みてわかる電子回路「NチャネルMOSFETを含む回路」

ここではNチャネルMOSFET(NMOS)を用いたソース接地回路について解説しましょう。
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NMOSの回路記号

NMOSの回路記号は下図中のどれを用いてもよく、電子回路の細かい分野によって好まれる記号は異なります。このシリーズでは真ん中の記号を使うこととしましょう。

NMOSソース接地回路の動作

NMOSを含む回路の中で最も簡単なものは、下図のように抵抗とNMOSを直列接続した「ソース接地回路」と呼ばれるものです。バイポーラトランジスタが抵抗と直列接続された時と全く同じ考え方をこのNMOSソース接地回路でも適用します。

この回路でゲート電圧 $${V_{\rm{G}}}$$ [V] を 0V から増やしていく場面を考えましょう。なおこの回路では $${V_{\rm{S}} = 0}$$ ですので ソース基準でみたゲート電圧 $${V_{\rm{GS}}}$$ は、グランド基準でみたゲート電圧 $${V_{\rm{G}}}$$ と等しいと考えてください。このNMOSのしきい値電圧を $${V_{\rm{TH}}}$$ とすると、$${0 < V_{\rm{G}} < V_{\rm{TH}}}$$ の間はソースドレイン間に電流が生じないため、下図右側グラフ中の交点はほぼ下に張り付いています。やがて、 $${V_{\rm{G}} > V_{\rm{TH}}}$$ となるとソースドレイン間電流は増加し、グラフ中の交点はそれに従って左上に移動するでしょう。さらに $${V_{\rm{G}}}$$ が大きくなると、交点はNMOSの電流電圧特性がグンと立ち上がる部分に差しかかります。いったんここまで行くと、そこからは $${V_{\rm{G}}}$$ を大きくしても交点の位置はあまり変化しなくなります。


以上のようなグラフィカルな考察から、交点の座標である $${V_{\rm{A}}}$$ が $${V_{\rm{G}}}$$ の変化に応じてどのように変化していくかをグラフにすることができます。
まず $${0 < V_{\rm{G}} < V_{\rm{TH}}}$$ ではNMOSに電流が生じないため $${V_{\rm{A}} = V_{\rm{DD}}}$$ となり、$${V_{\rm{G}} > V_{\rm{TH}}}$$では $${V_{\rm{G}} - V_{\rm{TH}}}$$ の2乗 に比例する電流が生じるため、抵抗 $${R}$$ での電圧降下による $${V_{\rm{A}}}$$ の低下が放物線的に生じます。さらに $${V_{\rm{G}}}$$ が大きくなると、先ほどのスライド中の図において交点があまり変化しなくなるため、 $${V_{\rm{A}}}$$ は $${V_{\rm{G}}}$$ を変えてもほとんど変化せず低いところにとどまります。
以上から、ソース接地回路の $${V_{\rm{G}}}$$ と $${V_{\rm{A}}}$$ の関係(入力と出力の関係)はスライド中の図のようになります。