夢見りあむは神様になんてなりたくなかった

皆さんこんばんは。
「夢見りあむは神様になる女の子です」 https://note.mu/unohana516/n/n3816754f4030 を書いた者です。

2019年5月20日、シンデレラガール総選挙の結果が発表された。
まずは本田さん、8代目シンデレラガールおめでとうございました。

私も僅かだが課金もしながら投票し続けた超大型新人夢見りあむは、中間と変わらず3位に輝いていた。
中間発表以降りあむのファン層は大きく広がった。相変わらず総選挙をぶっ壊そうとりあむに投票した奴らもいたし、中には担当が上位を狙えない分りあむに夢を託したPもいたらしい。たくさんのお気持ち表明が空から降り注ぎ、31アイスクリームの期間限定フレーバーが彼女のカラーリングだったというちょっとした偶然もあった。愛憎入り混じった200万以上の票たち。十分な結果だろう。しかし、表彰台で彼女は笑顔を見せなかった。

「チョロいなオタク!! ぼく頑張ったか!? 努力なんてムダムダの無じゃん!? アイドルってなんなんだよぅ!! はー……めっちゃやむ。」

夢見、お前。

一人だけのっぺりしたN+の立ち絵、ひきつった表情で彼女は自分の置かれた状況をこの上なく正直な言葉で表現した。しやがった。

そこで私は気づいたのだ。以前、私は彼女を「クズの神様」「救済のモルヒネ」と表現し、クズがクズのままでも輝けるという希望を与えてほしいと願った。それが「全国のやむくんやみちゃんの味方だよ」と笑った彼女の進むシンデレラロードであれと。
しかし、どうやら本人はそれを望んでいないようなのだ。

彼女の推す理想のアイドルははっきりしている。「しっかりと努力をしてステージで輝くアイドル」だ。
りあむ自身は努力が苦手だし、根性も足りていないし、やむやむうだうだ言いながらレッスンだってサボろうとしちゃうような女の子だ。
でも、やるのである。

「世の尊いアイドルたちは、たゆまぬ努力をしてる! わかる!! だからアイドルは尊い! あのきらめきは努力の果てに見えるもの……知ってる!」
「努力も根性もない……頑張れるわけない……でも、歌えないアイドルより歌えるアイドルになりたいよう!」

「ぼくアイドルとしてちゃんとやる!……あ、ちゃんとってか、ちゃんとじゃないかもだけど……アイドルやるよう!」

答えは最初から出ていた。
夢見りあむは、クズだ。「できない子」かもしれない。
でも、「やらない子」ではないのだ。
通常の3倍のレッスンだってやり切るし、売れる戦略も自分なりに考えているし、ちょっとメタ的なことを言えばデレステ既存曲のダンスだってちゃんと覚えてきた。
なにもできない、いいとこなんてどこにもないと彼女は言うけれど、それでも彼女は「やらない」選択肢を取らなかったのだ。

りあむはあれよあれよとオタクに祀り上げられる神様になんかなりたくなかった。やむくんやみちゃんの味方だと言ったけれど、彼らに与える特効薬はモルヒネではなくパッション印のビタミン剤だった。
彼女はきっと努力をして、着実に人気を出してあの表彰台に上がりたかった。今はできなくても、できるようになりたかったのだ。
天海春香が、島村卯月が、天道輝がそうしてきたように。
それでも努力が必ず報われるわけではないということを、彼女は痛いほどわかっていただろうけど、自分が他人の努力を踏み台にする未来なんて予想していなかったのだ

りあむが夢想していた「尊いアイドルの世界」は彼女自身のガラスのつま先で簡単に崩れた。少なくとも彼女にはそう見えたはずだ。
アイドルとは何なのか、努力の果てのきらめきを追い越した場所に自分が辿り着いてしまった今、彼女はこの命題と向き合い続けなければならない。

私自身もまた、りあむを神と崇め奉ってしまった一人として、彼女の行く末を見守っていこうと思う。とりあえず今は、加蓮と未央と並び立った際に起こる化学反応をこの上なく楽しみにしている。

がんばりすぎずにがんばれ夢見。19歳の愛しい、ただの女の子。君の行く道はきっと輝かしいものばかりではないけれど、たくさんの人の祝福に溢れている。


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