあります。

主なDC-DC変換回路の種類

DC-DC変換回路には、主に次のような種類があります:

1.リニアレギュレータ(Linear regulator)
これは線形制御によって出力電圧の変動をフィードバックして取り除くものであり、更にシリーズレギュレータ(Series regulator)とシャントレギュレータ(Shunt regulator)に分類されます。
リニアレギュレータの長所は、回路が比較的簡単で安価に作成できることですが、変換による電力の損失が大きいといった短所があります。

2.スイッチングレギュレータ(Switching regulator)
これは直流を断続的にON/OFFするパルスにして、それを再び直流に変換する方式を用いたものです。変換による電力の損失が小さいという長所がありますが、回路が複雑で高価になるといった短所があります。

リニアレギュレータとは

リニアレギュレータは、シャントレギュレータとシリーズレギュレータに大きく分類することができます。
シャントレギュレータ(Shunt regulator)では、出力電圧を調整するための素子が出力端子の負荷と並列に接続されています。一方、シリーズレギュレータ(Series regulator)では、出力電圧を調整するための素子が出力端子の負荷と直列に接続されています。
いずれの場合も、出力を調整する素子の両端に生じる電圧や電流が自ら変化することで、負荷に生じる出力電圧が一定に保たれるといった仕組みで動作します。

スイッチングレギュレータとは

スイッチングレギュレータでは、入力された直流電圧をスイッチのON/OFFによって一定パターンの矩形波にします。この矩形波を平滑回路に通すことで、再び直流電圧に戻すため、出力電圧は矩形波のON/OFF時間比(デューティー比)を変えることで変化させることになります。

この方式では、わざわざ直流を矩形波に変換してまた直流に戻すため、一見すると無駄なことをしているように見えます。
しかしながら、スイッチのON/OFFでは電力がほとんど消費されず、平滑回路でもインダクタやキャパシタを組み合わせれば電力損失が生じません。
つまり、この方式ではリニアレギュレータのような電力の無駄を殆ど生じることなく、入力された直流電圧を異なる電圧の直流に変換することができます。
このため、電力損失の無い理想的なDC-DC変換回路となります。